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留学先から戻ったその足で、親友から招待されていたミラの通う卒業パーティーに向かった。
「一時間の遅れか。パーティーも盛り上がっている時間だな」
「きっと綺麗になっているだろうな」
ホールに近付くにつれ何か嫌な予感がした。
実際ホールに入っても異様な雰囲気で、談笑している集団からも誰かを批判し嘲る言葉が聞こえる。
下品だな。
こんな奴らが卒業後は社交の場に出るのか。
それよりもミラとアイツは?
会場に一際目立つ集団が目に入った。
多分あそこだ。
俺はそこへ足を向けた。
確かにそこに親友はいた。
腕を婚約者であるミラ以外の女性の腰に回して・・・
どういう事だ?
それにミラはどこだ?
「オズワルド!その女は誰だ?ミラは何処にいる?」
「デューク!帰っきたのか!」
嬉しそうにその女を連れて俺の前に来た従兄弟のオズワルド。
この国の第二王子。
「そんな事よりもミラは?お前の婚約者だろ!」
ハッと、鼻で笑うオズワルドの顔は醜く歪んでいる。
「ミラならさっき婚約破棄を告げて国外に追放してやったよ。僕の愛するエルザに数々の嫌がらせや虐めを行っていたからね」
エルザ?
確かミラの父親の後妻の連れ子の名がエルザだったか?
婚約破棄?それに国外追放だと?
「たとえオズワルドがこの国の王子だろうが、侯爵令嬢を追放する権利はないはずだ!ミラはどこにいるんだ!!」
俺の怒鳴り声でホールは静まり返るが、そこへ呑気な声が響く。
「だってお義姉様はわたくしに意地悪しましたのよ?・・・そんな事よりもデューク様?ダンスに誘って下さいませんの?」
なんだコイツ・・・オズワルドに撓垂れ掛かっているクセに俺にまで色目を使うのか?
俺がダンスを誘うのが当然のように手を差し出してくる・・・コイツを付け上がらせたのはオズワルドか・・・
「お前俺を舐めているのか?名を呼ぶ許可は出していないし、そんな見え見えの色仕掛けで俺がお前に転ぶとでも思っているのか?」
「デューク!失礼だろ!」
「ハッ!陛下がミラの国外追放を聞いたらお前はどうなるんだろうな?」
そこで我に返ったのか顔色を悪くするが、もう遅い。
「早くミラの居場所を言え!」
ホールを去る俺の目の端に、俺を舐めるように見つめる女が写ったが、それよりも早くミラを探し出さないと!
急いで邸に帰り、両親に軽く説明をして我が家の騎士を引き連れ国境に向かって馬を走らせた。
頼む!無事でいてくれ!
遅すぎた・・・
何もかもが遅すぎたんだ。
雨の中、数年ぶりに会った俺の大切な女の子は胸から血を流しながらも最後に『リュー・・・会い・・たかった』と微笑んで僕の腕の中で冷たくなっていった。
知らなかったんだ。
ずっと君は幸せなんだと思っていたんだ。
離れるべきではなかった。
傍でずっと見守っていればよかった。
あんな奴らに任せるべきではなかった。
間違ったんだ・・・
ミラを国境に運んでいた4人の男たちを拘束した。
タダでは済ませない。
冷たくなったミラを抱いて我が邸に連れて帰った。
王弟である父上の姪であり、母上の親友の娘であり、俺が物心ついた時からずっと大切に思ってきた女の子・・・ミラ。
王家の元末姫であるライラ叔母上の忘れ形見。
医師の診断ではミラの身体は古い傷痕から新しいものまで外から見えない場所に無数に残されていたと・・・
その日俺たちは動かないミラを抱きしめて慟哭と怨嗟の声を上げて復讐を誓った・・・。
「一時間の遅れか。パーティーも盛り上がっている時間だな」
「きっと綺麗になっているだろうな」
ホールに近付くにつれ何か嫌な予感がした。
実際ホールに入っても異様な雰囲気で、談笑している集団からも誰かを批判し嘲る言葉が聞こえる。
下品だな。
こんな奴らが卒業後は社交の場に出るのか。
それよりもミラとアイツは?
会場に一際目立つ集団が目に入った。
多分あそこだ。
俺はそこへ足を向けた。
確かにそこに親友はいた。
腕を婚約者であるミラ以外の女性の腰に回して・・・
どういう事だ?
それにミラはどこだ?
「オズワルド!その女は誰だ?ミラは何処にいる?」
「デューク!帰っきたのか!」
嬉しそうにその女を連れて俺の前に来た従兄弟のオズワルド。
この国の第二王子。
「そんな事よりもミラは?お前の婚約者だろ!」
ハッと、鼻で笑うオズワルドの顔は醜く歪んでいる。
「ミラならさっき婚約破棄を告げて国外に追放してやったよ。僕の愛するエルザに数々の嫌がらせや虐めを行っていたからね」
エルザ?
確かミラの父親の後妻の連れ子の名がエルザだったか?
婚約破棄?それに国外追放だと?
「たとえオズワルドがこの国の王子だろうが、侯爵令嬢を追放する権利はないはずだ!ミラはどこにいるんだ!!」
俺の怒鳴り声でホールは静まり返るが、そこへ呑気な声が響く。
「だってお義姉様はわたくしに意地悪しましたのよ?・・・そんな事よりもデューク様?ダンスに誘って下さいませんの?」
なんだコイツ・・・オズワルドに撓垂れ掛かっているクセに俺にまで色目を使うのか?
俺がダンスを誘うのが当然のように手を差し出してくる・・・コイツを付け上がらせたのはオズワルドか・・・
「お前俺を舐めているのか?名を呼ぶ許可は出していないし、そんな見え見えの色仕掛けで俺がお前に転ぶとでも思っているのか?」
「デューク!失礼だろ!」
「ハッ!陛下がミラの国外追放を聞いたらお前はどうなるんだろうな?」
そこで我に返ったのか顔色を悪くするが、もう遅い。
「早くミラの居場所を言え!」
ホールを去る俺の目の端に、俺を舐めるように見つめる女が写ったが、それよりも早くミラを探し出さないと!
急いで邸に帰り、両親に軽く説明をして我が家の騎士を引き連れ国境に向かって馬を走らせた。
頼む!無事でいてくれ!
遅すぎた・・・
何もかもが遅すぎたんだ。
雨の中、数年ぶりに会った俺の大切な女の子は胸から血を流しながらも最後に『リュー・・・会い・・たかった』と微笑んで僕の腕の中で冷たくなっていった。
知らなかったんだ。
ずっと君は幸せなんだと思っていたんだ。
離れるべきではなかった。
傍でずっと見守っていればよかった。
あんな奴らに任せるべきではなかった。
間違ったんだ・・・
ミラを国境に運んでいた4人の男たちを拘束した。
タダでは済ませない。
冷たくなったミラを抱いて我が邸に連れて帰った。
王弟である父上の姪であり、母上の親友の娘であり、俺が物心ついた時からずっと大切に思ってきた女の子・・・ミラ。
王家の元末姫であるライラ叔母上の忘れ形見。
医師の診断ではミラの身体は古い傷痕から新しいものまで外から見えない場所に無数に残されていたと・・・
その日俺たちは動かないミラを抱きしめて慟哭と怨嗟の声を上げて復讐を誓った・・・。
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