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「ミラ・・・」

俺の腕の中で眠るミラ・・・
帰ってきた。 
やっと帰ってきた。
・・・見つけるのが遅くなってごめん。 
本当にごめん。

「デューク・・・泣かないで」

「ごめん起こしてしまったか?」

「もう、泣き虫なんだから」

そっと手を伸ばして止める事が出来ない俺の涙を拭ってくれる。

「ごめん、ごめん・・・ミラごめん」

「ふふっデュークってばさっきから謝ってばかりね」

そう言って困ったような顔で笑っている。

信じていた。必ずミラが戻ってくると。
でも不安だったんだ。
もし、前回のように失ってしまったら?って考えたら・・・二度もミラを失ってしまったら俺は生きていけないと、後を追うことも考えていたんだ。

ありがとう。
生きていてくれて。
ありがとう。
俺の元に帰ってきてくれて。

「愛しているんだ。ミラが何よりも大切なんだ。本当に生きていてくれてありがとう」

もう二度と離さない。
グッとミラの存在を確かめるように抱きしめる。

「最初はね心が折れそうになっていたの・・・でもね、信じていたの。必ず見つけてくれると信じていたの。そうするとね強くなれたの。・・・前回はね、すべてを諦めて生きていたの。でもお母様のくれた今回はね、デュークのことも、幸せになる事も諦めないと誓ったの。・・・だって私の幸せはデュークの側にあるから。・・・愛しているわデューク」

そう言って真っ直ぐに俺を見上げたミラの瞳がそっと閉じる。
吸い寄せられるように俺たちは初めてのキスをした。
柔らくて甘い。
ずっと想像だけはしてきた。
初キスの場所だって、丘の上でとか、花畑でとか、色んなロマンティックなシチュエーションを。

そんな必要はなかったんだな。

まだまだ離れたくない。が・・・ミラが限界みたいだ。

「もう!デューク!長いわ!息が出来なくて苦しかったのよ!」

頬を染めて涙目で訴えてくる。
ああ、可愛い。

「はははっ鼻で呼吸するんだよ」

「そ、そっか。えへへっ」

「じゃあもう一回だな」

当然だろ?
一回で済ませられるワケがない。
だからミラが返事をする前に・・・

「んッ」

家に着くまでミラが抵抗しないのをいい事に、何度も何度も角度を変えてミラの唇を貪った。

ミラごめんな。
こんな男で・・・





「ミラ!!!」

馬車が止まるなり扉を開けたのは泣き腫らした顔の母上だった。
この顔だとミラが見つかった連絡がきてからずっと泣いていたんだろうな。

「ミラ!ミラ!・・・ミラ!」

馬車に乗り込んでミラを抱きしめているが・・・今もミラは俺の膝の上だ。

「会いたかった!お義母様!心配かけてごめんなさい」

「いいの、いいのよ。ミラが無事ならいいの」

馬車の扉の入口ではセナがぴょんぴょん跳ねているのが見える。
セナにも心配かけた。

「母上、早くミラを中に」

そうね。と、やっとミラから離れてくれたが・・・
俺の膝の上にいると気づいた途端、母上の目がつり上がった。
平常心に戻るの早過ぎないか?
まっ、今さらそんな事は気にしないぜ!
なんてったって俺はミラを抱きしめたし、初キスまで・・・何度もしたからな!

邸内に入ると使用人総出で出迎えてくれた。

「「お嬢様」」「「ミラ様」」

「皆さんただいま」

ミラの笑顔を見てとうとう泣きだす者が多いい。
よく見ると窶れている者ばかりだ。
普段から使用人にも優しいミラは皆から慕われていた。

「皆も心配をかけたな。後のことは俺たちに任せて今日はゆっくり休んでくれ」

それでも、ミラの世話をしたがる使用人たちを下がらせ俺たちは応接室に集まった。

俺とミラと母上とセナだ。
まだ父上とローガンは戻ってきていない。
王妃のあの様子ではまだまだ時間はかかるだろう。

母上とセナが甲斐甲斐しくミラの世話をしようとするが、以外にもミラはまったく疲れていないと言う。
1ヶ月以上監禁されていたと言うのに、王妃はミラを丁寧に接してくれていたと言う。
そうだろうな。ライラ叔母上だと思っていたようだからな。

そしてミラは監禁された日からのことを話してくれた。
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