【完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。

はゆりか

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78.

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「呆れてものも言えないな…国の上に立つ者たちが揃いも揃ってこんな愚か者とは…」

国王は、その3人をゆっくり見渡すと静かに頭を振る。

マサラダ公爵とキャスティン侯爵は視線を逸らして黙り込む。
モーメント侯爵だけは気が治らないようで、叫ぶように聞くに耐え無い暴言を言い続けている。


「罪を犯したからにはそれなりの罰を受けるべきです。逃げるつもりですか?いや…逃げられると思っているのですか?」

そんな3人に向かってサムル様がドスの効いた声を出す。
叫んでいたモーメント侯爵もそのサムル様の凄みを感じ取ってかピタリと暴言を止める。


いつものサムル様とは違う厳格な雰囲気に一気に部屋の空気が変わる。

この部屋の中の絶対的存在は国王陛下である筈なのに、サムル様はその国王すらを上回る威圧感を出している。


そんなサムル様を見て、先程まで呆れ返っていた国王がフッと笑みを浮かべた。


「そうだな…サムル…お前の言う通りだ。例えどんな理由があったとしても、罪に加担して逃げることなんてできない。どんな些細な塵でも溜まれば大きな害となる。

さて…この者たちをどうしたらいいか。

サムル…お前ならこの者たちをどうする?どう罰するのが適当だと思うか?」


国王の問いにサムル様は一瞬目を見開いて驚きを見せるも、すぐに愉しげな笑みを浮かべる。


「そうですね…お家断絶…と行きたいところですが、上位貴族である公爵 デューク侯爵 マーキスの身分をそうそう簡単に減らすわけには行きません。」

そう言って、サムル様は顎に手を当てて何かを考えるポーズをとる。

そんなサムル様にマサラダ公爵とキャスティン侯爵は希望を持った表情をする。

ただ1人、モーメント侯爵だけは不穏な顔をサムル様に向ける。

モーメント侯爵はサムル様の叔父。
サムル様の容赦ない性格をよくご存知なのでしょう。

私も付き合い自体は浅いですが、サムル様は甘い考えをするような方でない事はわかる。

今も考えるポーズをとっているけどもうきっとサムル様の中で答えは決まっている。


「マサラダ公爵は確か国の最南端に農業が盛んな領地を持っていましたよね?ただ、最近は雨が少なく凶作に苦しんでいるとか…

領民達からは度々嘆願書が届いているようですが、公爵は掛け合っていないようですね…

それは可哀想だ。

なので、公爵は公爵家を有能な弟君に譲り渡して公爵とトルネ嬢は自然豊かなその地で領民たちを助け、再度人生をやり直したらいかかでしょうか?自らの手で作物を作り、その大変さと喜びを学べばいいと思いますよ。」


ニッコリと優しい口調でサムル様はマサラダ公爵に向かって言う。

要は、公爵家を弟に譲り、マサラダ公爵は爵位を剥奪。
自身の見放した領地に左遷して恨まれているだろう領民たちと共に一からやり直せと…

確か、マサラダ公爵と弟は不仲で有名。
公爵位を弟に譲った場合、弟からの援助はないに等しいでしょう…

結構重い罰ですね…


でも、さすがサムル様です。


意味を理解したマサラダ公爵はその場に崩れ落ちる。
トルネ様はただただ呆然としている。

「あぁ。そうだ…公爵。マルクも一緒に連れていってくださいね。トルネ嬢も思うところはあるかもしれませんが、生まれてくる子供には何の罪もありませんから。マルクと2人で大切に育てて下さい。

子供を大切にきちんと育ててくれるのであれば私の方から子供が成人するまでの期間、生活の一部を毎月援助させていただきます。
ただ、子供に対して理不尽を働いたり、約束を守って頂けないときはそれ相応の対価を支払って頂きますのでよく覚えておいて下さい」


サムル様は思い出した様に言うと、トルネ様はビクリと震えながらもコクコクと激しく頭を縦に振った。





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