80 / 92
78.
しおりを挟む
「呆れてものも言えないな…国の上に立つ者たちが揃いも揃ってこんな愚か者とは…」
国王は、その3人をゆっくり見渡すと静かに頭を振る。
マサラダ公爵とキャスティン侯爵は視線を逸らして黙り込む。
モーメント侯爵だけは気が治らないようで、叫ぶように聞くに耐え無い暴言を言い続けている。
「罪を犯したからにはそれなりの罰を受けるべきです。逃げるつもりですか?いや…逃げられると思っているのですか?」
そんな3人に向かってサムル様がドスの効いた声を出す。
叫んでいたモーメント侯爵もそのサムル様の凄みを感じ取ってかピタリと暴言を止める。
いつものサムル様とは違う厳格な雰囲気に一気に部屋の空気が変わる。
この部屋の中の絶対的存在は国王陛下である筈なのに、サムル様はその国王すらを上回る威圧感を出している。
そんなサムル様を見て、先程まで呆れ返っていた国王がフッと笑みを浮かべた。
「そうだな…サムル…お前の言う通りだ。例えどんな理由があったとしても、罪に加担して逃げることなんてできない。どんな些細な塵でも溜まれば大きな害となる。
さて…この者たちをどうしたらいいか。
サムル…お前ならこの者たちをどうする?どう罰するのが適当だと思うか?」
国王の問いにサムル様は一瞬目を見開いて驚きを見せるも、すぐに愉しげな笑みを浮かべる。
「そうですね…お家断絶…と行きたいところですが、上位貴族である公爵と侯爵の身分をそうそう簡単に減らすわけには行きません。」
そう言って、サムル様は顎に手を当てて何かを考えるポーズをとる。
そんなサムル様にマサラダ公爵とキャスティン侯爵は希望を持った表情をする。
ただ1人、モーメント侯爵だけは不穏な顔をサムル様に向ける。
モーメント侯爵はサムル様の叔父。
サムル様の容赦ない性格をよくご存知なのでしょう。
私も付き合い自体は浅いですが、サムル様は甘い考えをするような方でない事はわかる。
今も考えるポーズをとっているけどもうきっとサムル様の中で答えは決まっている。
「マサラダ公爵は確か国の最南端に農業が盛んな領地を持っていましたよね?ただ、最近は雨が少なく凶作に苦しんでいるとか…
領民達からは度々嘆願書が届いているようですが、公爵は掛け合っていないようですね…
それは可哀想だ。
なので、公爵は公爵家を有能な弟君に譲り渡して公爵とトルネ嬢は自然豊かなその地で領民たちを助け、再度人生をやり直したらいかかでしょうか?自らの手で作物を作り、その大変さと喜びを学べばいいと思いますよ。」
ニッコリと優しい口調でサムル様はマサラダ公爵に向かって言う。
要は、公爵家を弟に譲り、マサラダ公爵は爵位を剥奪。
自身の見放した領地に左遷して恨まれているだろう領民たちと共に一からやり直せと…
確か、マサラダ公爵と弟は不仲で有名。
公爵位を弟に譲った場合、弟からの援助はないに等しいでしょう…
結構重い罰ですね…
でも、さすがサムル様です。
意味を理解したマサラダ公爵はその場に崩れ落ちる。
トルネ様はただただ呆然としている。
「あぁ。そうだ…公爵。マルクも一緒に連れていってくださいね。トルネ嬢も思うところはあるかもしれませんが、生まれてくる子供には何の罪もありませんから。マルクと2人で大切に育てて下さい。
子供を大切にきちんと育ててくれるのであれば私の方から子供が成人するまでの期間、生活の一部を毎月援助させていただきます。
ただ、子供に対して理不尽を働いたり、約束を守って頂けないときはそれ相応の対価を支払って頂きますのでよく覚えておいて下さい」
サムル様は思い出した様に言うと、トルネ様はビクリと震えながらもコクコクと激しく頭を縦に振った。
国王は、その3人をゆっくり見渡すと静かに頭を振る。
マサラダ公爵とキャスティン侯爵は視線を逸らして黙り込む。
モーメント侯爵だけは気が治らないようで、叫ぶように聞くに耐え無い暴言を言い続けている。
「罪を犯したからにはそれなりの罰を受けるべきです。逃げるつもりですか?いや…逃げられると思っているのですか?」
そんな3人に向かってサムル様がドスの効いた声を出す。
叫んでいたモーメント侯爵もそのサムル様の凄みを感じ取ってかピタリと暴言を止める。
いつものサムル様とは違う厳格な雰囲気に一気に部屋の空気が変わる。
この部屋の中の絶対的存在は国王陛下である筈なのに、サムル様はその国王すらを上回る威圧感を出している。
そんなサムル様を見て、先程まで呆れ返っていた国王がフッと笑みを浮かべた。
「そうだな…サムル…お前の言う通りだ。例えどんな理由があったとしても、罪に加担して逃げることなんてできない。どんな些細な塵でも溜まれば大きな害となる。
さて…この者たちをどうしたらいいか。
サムル…お前ならこの者たちをどうする?どう罰するのが適当だと思うか?」
国王の問いにサムル様は一瞬目を見開いて驚きを見せるも、すぐに愉しげな笑みを浮かべる。
「そうですね…お家断絶…と行きたいところですが、上位貴族である公爵と侯爵の身分をそうそう簡単に減らすわけには行きません。」
そう言って、サムル様は顎に手を当てて何かを考えるポーズをとる。
そんなサムル様にマサラダ公爵とキャスティン侯爵は希望を持った表情をする。
ただ1人、モーメント侯爵だけは不穏な顔をサムル様に向ける。
モーメント侯爵はサムル様の叔父。
サムル様の容赦ない性格をよくご存知なのでしょう。
私も付き合い自体は浅いですが、サムル様は甘い考えをするような方でない事はわかる。
今も考えるポーズをとっているけどもうきっとサムル様の中で答えは決まっている。
「マサラダ公爵は確か国の最南端に農業が盛んな領地を持っていましたよね?ただ、最近は雨が少なく凶作に苦しんでいるとか…
領民達からは度々嘆願書が届いているようですが、公爵は掛け合っていないようですね…
それは可哀想だ。
なので、公爵は公爵家を有能な弟君に譲り渡して公爵とトルネ嬢は自然豊かなその地で領民たちを助け、再度人生をやり直したらいかかでしょうか?自らの手で作物を作り、その大変さと喜びを学べばいいと思いますよ。」
ニッコリと優しい口調でサムル様はマサラダ公爵に向かって言う。
要は、公爵家を弟に譲り、マサラダ公爵は爵位を剥奪。
自身の見放した領地に左遷して恨まれているだろう領民たちと共に一からやり直せと…
確か、マサラダ公爵と弟は不仲で有名。
公爵位を弟に譲った場合、弟からの援助はないに等しいでしょう…
結構重い罰ですね…
でも、さすがサムル様です。
意味を理解したマサラダ公爵はその場に崩れ落ちる。
トルネ様はただただ呆然としている。
「あぁ。そうだ…公爵。マルクも一緒に連れていってくださいね。トルネ嬢も思うところはあるかもしれませんが、生まれてくる子供には何の罪もありませんから。マルクと2人で大切に育てて下さい。
子供を大切にきちんと育ててくれるのであれば私の方から子供が成人するまでの期間、生活の一部を毎月援助させていただきます。
ただ、子供に対して理不尽を働いたり、約束を守って頂けないときはそれ相応の対価を支払って頂きますのでよく覚えておいて下さい」
サムル様は思い出した様に言うと、トルネ様はビクリと震えながらもコクコクと激しく頭を縦に振った。
48
あなたにおすすめの小説
病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します
佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。
セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。
婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる