異世界ヤクザ -獅子の刺青を背負って行け-

万怒 羅豪羅

文字の大きさ
上 下
94 / 107
第一章

第94話/Trio

しおりを挟む
第94話/Trio

先を走る連中は、一斉に銃を構える。まもなく、激しい銃撃戦が始まった。まっさらなこの広場には、障害物は何もない。だけど撃つ側も撃たれる側も走っているから、弾に当たる不運な奴はかなり少なかった。
そして銃を構えるために速度を落とした奴らを追い抜いて、刃物やバットなんかを持った第一陣が激突した。

「わあああああ!」

「ぎゃああああ!」

「があああああ!」

ヤクザとマフィアが激しくぶつかり合う。こうなると、もう飛び道具は使えない。敵味方が入り乱れすぎて、まともに引き金を引けないのだ。

「ユキ!私たちも向かいましょう!」

ウィローが男たちの怒声に負けじと、大声を張り上げた。

「ああ!けど、キリーたちが……」

このだだっ広い広場は、一瞬で乱戦地帯と化してしまった。キリーたちを安全な場所に下げたいが、そもそもどこが安全かもわからない。

「ユキ!」

その時、キリーが人波をかき分け、俺のそばまでやってきた。

「ユキ、わたしもついて行かせて!」

「キリー?だめだ、危険すぎる。今だって真っ青じゃないか」

キリーの顔からは、すっかり血の気が引いてしまっていた。さっきの銃撃戦のせいだろう。

「だいじょうぶ、平気だよ。もう気を失ったりしないから!」

「それでもだ。体調を崩す時点で、十分危険だろ」

「それでも!ユキ、わたしを守ってくれるって言ったじゃない!」

「ぐ……どうしてそんなに意地を張るんだ!それどころじゃないってわかっているだろ!」

だんだんと、俺たちの口論は激しさを増していく。スーが俺たちの様子をおろおろとうかがっていた。戦場の真っただ中で口喧嘩なんて、本当はしてるヒマないってのに!

「イヤなの!わたしのために戦ってるのに、その背中すら見えないなんて!」

「いやいや言うな!おとなしく待ってろ!」

「どうして!わたしだって……」

「お前がっ!大切だからだ!わからないのか!大切なんだよ!」

俺は、キリーの肩をわしづかみにした。

「言ったさ!お前を守ると!だけどここにきてから、きみはどれだけ危険な目にあった!何度けがをした!下手をしたら、命が危なかったかもしれないんだぞ!」

キリーの目が大きく見開かれる。俺は、なんだか急にその瞳が怖くなってしまって、がっくりうなだれた。

「……口で言うのは簡単だ。だけど、きみだけじゃない。ウィローも、スーも、ステリアも……アプリコットも、リルも、黒蜜も、みんなボロボロだ」

俺は力なく、キリーの肩から手を離した。
俺は結局、誰も守れちゃいないんだ。いつもがむしゃらに突っ走って、そのたびに皆に助けられている。本当は、俺一人で、みんなを守れるくらい……

「……『俺が、みんなを守るんだ』とか、そんなこと考えてるんじゃないですか?」

え?
思わず顔を上げる。ウィローが、俺のがくりと垂らした手に優しく触れていた。

「ユキ。言ったじゃないですか。あなたの獅子は私が守ると。私だって、あなたを。みんなを守りたいんです」

ウィローの言葉が、優しく俺の中に染み入る。周りの喧騒が、ゆっくりと溶けていくようだった。

「……だけど。俺は結局、何も出来ていないじゃないか。さっきだって、ウィローが……」

「え?あなた、それ本気で言ってるんですか?」

ウィローが心底呆れた、という顔をした。

「まあ、知らぬは本人ばかりとは言いますが」

「あはは、ほんとだね」

スーがにっこり笑うと、そっと俺に手を重ねた。

「ユキくん。わたしだって、ユキくんを守りたいと思ってるんだよ。そりゃあ、ほとんど守られてばかりだけど……けど、わたしの刺青が役に立てるってわかった時、本当に嬉しかったんだ」

「スー……」

「スーだけじゃありません。私だって、キリーだって、他の皆だって……あなたのことが大切なんです。私たちは守りあう、じゃダメですか?」

「ダメだなんて、そんなこと……そうか、俺は、勘違いをしていたのかもな」

「だいたいねえ、ユキ。あんた、マジメすぎんのよ。ちょっとは肩の力抜きなさい」

アプリコットがやれやれ、と笑う。

「ヤクザの喧嘩だもの、そりゃケガだってするわよ。おとぎ話の魔法使いじゃあるまいし、誰一人傷つけないなんてできっこないわ。それでも、あたしたちは助け合うの」

「アプリコットの言う通りです。一人では無理でも……みんながいれば、怖いものなんてありません」

「あら、珍しいじゃない?ウィローがこういうのに乗ってくるなんて」

「い、いいじゃないですか。たまには、ですよ」

ウィローが赤くなった顔を隠すように髪をいじる。

「くっ……ははは。そうだ、そうかもしれないな。何が正解かはわからないけど、俺はきみたちの考えが気に入ったよ」

すとんと腑に落ちた、という感じかな。腹の中でグラグラと揺れていたものが、かっちりはまった。もう、ぶれない。

「キリー」

「うん。ユキ」

「お前は、俺が守る。だから、俺をお前が守ってくれないか」

「……うん!待ってたよ、その言葉!」

キリーの顔に、大輪の花が咲いた。そのとき、奇妙なことが起こった。地下だというのに、ふわりと一陣の風が吹き抜けたのだ。そよ風がキリーの前髪を揺らす。この風……キリーの近くにだけ、吹いているのか……?俺はキリーを見つめたまま固まってしまった。

「行こう、みんな!わたし、今ならだれにも負けない気がするよ!」

そんな俺の様子には気付かずに、キリーは威勢よく駆け出した。

「ユキ、行きましょう!遅れを取るわけにはいきません!」

「あ、ああ!」

さっきのは、俺の勘違いだったのか?いや、だめだだめだ。俺は雑念を振り払うように、ぶんぶん頭を振った。今は、目の前の戦いに集中しなければ。

「……いくぞっ!」

唐獅子の炎が全身を包み込む。俺は燃え盛る弓矢となって、黒波渦巻く戦場へ突っ込んでいった。

「おぉぉりゃあぁぁ!」

俺は雄たけびを上げると、渾身の力で男の腹を殴りつけた。殴られた男は声も出せずにぶっ飛んでいき、別のマフィアの背中にぶつかってゴロゴロところがった。
俺は怪力に任せて、戦場をぶった切るように暴れていた。しかしいかんせん、黒服ばかりで敵味方の判別が難しい。一応、胸についた鳳凰会の代紋で区別はできるが……そこで俺は、あえて目立つように暴れて、攻撃を待つことにした。刺青のオーラ全開の俺に殴りかかって来るってことは、そいつが敵ってことだろ。

「はあぁぁぁ!」

一方、ウィローは俺と対照的に、人の隙間を縫うように疾走していた。満開の力で、今のウィローは風のように早い。蒼い燐光が待ったと思ったら、次の瞬間にはマフィアが泡を吹いて倒れていた。彼女は、どうやって敵味方を判別しているんだろう。

「えいやぁ!」

「わっ、キリーちゃんすごい!ナイスパンチ!」

「えへへ、くぅ。でしょー?いてて……」

キリーは赤くなった手をぶんぶん振っている。キリーたちは、他の鳳凰会の組員と一緒になって戦っていた。敵も女なら倒しやすいと思ってか群がっているが、彼女たちは絶妙なコンビネーションで互いを助け合っていた。

「はあっ!」

ジュウゥゥゥゥ!
ステリアが手に持った棒のようなものを振り回すと、触れたマフィアのスーツが焼け焦げた。当然、素肌に当たった運のないやつは……

「ぎゃあああ!」

「うわ……ステリア。それ、なんだい?」

リルが引き気味にたずねる。

「うん?ソルダーアイロン(はんだごて)、溶接用の工具。ふつうは人体に向けて使用しない」

「そりゃそうだろう……ね!」

リルが身をひるがえすと、手から何かをシュッと投げた。

「うぎゃっ」

それはステリアに襲おうとしていた男に命中した。男の腕からは、金串のような巨大な針が生えている……彫師らしい武器だな。

「ありがと、リル」

「ははは。きみは、大事な娘だからね」

一方で、アプリコットと黒蜜は苦戦していた。

「あっいたたたた!放しなさいよ!」

「黙れ、このメス猫!」

マフィアが、アプリコットの髪をむんずと掴んで、ぐいぐい引っ張っている。

「いっ、いたいいたい!」

「あ!なにしてるんすか!その手をどけなさい!」

「へへへ、うるせえ!」

「こっの……!」

アプリコットは涙を浮かべながらも、強引に身をよじった。

「ふざけんじゃ、ないわよ!」

シャッ!アプリコットが男の顔を鋭くひっかくと、男の鼻の皮はべろりとむけてしまった。

「う、うぎゃあ!」

「今よ!警察、なんとかしなさい!」

「言われ、なくても!」

黒蜜は悶える男の襟をつかむと、声を張り上げた。

「おりゃあああ!」

黒蜜は男の腕を引っ張ると、腰を跳ね上げて投げ飛ばした。見事な払い腰だ。

「やった!やるじゃない、あんた!」

「柔道くらい基本っす。それより、大丈夫っすか」

「ええ。まったく、デリカシーのない男ね。女の命をなんだと思ってるのかしら」

俺はみんなの健闘っぷりに、ほっと胸をなでおろしていた。はは、案外みんな強いじゃないか。強敵との戦いで、過敏になりすぎていたのかもな。
そんなことを考えていた時だ。

「ユキ、あぶない!」

なに!俺の後ろに、ドスを持った男が忍び寄っていた。まずい、この距離じゃ避けきれない……!
ズドン!

「ぐぎゃあ!」

男が腕から血を吹きだしてふっ飛んだ。

「大丈夫ですか、ユキさん」

「レスさん!助かりました」

二丁拳銃を構えたレスが、涼しい顔でこちらを見ていた。

「油断しないようにしてくださいね」

短く言葉を放つと、レスはすぐに次の標的へ照準を合わせていた。これだけ人がいるのに、正確に、マフィアだけを撃ち抜いている……しかしレス自身は、そのことに何の感情も抱いていないようだった。単調な作業のように、引き金を引いていく。

「うわあぁぁ!」

そのとき、叫び声とともに、俺の足下に何かが転がってきた。それは大柄な男だった。胸についたバッチから、こいつはヤクザだと分かった。

「おい、どうしたんだ!」

「うぅ……い、刺青が……」

刺青?だがすぐに、俺にもそいつが吹っ飛ばされた原因がわかった。
前方に異様な風貌の男が立っている。何が異様って、そいつの顔と両手が血のような赤に染まっているのだ。だが、怪我をしているというわけではない。刺青だ。肌を覆うように刻まれたタトゥーが、ぞくぞくするような赤い光を放っている。

「タトゥー……ジェイ以外にも、刺青持ちがいたのか」

「うぐぐ……きをつけろ……一人じゃない……」

そこまで言って、大男は気を失ってしまった。一人じゃない?
俺は男を起こそうとしたが、その前にタトゥーを刻んだマフィアと目が合ってしまった。
マフィアがこちらへ向かってくる!

「くそ、上等だ!」

奴が血潮の赤なら、俺は深紅だ!
俺と男の拳がぶつかり合う。さすがはタトゥーの力だ、男の拳は重い。だが、俺のほうが上だ。
バキィ!
俺が拳を弾き飛ばすと、男は驚愕の表情を浮かべた。だが、すぐににやりと口元をゆがめる。
俺の背後に、もう一人のタトゥー持ちがいた。

「なに……ぐぁ!」

背中を思い切り蹴とばされ、俺はゴロゴロ転がった。ものすごい力だ、唐獅子の力がなかったら背骨が折れていたかもしれない。

「へへへ……タトゥーの力が、お前たちだけのモンだと思ってたか?」

男たちがにやにやと笑う。その時、俺は気づいた。
二人どころじゃない。ざっと数えても、十数人……全員が全員、顔まで覆われるほどのタトゥーを刻んでいる。
バカな……これだけの数の刺青持ちがいるなんて!

「へへへ……これだけ数がいんだ、いくらお前がバケモンじみてても勝てっこねぇぞ」

「くそ……」

「……そいつは、どうでしょうかね?ヒヒヒッ」

え?この気味の悪い笑い方は……

「ファンタン組長!」

俺の隣に、チャックラック組組長、ファンタンが立っていた。やつはニタニタと笑いながら、這いつくばる俺を見下ろす。

「ヒヒヒ……あなたが無様に転がる姿を見るのも愉快ですが、とっとと起きてもらえますか?」

「い……言われなくても!」

俺が慌てて立ち上がると、ファンタンはコキコキと首を鳴らした。

「まったく、面倒ですがね。あの連中をどうにかするためには、あなた“がた”と手を組むのが一番手っ取り早いんですよ」

あなたがた?俺以外の刺青持ちといえば、もう一人……

「……俺だって、テメエらなんざごめんだがね。手っ取り早いっていうのには賛成だ」

うお。反対からぬっと姿を現したのは、チョウノメ一家、ニゾーだった。

「に、ニゾーの、兄貴……」

「おう、メイダロッカ。ちっとツラかせ。こいつらぶちのめすんだよ」

「え。いや、はい」

「キヒヒヒ!ほんとなら、あなたたちだけでどうにかしてもらいたい所ですがね。ワタシの手を煩わせないでもらいたいですよ」

「あぁ?このドブネズミ、誰が誰を煩わせるだと?」

「……いいますね、ムジナふぜいが偉そうに!」

「あ、あの。手を組もうって話でしたよね……?」

俺たちが小競り合いを始めると、マフィアたちはいよいよ呆れた顔をした。

「なんだこいつら。漫才を始めたぞ?」

「いい、いい。こんなふざけた連中、気にせずやっちまえ!」

タトゥーをいれたマフィアたちが、いっせいに襲い掛かってきた!
だが、そこは腐っても幹部クラスの男たちだ。マフィアが動いた瞬間、ファンタンとニゾーはさっと雰囲気を変えた。

「ちっ。人が話してる途中だっていうのに、なめられたものですね」

「……つぶすぞ。いくぞてめぇら!足引っ張りやがったら殺すからな!」

「そ、それが仲間にいうセリフか……?」

非常に不安だが、あの人数を一人で相手にするのは避けたい……やるしかなさそうだ。

つづく
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...