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7巻
7-2
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〈試合がいいか? 真剣勝負がいいか? ……なに、殺しはせぬぞ、小僧に怒られるからな! 真剣勝負でもちゃんと死なない程度に抑えて、小僧の薬で元の状態に治してやるぞ〉
「なっ!」
剣聖は顔を真っ赤にして声を詰まらせる。真剣勝負と言っても、手加減されればそれは真剣勝負とは言わない。何より、事前に殺さないと宣言するなど、剣聖に対する侮辱だ。
「……真剣勝負だ」
怒りを堪えるように大きく息を吐きながら、剣聖は静かに言った。頭に血が上りそうになるのを、精神力で抑える。
剣聖は喉まで出かかった怒号を呑み込む。相手はグリフォン。傲慢になるに相応しい実力を持っていることを即座に思い出した。
〈安心しろ、攻撃魔法は使わぬ。使えば一瞬で終わるからな。面白くない〉
嘲笑いながら手加減を宣言するグリおじさんを、剣聖は睨みつける。怒りから充血した目は、赤く輝くようだった。
寝そべっていたグリおじさんが、ゆっくりと立ち上がる。
〈戦うのはこの場で良いのか? どこか闘技場のような場所で公開してやるか? ふむ、見世物にすれば意外といい小遣い稼ぎになるかもしれぬな! 美しいグリフォンと老いぼれ剣士の戦いだ‼〉
「……意外と下種っぽいのだな。ここでいい」
大げさに翼を広げて言うグリおじさんに、剣聖は吐き捨てるように返す。
この丘の上に動き回れるだけの十分な広さがあるのはすでに確認済みだ。だからこそグリおじさんはこの場を選んだし、剣聖もまたそれを知って、武装を整えてグリおじさんを追って来たのだから。
〈金は大事だぞ。昔知っていた女がいつも金欠で行き倒れていたからな、魔獣である我であっても金の大切さは知っている。バカな女だったぞ。真実の愛を見つけると言って、高貴な身分ながら出奔して、一人の従者と共に旅を続けていた。その癖金にだらしなく、いつも他人に迷惑をかけておったな。知り合ったのも、腹を減らして行き倒れていた時だった〉
「何を言っている?」
目を瞑り、グリおじさんは記憶を辿るように懐かしそうに語る。突如始まった昔話に、剣聖は訝しげな目を向けた。今この場にはまったく関係ない話題だ。
〈貴様の思い人である、あの女のせいだ。あの女に会ったことで、我も色々と昔を思い出してな……。我は小僧たちの前では昔を語らぬと決めているからな。何の縁もない、今後も大して関わらぬであろう貴様に語って、懐古の気持ちを誤魔化しているのだ。まあ、我も思い出に酔う時があるということだ。酔って、こみ上げてくるものを貴様というゴミ箱に吐き出したに過ぎぬ。気にするな〉
なんのことはない。グリおじさんは思い出話を語りたいが、語る相手がいないので無関係な剣聖相手に吐き出しているだけだった。それを酔って吐き出す吐しゃ物とゴミ箱に例えているのは悪質だが。
剣聖は自身をゴミ箱に例えられたことよりも、あの女を「貴様の思い人」と言われたことに心を動かし、一瞬だけ拳を握りしめた。
〈さて、つまらぬ話をしているうちに、見届け人が来たようだ〉
グリおじさんがそう呟いて促したことで、剣聖は周囲を探るように見渡す。視線を這わすと同時に、全ての感覚を使って目の届かない範囲まで気配を探る。そして、この場に近づく人間に気付いた。
「……これは、ディートリヒか?」
剣聖が呟き、しばらく待ってみると、慌てた様子のディートリヒが駆け寄ってくる姿が見えた。
「何だよいきなり呼び出しやがって!」
グリおじさんの姿を見つけた途端、ディートリヒは荒い息を吐きながら叫んだ。どうやら全力で走って来たらしい。
そうでもなければ、討伐成功のお披露目をしていた海岸から丘の上のこの場まで、ディートリヒであってもこの短時間で来ることは不可能だっただろう。
〈待っていたぞ〉
「待っていたぞ、じゃねーよ! 超位の治癒魔法薬を持って大至急来いって、何が起こったんだ⁉」
ディートリヒはグリおじさんに呼び出されていた。その呼び出しの内容から、超位の治癒魔法薬が必要な緊急事態が起こっていると判断し、大慌てでやって来たのだった。
その手には望郷の荷物が収まっている魔法の鞄がある。
剣聖はグリおじさんの意図を察した。先ほどまでのグリおじさんの意味が分からない雑談は、急遽呼び出したディートリヒが来るまでの時間稼ぎだったのだろう。
つまらない小細工に剣聖は少し苛立ちを感じた。
〈小僧に言っておらぬだろうな?〉
「脅して口止めしやがった癖に、何言ってるんだよ! 言ってねーよ。人がせっかく討伐成功のお披露目でいい気分でいたのによ」
ディートリヒはグリおじさんの前まで来ると、疲れた様子でハアハアと荒い息を吐きながら膝に手をついて前かがみとなった。自然と、グリおじさんと視線の高さが揃ってしまう。一匹と一人は近い位置で睨み合った。
〈貴様の周りには男しかいなかったがな! 祝いの席でも女に避けられている可哀そうなやつが、気後れせずに抜けられるようにしてやったのだ! 我の気遣いがなぜ分からん? 女に囲まれている小僧どもに嫉妬しておったのだろう? それとも、暑苦しい男どもに囲まれ続けたかったのか?〉
「うるせぇ! 人が考えないようにしてることを当然みたいに指摘すんな、陰険グリフォン‼ 汗臭い男からでも感謝されるのは嬉しいんだよ! 感謝の言葉に男も女も関係ないだろ‼」
〈やせ我慢は見苦しいな〉
嫌味な笑いを向けるグリおじさんに、ディートリヒは大きくため息をついた。
「……もういい。それで何があった……」
そこまで言ってから、ディートリヒはやっと傍らの剣聖の存在に気付いたらしく、そちらに目を向けた。
「ジジイ……」
剣聖は黒い鎧姿だ。ディートリヒは、それが彼の本気で戦う時に使う防具だと知っていた。
ここには二人と一匹しかいない。
だとすれば、その本気で戦う相手は限られる。
「陰険グリフォン、何をするつもりだ?」
ディートリヒは再びグリおじさんを睨みつけた。
〈我ではない。あやつの望みだ〉
その言葉にディートリヒが剣聖へと視線を向けると、彼は無言で頷いた。
「……オレに治癒魔法薬を持って来させたってことは、殺す気はないんだな?」
ディートリヒと剣聖は長い付き合いだ。それなりに性格を理解している。そして、ディートリヒも最近剣聖の行動がおかしいことには気付いていた。
剣聖が陰険グリフォンに勝負を挑んだことはすぐに察せられた。そして、グリおじさんに持って来るように言われた超位の治癒魔法薬の使い道も理解した。
つまり、グリおじさんは超位の治癒魔法薬が必要になるくらい、勝負を挑んできた剣聖を徹底的に痛めつけるつもりなのだ。
〈殺せば小僧に怒られるであろう?〉
「分かった」
ディートリヒは聞きたいことは終わったとばかりに、前かがみの体勢から腰を伸ばすとグリおじさんと剣聖から距離を取った。互いに了承している勝負に水を差すようなことはしない。
「見届けさせてもらう。勝敗はどちらかが負けを認めるか、戦闘不能になるかでいいか?」
「それでいい」
〈良かろう。ただ、我は攻撃に魔法は使わぬからな。攻撃魔法を使った時点で負けで良い〉
「いいのか?」
思わず、ディートリヒは聞き返した。ディートリヒは魔法以外でグリおじさんが戦っている姿を見たことがない。
〈寝坊助、貴様は我を侮っていないか? 小僧に魔法が使えることを知られる前までは、我は魔法を一切使わずに戦っていたのだぞ?〉
ロアが前にいた冒険者パーティー『暁の光』から追い出されるまで、グリおじさんは魔法が使えることを隠していた。
それは暁の光のメンバーに自分の価値を示して利用されるのを嫌ったからだが、その状態でも、暁の光が勇者パーティーと言われるほどに活躍するのを支えていたのだ。
それを考えれば、グリおじさんが魔法を使わずともかなり強いのは間違いない。
〈そうだ、寝坊助は小僧の剣技の指導の時、我に口を挟むなと言っていたな。人間の剣技など知らぬ癖に、適当なことを言うなと!〉
グリおじさんはロアの剣の指導を自分ではせず、望郷のメンバーに任せている。ロアと体格が近く、剣だけではなく他の武器にも精通している盾役のコルネリアが主に指導し、ディートリヒとクリストフが補助と模擬戦闘の相手を担っていた。
これはグリおじさんが、人間から教えてもらう方が、知識だけでなく実際に剣の扱いや動きを観察することもできて成長が速いだろうと判断したからだ。グリおじさん自身は時々、気になったところを指摘するに留めていたのである。
ディートリヒたちはロアに指導すること自体に不満はなく、むしろロアの成長を楽しみにしていたが、要所要所でグリおじさんが口出ししてくることを鬱陶しく思っていたのだった。
〈貴様の不満も解消しておこう。借りるぞ〉
「おっ? え?」
グリおじさんが声を掛けると共に風が渦巻いて、ディートリヒの腰の剣が鞘から押し出され、スルリと抜かれて宙に浮いた。彼が腰に下げている二本の剣の片方……暴力鍛冶屋のブルーノに作ってもらった、ミスリルの線が入っていて魔法を纏わせることのできる剣だ。
グリおじさんは剣を風に乗せて自分の下に運ぶと、嘴で柄を横に咥えた。
〈我が貴様らより剣を使えることを見せてやる。剣聖などと呼んで持ち上げている者に勝ったなら、文句はあるまい?〉
剣を咥えたまま、グリおじさんはニヤリと笑った。
「バカにするな!」
それに怒ったのは、ディートリヒではなく剣聖だった。射殺しそうな視線をグリおじさんに向ける。
〈バカになどしてはおらぬぞ? 魔法を使わぬとなれば、我の武器は爪か嘴だけだ。それでは剣よりも遥かに短い間合いとなり、不利であろう? その不利を剣で埋めようとしているのだ。むしろ貴様を評価していることにならぬか?〉
「詭弁を!」
〈貴様も魔獣は剣を扱えぬと、先入観で決めつけるのか? ふふふふ……そういう傲慢な考えを潰してやるのも一興だ! さあ! 始めるぞ‼〉
有無を言わさず、グリおじさんは宣言する。
嘴に咥えている剣は、横一文字。その構えは微動だにしない。
剣聖はその姿を見て、大きく深呼吸をする。
目の前の性悪グリフォンは、明らかに挑発している。
君主であり、密かな思い人である女王を引き合いに出してバカにし、そして剣聖の生き様ですらあった剣をも嘲笑う。酷く単純な挑発だが、剣聖には効果的だった。
だが……それは悪いことではない。
感情を抑えることを良しとする流派もあるのだろうが、剣聖が身に付けた剣技はそうではない。
最終的に、身体の動きや剣捌きが鈍らなければそれでいいのだ。剣聖は怒りごときで剣筋が乱れるほど未熟ではない。
安易な挑発は、逆効果だ。
「……後悔するなよ」
剣聖は自分の中で渦巻く感情のまま唸ると、剣を抜いた。
同時に、駆け出す。
ディートリヒであっても見逃すほどの早業。気付けば、金属同士がぶつかり合う甲高い音が響いていた。
剣聖が斬りかかり、グリおじさんが嘴に咥えた剣でそれを受けていた。
〈ふむ。やはり寝坊助の師だな、同じ癖がある。見慣れた剣技は予測も容易い〉
剣聖が二の腕の筋肉が膨れ上がるほどに力を込めているのにもかかわらず、それを受けているグリおじさんは涼しい顔だ。
剣を嘴で咥える不安定な状態だが、まったく揺らぐことはない。交差する二本の剣は、ギリギリと不快な音を立てていた。
〈身体強化が雑だな。年齢相応に鍛錬を積んでいるのだろうが、理論に裏付けされた使い方ではない。総合的な力はともかく身体強化の運用はコルネリアの方が上だな。その程度では魔獣である我の力には勝てぬぞ? ちなみに今の我は、魔法による強化も使っておらぬ〉
グリおじさんは交差している剣を撥ね上げ、剣聖を押し離すと剣を構え直す。
押されたことでわずかながら剣聖は体勢を崩したが、すぐに立て直して再びグリおじさんへと距離を詰めた。
即座に繰り出されるのは、多彩な方向からの突きだ。力負けしたことで、今度は技で戦おうというのだろう。
グリおじさんは剣を横向きに咥えている。そのため剣聖は、グリおじさんが剣の向きを安易に変えられないと判断した。
ならば、横や縦に振り払う攻撃ではなく、あらゆる方向に攻撃を振り分ける方が有効だ。
剣聖は二刀流で手数を増やしての攻撃も考えたが、力負けした相手に片手で握る二刀流は無謀だと考え、一刀のままで突くことを選んだのだった。
剣聖は数度左右に振り分けるように攻撃した後、グリおじさんの首元目掛けて渾身の突きを放った。
〈我が何なのか忘れておらぬか?〉
攻撃を仕掛けた次の瞬間に吹っ飛んだのは、剣聖だった。
「ぐえっ!」
剣聖の脇腹に強い衝撃が走り、喉から醜い声が押し出される。
〈まったく、浅はかだ。我は手が二本、足が二本の人間とは違うのだぞ?〉
剣聖は何が起こったのか分からなかった。だが、グリおじさんに目を向け、察した。
「……卑怯な……」
剣聖の脇腹に強い衝撃を与えたのは、グリおじさんの翼だった。突きを出す隙を狙って、グリおじさんは剣聖の死角からその大きな翼を叩きつけたのだ。
〈何が卑怯だ? 人間同士の戦いであっても隙があれば蹴るであろう? 空いた手で殴るであろう? 盾を持っていれば盾で攻撃するであろう? 肉体の一部で殴りつけて何が悪い? 我は剣を持った魔獣に過ぎぬ。翼もあるし、鋭い爪もあるのだぞ?〉
悪びれるでもないグリおじさんに言われ、剣聖は続けようとしていた言葉を呑み込んだ。
グリおじさんの言う通りだった。
剣士同士の試合であっても、自分の肉体や防具を使って攻撃するのは反則ではない。そもそも、今は正々堂々と戦わないといけない試合ではない。
グリおじさんが勝手に魔法を使わないと言っただけ。そして勝手に剣で戦うと言っただけだ。そんなもの、約束ですらない。
剣聖が願ったのは、真剣勝負だった。それも、魔獣であるグリフォン相手の。真剣勝負を申し出ておいて、翼で殴られたからと文句を言うのは大きな筋違いだ。
剣聖は自身の言葉を恥じた。
〈さて、我が魔獣であることを思い出してもらったところで悪いが、そろそろ終わりにしよう。剣聖と言うからもう少し楽しめると思ったが、意外とつまらぬな。これ以上続ける意味もあるまい〉
グリおじさんは嘴に咥えた剣を器用に掲げて宣言する。
〈貴様がしっかりと敗北を自覚できるように……ふふふふ……そうだな、腕を一本いただこう〉
嗜虐的な喜びに輝くグリおじさんの瞳に、剣聖は背筋が凍るのを感じた。
次の瞬間、剣聖の左の肩に痛みが走った。
「なっ!」
気付けば、開けていたはずの剣聖の視界に、影が差していた。鼻先が触れ合うほどの距離にグリおじさんの鷲頭があった。
〈我の動きに反応すらできておらぬではないか。目で追うくらいはしてもらわねばな。情けない……今代の剣聖はこの程度か〉
剣聖の視界の端で、黒い欠片が飛び散る。
それが自身の鎧の肩当であることに気付いて、剣聖はようやく状況を理解した。
グリおじさんが高速で間合いを詰め、剣で肩当を弾き飛ばしたのだ。鎧は一部だけ破壊され、衝撃で痛みは感じたものの、剣聖の身体には傷一つついていない。あくまで脅しのための……弄んで楽しむための一撃だった。
剣聖は慌てて後ろに飛んで、グリおじさんから距離を取る。
だが、グリおじさんはそれを許してくれない。剣を振るうだけの距離を与えないとばかりに、今にも密着しそうな距離を保ってついて来る。
〈小僧の手入れを見続けてきたからな、知りたくもないのに防具の構造に詳しくなってしまった。貴様の鎧はなかなかの名品らしいが、正しく狙えば普通の剣でも簡単に壊すことができる〉
講義するように言ってのける。
グリおじさんが使っているのは、ディートリヒの剣だ。鋼の刀身に一筋のミスリルが交ざっているものだが、魔法を纏わせない状態では普通の剣と変わりない。鎧をこうも易々と壊せるはずがなかった。
それなのに破壊を可能としているのは剣を操る技術だ。
留め具などの壊れやすい場所に的確な強さで攻撃し、剣に刃こぼれさせることなく、剥ぎ取るように壊しているのだった。それは戦いの最中に針に糸を通すことに等しい。剣を極めた剣聖であっても、そう簡単に再現できる技ではなかった。
剣聖は悔しげに奥歯を噛みしめる。奥歯はギリリと音を立てた。
圧倒的な実力差。
攻撃も防御も何一つグリおじさんに敵わない。それは剣聖が久しく感じたことがなかった屈辱だった。
「ちっ」
せめて一撃。
敵わないまでも、何とか反撃を加えたい。
その思いが、剣聖の頭を冷ましていく。分析しようとグリおじさんの動きを見つめる。瞬き一つ許されない時間の中、いつしか剣聖の口元は獣のような凶暴な笑みに歪んでいた。
剣聖は数度飛び退いて再び距離を取ろうとした。しかし、それは叶わない。グリおじさんの動きが勝っている。老成した剣聖にとって最大の武器である、動きの予測がまったく役に立たない。
剣聖は仕方がなしに、現状で狙える場所を見極めようとする。
剣聖は必死に身をかわそうとしているが、グリおじさんは間合いを詰め続ける。その攻防の果てに、剣聖はこの近過ぎる間合いでも攻撃でき、しかも有効な打撃を与えられる所があることに気が付いた。
翼の付け根。
鷲の性質を大きく受け継いでいる翼は骨が中空で脆く、守っている肉も薄い。屈強な筋肉と分厚い毛皮で覆われている部分よりは、遥かに攻撃が通りやすい。さらには傷つけ動かないようにできれば、翼は重荷にしかならない。大きな翼は引きずれば邪魔になり、動きを制限する。
そこは、グリフォンの弱点。
剣聖は、ディートリヒから闇魔法を使うグリフォンと戦った時の武勇伝を聞き、その弱点を知識として蓄えていた。いつかグリフォンと戦うことがあれば、その知識を試してみようと考えていた。
今、その時に聞いた弱点が手を伸ばせば届く範囲に、剣が当たる位置にある。
「死ね!」
剣聖は全力を込めて剣を振った。
〈こうも易々と誘いに乗るか……寝坊助と同じで単純過ぎるな〉
しっかりと狙ったというのに、剣聖の剣は逸れた。
いや、逸らされた。
グリおじさんは嘴の先で軽く剣聖の身体を押しただけだ。しかし、それだけで剣聖の身体は揺れ、狙いが逸らされた。
まるでグリおじさんの輪郭をなぞるように、紙一重で剣聖の剣は空を切った。
〈翼を狙うのは正しいがな、寝坊助にグリフォンの弱点を教えたのは我だぞ? 警戒し対策をしていないわけがないであろう? 今は魔法で強化や防御をしておらぬがゆえに逸らしたが、普段であれば、そこは最も堅固に防御している場所だ。我の弱点ではない〉
その言葉を聞くと共に、剣聖は自身の右腕付け根……脇から肩にかけて風が吹き抜けたような感じがした。
冷たい感覚が走り抜ける。気付けば、空中に赤い物が飛び散っていた。
〈鎧という物は、どのように意匠を凝らしたとしても、強化し切れぬ場所がいくつかあるそうだぞ。脇の下もその一つだ。小僧の受け売りだがな〉
ドサリと、離れた場所で何か重い物が落ちる音が聞こえた。
「くっ‼」
その音と共に、剣聖の右肩に猛烈な痛みが訪れた。痛みを通り越して、焼けた鉄を押し付けられたような熱さすら感じた。思わず剣聖は左手で右肩を押さえようとする。
……しかし、そこには何もなかった。
「腕が……」
剣聖は押し出すように短く呟くと、そのまま膝をつく。歯を食いしばり身体を丸めて、襲い来る痛みに耐えた。滲む涙で歪んだ視界に、肩から溢れる血が足元に作る血溜まりが映っていた。
〈宣言通り腕を一本いただいた。弱者よ、しっかり敗北を自覚するがいい〉
グリおじさんは宣言通り、剣聖の右腕を肩から斬り落としていた。装甲のない脇を狙い、下から上へと剣を振り上げて一撃で斬り裂いたのだ。
身体を丸めてうずくまった剣聖はもう動けない。グリおじさんは傍らに立ってそれを満足げに見下ろしている。
苦痛に耐える呻き声だけが、辺りに響いていた。
「そこまで‼」
凄惨な光景の中、ディートリヒの声が割って入った。
「やり過ぎだ! この害獣!」
ディートリヒは怒気を纏いながら、剣聖に駆け寄る。
〈この男は貴様に似て諦めが悪そうだったからな。徹底的に心を折らないと負けを認めぬと思ったのだ。それに元々この戦いはこやつの望みだぞ? 我は悪くない! 寝坊助も分かっているからこそ、途中で止めなかったのであろうが!〉
「……それは……そうなんだが……」
ディートリヒが止められる機会はあった。
しかし、剣聖がそれを望んでいるとは思えなかったため、グリおじさんが腕を斬る瞬間でも声すら掛けなかったのだった。
もちろんそれはロアの作った治癒魔法薬が手元にあり、どのような傷を負っても即死でない限り治せるという確信があったからこその行動だ。そうでなければ、ディートリヒ自ら剣の前に飛び出してでも止めていたことだろう。
「とにかく、勝負はついた。ジジイの腕は治すからな」
そう言いながら、ディートリヒは斬り落とされた剣聖の右腕を付け直すため、拾おうと手を伸ばした。
だが、しかし……。
〈おーっと、手がすべったぁ!〉
抑揚がない露骨な棒読みで、グリおじさんが叫ぶ。
それと同時に、落ちていた剣聖の右腕目掛けて、ものすごい速さで剣が繰り出された。そのまま剣は右腕に当たるが、斬り裂かれたりはしない。当たったのは剣の腹だ。
スパーンという心地好い音と共に、剣聖の右腕は宙を舞った。
大きく弧を描き、小高い丘を越えて眼下に広がっている海に向かって飛んで行く。
「なっ……何しやがる‼」
ディートリヒが叫ぶが、グリおじさんは涼しい顔をして海へと落ちていく剣聖の右腕を見つめていた。
〈あーあ。これでは斬り落とした腕の付け直しはできぬなぁ。だが、小僧の作った魔法薬には部位欠損治癒型の超位のものがあったはずだなぁ。良かったなぁ〉
グリおじさんはこれまた明らかな棒読みで言うと、嬉しそうに目を細めてディートリヒを見た。
「……」
そのムカつく表情に、ディートリヒは何度か口を開けて言葉をぶつけようとしたが、予想外の出来事に驚き過ぎて言葉が出ない。腹が立ち過ぎて、頭が回らない。
いつもながら何を考えているか分からないグリおじさんだが、度を越している。何も言えず、ディートリヒは射殺すような視線を向けるしかできない。
「なっ!」
剣聖は顔を真っ赤にして声を詰まらせる。真剣勝負と言っても、手加減されればそれは真剣勝負とは言わない。何より、事前に殺さないと宣言するなど、剣聖に対する侮辱だ。
「……真剣勝負だ」
怒りを堪えるように大きく息を吐きながら、剣聖は静かに言った。頭に血が上りそうになるのを、精神力で抑える。
剣聖は喉まで出かかった怒号を呑み込む。相手はグリフォン。傲慢になるに相応しい実力を持っていることを即座に思い出した。
〈安心しろ、攻撃魔法は使わぬ。使えば一瞬で終わるからな。面白くない〉
嘲笑いながら手加減を宣言するグリおじさんを、剣聖は睨みつける。怒りから充血した目は、赤く輝くようだった。
寝そべっていたグリおじさんが、ゆっくりと立ち上がる。
〈戦うのはこの場で良いのか? どこか闘技場のような場所で公開してやるか? ふむ、見世物にすれば意外といい小遣い稼ぎになるかもしれぬな! 美しいグリフォンと老いぼれ剣士の戦いだ‼〉
「……意外と下種っぽいのだな。ここでいい」
大げさに翼を広げて言うグリおじさんに、剣聖は吐き捨てるように返す。
この丘の上に動き回れるだけの十分な広さがあるのはすでに確認済みだ。だからこそグリおじさんはこの場を選んだし、剣聖もまたそれを知って、武装を整えてグリおじさんを追って来たのだから。
〈金は大事だぞ。昔知っていた女がいつも金欠で行き倒れていたからな、魔獣である我であっても金の大切さは知っている。バカな女だったぞ。真実の愛を見つけると言って、高貴な身分ながら出奔して、一人の従者と共に旅を続けていた。その癖金にだらしなく、いつも他人に迷惑をかけておったな。知り合ったのも、腹を減らして行き倒れていた時だった〉
「何を言っている?」
目を瞑り、グリおじさんは記憶を辿るように懐かしそうに語る。突如始まった昔話に、剣聖は訝しげな目を向けた。今この場にはまったく関係ない話題だ。
〈貴様の思い人である、あの女のせいだ。あの女に会ったことで、我も色々と昔を思い出してな……。我は小僧たちの前では昔を語らぬと決めているからな。何の縁もない、今後も大して関わらぬであろう貴様に語って、懐古の気持ちを誤魔化しているのだ。まあ、我も思い出に酔う時があるということだ。酔って、こみ上げてくるものを貴様というゴミ箱に吐き出したに過ぎぬ。気にするな〉
なんのことはない。グリおじさんは思い出話を語りたいが、語る相手がいないので無関係な剣聖相手に吐き出しているだけだった。それを酔って吐き出す吐しゃ物とゴミ箱に例えているのは悪質だが。
剣聖は自身をゴミ箱に例えられたことよりも、あの女を「貴様の思い人」と言われたことに心を動かし、一瞬だけ拳を握りしめた。
〈さて、つまらぬ話をしているうちに、見届け人が来たようだ〉
グリおじさんがそう呟いて促したことで、剣聖は周囲を探るように見渡す。視線を這わすと同時に、全ての感覚を使って目の届かない範囲まで気配を探る。そして、この場に近づく人間に気付いた。
「……これは、ディートリヒか?」
剣聖が呟き、しばらく待ってみると、慌てた様子のディートリヒが駆け寄ってくる姿が見えた。
「何だよいきなり呼び出しやがって!」
グリおじさんの姿を見つけた途端、ディートリヒは荒い息を吐きながら叫んだ。どうやら全力で走って来たらしい。
そうでもなければ、討伐成功のお披露目をしていた海岸から丘の上のこの場まで、ディートリヒであってもこの短時間で来ることは不可能だっただろう。
〈待っていたぞ〉
「待っていたぞ、じゃねーよ! 超位の治癒魔法薬を持って大至急来いって、何が起こったんだ⁉」
ディートリヒはグリおじさんに呼び出されていた。その呼び出しの内容から、超位の治癒魔法薬が必要な緊急事態が起こっていると判断し、大慌てでやって来たのだった。
その手には望郷の荷物が収まっている魔法の鞄がある。
剣聖はグリおじさんの意図を察した。先ほどまでのグリおじさんの意味が分からない雑談は、急遽呼び出したディートリヒが来るまでの時間稼ぎだったのだろう。
つまらない小細工に剣聖は少し苛立ちを感じた。
〈小僧に言っておらぬだろうな?〉
「脅して口止めしやがった癖に、何言ってるんだよ! 言ってねーよ。人がせっかく討伐成功のお披露目でいい気分でいたのによ」
ディートリヒはグリおじさんの前まで来ると、疲れた様子でハアハアと荒い息を吐きながら膝に手をついて前かがみとなった。自然と、グリおじさんと視線の高さが揃ってしまう。一匹と一人は近い位置で睨み合った。
〈貴様の周りには男しかいなかったがな! 祝いの席でも女に避けられている可哀そうなやつが、気後れせずに抜けられるようにしてやったのだ! 我の気遣いがなぜ分からん? 女に囲まれている小僧どもに嫉妬しておったのだろう? それとも、暑苦しい男どもに囲まれ続けたかったのか?〉
「うるせぇ! 人が考えないようにしてることを当然みたいに指摘すんな、陰険グリフォン‼ 汗臭い男からでも感謝されるのは嬉しいんだよ! 感謝の言葉に男も女も関係ないだろ‼」
〈やせ我慢は見苦しいな〉
嫌味な笑いを向けるグリおじさんに、ディートリヒは大きくため息をついた。
「……もういい。それで何があった……」
そこまで言ってから、ディートリヒはやっと傍らの剣聖の存在に気付いたらしく、そちらに目を向けた。
「ジジイ……」
剣聖は黒い鎧姿だ。ディートリヒは、それが彼の本気で戦う時に使う防具だと知っていた。
ここには二人と一匹しかいない。
だとすれば、その本気で戦う相手は限られる。
「陰険グリフォン、何をするつもりだ?」
ディートリヒは再びグリおじさんを睨みつけた。
〈我ではない。あやつの望みだ〉
その言葉にディートリヒが剣聖へと視線を向けると、彼は無言で頷いた。
「……オレに治癒魔法薬を持って来させたってことは、殺す気はないんだな?」
ディートリヒと剣聖は長い付き合いだ。それなりに性格を理解している。そして、ディートリヒも最近剣聖の行動がおかしいことには気付いていた。
剣聖が陰険グリフォンに勝負を挑んだことはすぐに察せられた。そして、グリおじさんに持って来るように言われた超位の治癒魔法薬の使い道も理解した。
つまり、グリおじさんは超位の治癒魔法薬が必要になるくらい、勝負を挑んできた剣聖を徹底的に痛めつけるつもりなのだ。
〈殺せば小僧に怒られるであろう?〉
「分かった」
ディートリヒは聞きたいことは終わったとばかりに、前かがみの体勢から腰を伸ばすとグリおじさんと剣聖から距離を取った。互いに了承している勝負に水を差すようなことはしない。
「見届けさせてもらう。勝敗はどちらかが負けを認めるか、戦闘不能になるかでいいか?」
「それでいい」
〈良かろう。ただ、我は攻撃に魔法は使わぬからな。攻撃魔法を使った時点で負けで良い〉
「いいのか?」
思わず、ディートリヒは聞き返した。ディートリヒは魔法以外でグリおじさんが戦っている姿を見たことがない。
〈寝坊助、貴様は我を侮っていないか? 小僧に魔法が使えることを知られる前までは、我は魔法を一切使わずに戦っていたのだぞ?〉
ロアが前にいた冒険者パーティー『暁の光』から追い出されるまで、グリおじさんは魔法が使えることを隠していた。
それは暁の光のメンバーに自分の価値を示して利用されるのを嫌ったからだが、その状態でも、暁の光が勇者パーティーと言われるほどに活躍するのを支えていたのだ。
それを考えれば、グリおじさんが魔法を使わずともかなり強いのは間違いない。
〈そうだ、寝坊助は小僧の剣技の指導の時、我に口を挟むなと言っていたな。人間の剣技など知らぬ癖に、適当なことを言うなと!〉
グリおじさんはロアの剣の指導を自分ではせず、望郷のメンバーに任せている。ロアと体格が近く、剣だけではなく他の武器にも精通している盾役のコルネリアが主に指導し、ディートリヒとクリストフが補助と模擬戦闘の相手を担っていた。
これはグリおじさんが、人間から教えてもらう方が、知識だけでなく実際に剣の扱いや動きを観察することもできて成長が速いだろうと判断したからだ。グリおじさん自身は時々、気になったところを指摘するに留めていたのである。
ディートリヒたちはロアに指導すること自体に不満はなく、むしろロアの成長を楽しみにしていたが、要所要所でグリおじさんが口出ししてくることを鬱陶しく思っていたのだった。
〈貴様の不満も解消しておこう。借りるぞ〉
「おっ? え?」
グリおじさんが声を掛けると共に風が渦巻いて、ディートリヒの腰の剣が鞘から押し出され、スルリと抜かれて宙に浮いた。彼が腰に下げている二本の剣の片方……暴力鍛冶屋のブルーノに作ってもらった、ミスリルの線が入っていて魔法を纏わせることのできる剣だ。
グリおじさんは剣を風に乗せて自分の下に運ぶと、嘴で柄を横に咥えた。
〈我が貴様らより剣を使えることを見せてやる。剣聖などと呼んで持ち上げている者に勝ったなら、文句はあるまい?〉
剣を咥えたまま、グリおじさんはニヤリと笑った。
「バカにするな!」
それに怒ったのは、ディートリヒではなく剣聖だった。射殺しそうな視線をグリおじさんに向ける。
〈バカになどしてはおらぬぞ? 魔法を使わぬとなれば、我の武器は爪か嘴だけだ。それでは剣よりも遥かに短い間合いとなり、不利であろう? その不利を剣で埋めようとしているのだ。むしろ貴様を評価していることにならぬか?〉
「詭弁を!」
〈貴様も魔獣は剣を扱えぬと、先入観で決めつけるのか? ふふふふ……そういう傲慢な考えを潰してやるのも一興だ! さあ! 始めるぞ‼〉
有無を言わさず、グリおじさんは宣言する。
嘴に咥えている剣は、横一文字。その構えは微動だにしない。
剣聖はその姿を見て、大きく深呼吸をする。
目の前の性悪グリフォンは、明らかに挑発している。
君主であり、密かな思い人である女王を引き合いに出してバカにし、そして剣聖の生き様ですらあった剣をも嘲笑う。酷く単純な挑発だが、剣聖には効果的だった。
だが……それは悪いことではない。
感情を抑えることを良しとする流派もあるのだろうが、剣聖が身に付けた剣技はそうではない。
最終的に、身体の動きや剣捌きが鈍らなければそれでいいのだ。剣聖は怒りごときで剣筋が乱れるほど未熟ではない。
安易な挑発は、逆効果だ。
「……後悔するなよ」
剣聖は自分の中で渦巻く感情のまま唸ると、剣を抜いた。
同時に、駆け出す。
ディートリヒであっても見逃すほどの早業。気付けば、金属同士がぶつかり合う甲高い音が響いていた。
剣聖が斬りかかり、グリおじさんが嘴に咥えた剣でそれを受けていた。
〈ふむ。やはり寝坊助の師だな、同じ癖がある。見慣れた剣技は予測も容易い〉
剣聖が二の腕の筋肉が膨れ上がるほどに力を込めているのにもかかわらず、それを受けているグリおじさんは涼しい顔だ。
剣を嘴で咥える不安定な状態だが、まったく揺らぐことはない。交差する二本の剣は、ギリギリと不快な音を立てていた。
〈身体強化が雑だな。年齢相応に鍛錬を積んでいるのだろうが、理論に裏付けされた使い方ではない。総合的な力はともかく身体強化の運用はコルネリアの方が上だな。その程度では魔獣である我の力には勝てぬぞ? ちなみに今の我は、魔法による強化も使っておらぬ〉
グリおじさんは交差している剣を撥ね上げ、剣聖を押し離すと剣を構え直す。
押されたことでわずかながら剣聖は体勢を崩したが、すぐに立て直して再びグリおじさんへと距離を詰めた。
即座に繰り出されるのは、多彩な方向からの突きだ。力負けしたことで、今度は技で戦おうというのだろう。
グリおじさんは剣を横向きに咥えている。そのため剣聖は、グリおじさんが剣の向きを安易に変えられないと判断した。
ならば、横や縦に振り払う攻撃ではなく、あらゆる方向に攻撃を振り分ける方が有効だ。
剣聖は二刀流で手数を増やしての攻撃も考えたが、力負けした相手に片手で握る二刀流は無謀だと考え、一刀のままで突くことを選んだのだった。
剣聖は数度左右に振り分けるように攻撃した後、グリおじさんの首元目掛けて渾身の突きを放った。
〈我が何なのか忘れておらぬか?〉
攻撃を仕掛けた次の瞬間に吹っ飛んだのは、剣聖だった。
「ぐえっ!」
剣聖の脇腹に強い衝撃が走り、喉から醜い声が押し出される。
〈まったく、浅はかだ。我は手が二本、足が二本の人間とは違うのだぞ?〉
剣聖は何が起こったのか分からなかった。だが、グリおじさんに目を向け、察した。
「……卑怯な……」
剣聖の脇腹に強い衝撃を与えたのは、グリおじさんの翼だった。突きを出す隙を狙って、グリおじさんは剣聖の死角からその大きな翼を叩きつけたのだ。
〈何が卑怯だ? 人間同士の戦いであっても隙があれば蹴るであろう? 空いた手で殴るであろう? 盾を持っていれば盾で攻撃するであろう? 肉体の一部で殴りつけて何が悪い? 我は剣を持った魔獣に過ぎぬ。翼もあるし、鋭い爪もあるのだぞ?〉
悪びれるでもないグリおじさんに言われ、剣聖は続けようとしていた言葉を呑み込んだ。
グリおじさんの言う通りだった。
剣士同士の試合であっても、自分の肉体や防具を使って攻撃するのは反則ではない。そもそも、今は正々堂々と戦わないといけない試合ではない。
グリおじさんが勝手に魔法を使わないと言っただけ。そして勝手に剣で戦うと言っただけだ。そんなもの、約束ですらない。
剣聖が願ったのは、真剣勝負だった。それも、魔獣であるグリフォン相手の。真剣勝負を申し出ておいて、翼で殴られたからと文句を言うのは大きな筋違いだ。
剣聖は自身の言葉を恥じた。
〈さて、我が魔獣であることを思い出してもらったところで悪いが、そろそろ終わりにしよう。剣聖と言うからもう少し楽しめると思ったが、意外とつまらぬな。これ以上続ける意味もあるまい〉
グリおじさんは嘴に咥えた剣を器用に掲げて宣言する。
〈貴様がしっかりと敗北を自覚できるように……ふふふふ……そうだな、腕を一本いただこう〉
嗜虐的な喜びに輝くグリおじさんの瞳に、剣聖は背筋が凍るのを感じた。
次の瞬間、剣聖の左の肩に痛みが走った。
「なっ!」
気付けば、開けていたはずの剣聖の視界に、影が差していた。鼻先が触れ合うほどの距離にグリおじさんの鷲頭があった。
〈我の動きに反応すらできておらぬではないか。目で追うくらいはしてもらわねばな。情けない……今代の剣聖はこの程度か〉
剣聖の視界の端で、黒い欠片が飛び散る。
それが自身の鎧の肩当であることに気付いて、剣聖はようやく状況を理解した。
グリおじさんが高速で間合いを詰め、剣で肩当を弾き飛ばしたのだ。鎧は一部だけ破壊され、衝撃で痛みは感じたものの、剣聖の身体には傷一つついていない。あくまで脅しのための……弄んで楽しむための一撃だった。
剣聖は慌てて後ろに飛んで、グリおじさんから距離を取る。
だが、グリおじさんはそれを許してくれない。剣を振るうだけの距離を与えないとばかりに、今にも密着しそうな距離を保ってついて来る。
〈小僧の手入れを見続けてきたからな、知りたくもないのに防具の構造に詳しくなってしまった。貴様の鎧はなかなかの名品らしいが、正しく狙えば普通の剣でも簡単に壊すことができる〉
講義するように言ってのける。
グリおじさんが使っているのは、ディートリヒの剣だ。鋼の刀身に一筋のミスリルが交ざっているものだが、魔法を纏わせない状態では普通の剣と変わりない。鎧をこうも易々と壊せるはずがなかった。
それなのに破壊を可能としているのは剣を操る技術だ。
留め具などの壊れやすい場所に的確な強さで攻撃し、剣に刃こぼれさせることなく、剥ぎ取るように壊しているのだった。それは戦いの最中に針に糸を通すことに等しい。剣を極めた剣聖であっても、そう簡単に再現できる技ではなかった。
剣聖は悔しげに奥歯を噛みしめる。奥歯はギリリと音を立てた。
圧倒的な実力差。
攻撃も防御も何一つグリおじさんに敵わない。それは剣聖が久しく感じたことがなかった屈辱だった。
「ちっ」
せめて一撃。
敵わないまでも、何とか反撃を加えたい。
その思いが、剣聖の頭を冷ましていく。分析しようとグリおじさんの動きを見つめる。瞬き一つ許されない時間の中、いつしか剣聖の口元は獣のような凶暴な笑みに歪んでいた。
剣聖は数度飛び退いて再び距離を取ろうとした。しかし、それは叶わない。グリおじさんの動きが勝っている。老成した剣聖にとって最大の武器である、動きの予測がまったく役に立たない。
剣聖は仕方がなしに、現状で狙える場所を見極めようとする。
剣聖は必死に身をかわそうとしているが、グリおじさんは間合いを詰め続ける。その攻防の果てに、剣聖はこの近過ぎる間合いでも攻撃でき、しかも有効な打撃を与えられる所があることに気が付いた。
翼の付け根。
鷲の性質を大きく受け継いでいる翼は骨が中空で脆く、守っている肉も薄い。屈強な筋肉と分厚い毛皮で覆われている部分よりは、遥かに攻撃が通りやすい。さらには傷つけ動かないようにできれば、翼は重荷にしかならない。大きな翼は引きずれば邪魔になり、動きを制限する。
そこは、グリフォンの弱点。
剣聖は、ディートリヒから闇魔法を使うグリフォンと戦った時の武勇伝を聞き、その弱点を知識として蓄えていた。いつかグリフォンと戦うことがあれば、その知識を試してみようと考えていた。
今、その時に聞いた弱点が手を伸ばせば届く範囲に、剣が当たる位置にある。
「死ね!」
剣聖は全力を込めて剣を振った。
〈こうも易々と誘いに乗るか……寝坊助と同じで単純過ぎるな〉
しっかりと狙ったというのに、剣聖の剣は逸れた。
いや、逸らされた。
グリおじさんは嘴の先で軽く剣聖の身体を押しただけだ。しかし、それだけで剣聖の身体は揺れ、狙いが逸らされた。
まるでグリおじさんの輪郭をなぞるように、紙一重で剣聖の剣は空を切った。
〈翼を狙うのは正しいがな、寝坊助にグリフォンの弱点を教えたのは我だぞ? 警戒し対策をしていないわけがないであろう? 今は魔法で強化や防御をしておらぬがゆえに逸らしたが、普段であれば、そこは最も堅固に防御している場所だ。我の弱点ではない〉
その言葉を聞くと共に、剣聖は自身の右腕付け根……脇から肩にかけて風が吹き抜けたような感じがした。
冷たい感覚が走り抜ける。気付けば、空中に赤い物が飛び散っていた。
〈鎧という物は、どのように意匠を凝らしたとしても、強化し切れぬ場所がいくつかあるそうだぞ。脇の下もその一つだ。小僧の受け売りだがな〉
ドサリと、離れた場所で何か重い物が落ちる音が聞こえた。
「くっ‼」
その音と共に、剣聖の右肩に猛烈な痛みが訪れた。痛みを通り越して、焼けた鉄を押し付けられたような熱さすら感じた。思わず剣聖は左手で右肩を押さえようとする。
……しかし、そこには何もなかった。
「腕が……」
剣聖は押し出すように短く呟くと、そのまま膝をつく。歯を食いしばり身体を丸めて、襲い来る痛みに耐えた。滲む涙で歪んだ視界に、肩から溢れる血が足元に作る血溜まりが映っていた。
〈宣言通り腕を一本いただいた。弱者よ、しっかり敗北を自覚するがいい〉
グリおじさんは宣言通り、剣聖の右腕を肩から斬り落としていた。装甲のない脇を狙い、下から上へと剣を振り上げて一撃で斬り裂いたのだ。
身体を丸めてうずくまった剣聖はもう動けない。グリおじさんは傍らに立ってそれを満足げに見下ろしている。
苦痛に耐える呻き声だけが、辺りに響いていた。
「そこまで‼」
凄惨な光景の中、ディートリヒの声が割って入った。
「やり過ぎだ! この害獣!」
ディートリヒは怒気を纏いながら、剣聖に駆け寄る。
〈この男は貴様に似て諦めが悪そうだったからな。徹底的に心を折らないと負けを認めぬと思ったのだ。それに元々この戦いはこやつの望みだぞ? 我は悪くない! 寝坊助も分かっているからこそ、途中で止めなかったのであろうが!〉
「……それは……そうなんだが……」
ディートリヒが止められる機会はあった。
しかし、剣聖がそれを望んでいるとは思えなかったため、グリおじさんが腕を斬る瞬間でも声すら掛けなかったのだった。
もちろんそれはロアの作った治癒魔法薬が手元にあり、どのような傷を負っても即死でない限り治せるという確信があったからこその行動だ。そうでなければ、ディートリヒ自ら剣の前に飛び出してでも止めていたことだろう。
「とにかく、勝負はついた。ジジイの腕は治すからな」
そう言いながら、ディートリヒは斬り落とされた剣聖の右腕を付け直すため、拾おうと手を伸ばした。
だが、しかし……。
〈おーっと、手がすべったぁ!〉
抑揚がない露骨な棒読みで、グリおじさんが叫ぶ。
それと同時に、落ちていた剣聖の右腕目掛けて、ものすごい速さで剣が繰り出された。そのまま剣は右腕に当たるが、斬り裂かれたりはしない。当たったのは剣の腹だ。
スパーンという心地好い音と共に、剣聖の右腕は宙を舞った。
大きく弧を描き、小高い丘を越えて眼下に広がっている海に向かって飛んで行く。
「なっ……何しやがる‼」
ディートリヒが叫ぶが、グリおじさんは涼しい顔をして海へと落ちていく剣聖の右腕を見つめていた。
〈あーあ。これでは斬り落とした腕の付け直しはできぬなぁ。だが、小僧の作った魔法薬には部位欠損治癒型の超位のものがあったはずだなぁ。良かったなぁ〉
グリおじさんはこれまた明らかな棒読みで言うと、嬉しそうに目を細めてディートリヒを見た。
「……」
そのムカつく表情に、ディートリヒは何度か口を開けて言葉をぶつけようとしたが、予想外の出来事に驚き過ぎて言葉が出ない。腹が立ち過ぎて、頭が回らない。
いつもながら何を考えているか分からないグリおじさんだが、度を越している。何も言えず、ディートリヒは射殺すような視線を向けるしかできない。
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【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
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