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悪魔のゆりかご ④
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ケイタに取りつく女子高生の霊は、苦しそうに嗚咽する。
全身が青紫色になり、額から角が生えてくる。
黒須は、鎖をキツく握り締め彼女を縛り付ける。
彼女は、金切り声を上げて悲鳴を上げている。
「段々、オーラの暴走が始まりつつあるな…」
黒須は、額に汗を流しながら脚を踏ん張っている。
「黒須、ケイタ君は、大丈夫だよね…?」
サトコは、動揺しつつ恐る恐る
手が酷くブルブル震える。
攻撃するだけでは、いけないようなきがしたのだ。
少年だけではなく、女子高生も救い出したい。
彼女の本音を知りたい。彼女の苦しみを、全身全霊で受け止めたい。
それが、己の使命のような気がしたのだ。
彼女と自分は、何処か重なる部分があるのだ。
「少年なら、大丈夫だ。 何とかな…たが、彼女の身が危ない。何とかしないと…」
己の精力を彼女に注ぎ込み、引っ張られないように邪鬼にならないようにひたすらキツく鎖を締めつけている。
黒須は、自身から青磁色の炎を纏ったオーラを放っている。
彼女の精力は限界を迎えている。自分に出来ることは、一体、何なのだろうかー?
「あの霊、とても苦しんでる。辛そうにしてるよ…このままだと、悪化してしまうよ。」
サトコには、ハッキリ分かった。彼女は、助けを求めている。救いが欲しいのだ。
「ああ、直ちに浄化していかないと、これはまずいな。彼女は、自殺霊だ。」
「え…?自殺霊…?」
サトコは、ハッとした。彼女から伝わる、この鉛のような重苦しい邪気は、自殺した激しい後悔からくるものなのだったのかー?そして、過去からくる葛藤も感じられた。
「この鎖は、霊の過去の経歴やその時感じた気持ちを感知する能力があるんだ。彼女は、己の過去に苦しみ、そして酷く後悔をしている。」
「そんな…じゃあ、この奇妙な寒気や吐き気は…」
「女子高生の気分が、お前に乗り移ったんだ。」
「苦しそう、早く救ってあげなきゃ…」
あの、女子高生は過去に囚われているのだ。
自分を死に追いやった同級生らに強い遺恨の感情が込められているのだろう。
下手したら、その死に追いやった同級生らを襲いかねないー。
彼女には、邪鬼になって欲しくないー。
自分に出来ることは、何なのだろうかー?
ーと、ケイタが突然起き上がり、のそのそ歩いた。
だが、サトコはハッとした。彼の顔は青ざめ、眼は般若のように歪んでいるように見えた。
「クソ…アオサの奴め…」
黒須は、歯ぎしりをしている。
サトコは、両手にサジタリウスを構え動きを止めた。
ここで弾を放てば、黒須も少年も助かる。
この弾は、霊魂にしか効かないから、少年の身は安全だ。
でも、ホントにこれでいいのだろうかー?
「まずい…引き付けられる。一刻も早く…」
黒須は、息切れ切れにこう言い放つ。
ーサエコ、ねぇ、教えて…サエコなら、こういう時、どうするの…?私に出来ることは、何なのー?
ーと、一瞬で辺りの時空は一瞬にして止まった。
サトコは、直感で悟った。
何処からともなく、懐かしい声が響き渡った。
『サトコ…』
サエコの声だ。否、アリアだ。
この、鼻につく甘くねっとりした声は…
『あの子、このままじゃまずいことになるわよ。』
「じゃあ、どうすれば…」
『教えてあげる。霊気の流れを読み込むのよ。』
「…!?」
『邪気の流れの渦は、脳から心臓、心臓から手足に沿って流れているわ。磁場を読めば良いのよ。右へ左へとぐるぐる激しく渦を成して流れているわ。』
「どうして、それを私に…?」
『貴女をほっとけないからよ。』
アリアのクスリとした笑い声がこだまし、次第に小さくなっていった。
サトコは、眼を閉じた。
全身の核の部分からから熱いものが込み上げてきた。
アリアの言っていることは、同調しろと言うことなのだろうかー?
彼女は、いつもヒントばかりを言い答えを考えさせる。
一体、何の目的があると言うのだろうかー?
時は、再び動き始めた。
サトコは、両手にサジタリウスを構え女子高生の霊が乗り移った少年と対峙した。
自分の過去と彼女の過去を、重ね合わせた。苦々しい惨めな過去がフラッシュバックし、サエコの死が脳裏をよぎり、胸が熱くつっかえた。
だが、サトコは己の感情を抑えつけひたすら前を睨みつけた。
少年は、青ざめギラついた金色の眼光でサトコをギッと睨みつけた。
サトコは、怖くは無かった。
「サトコ、打て!!」
黒須は、そう叫ぶ。
サトコは、黒須の叫びに合わせ、最強の相棒である拳銃のサジタリウスの引き金を弾いた。
全身が青紫色になり、額から角が生えてくる。
黒須は、鎖をキツく握り締め彼女を縛り付ける。
彼女は、金切り声を上げて悲鳴を上げている。
「段々、オーラの暴走が始まりつつあるな…」
黒須は、額に汗を流しながら脚を踏ん張っている。
「黒須、ケイタ君は、大丈夫だよね…?」
サトコは、動揺しつつ恐る恐る
手が酷くブルブル震える。
攻撃するだけでは、いけないようなきがしたのだ。
少年だけではなく、女子高生も救い出したい。
彼女の本音を知りたい。彼女の苦しみを、全身全霊で受け止めたい。
それが、己の使命のような気がしたのだ。
彼女と自分は、何処か重なる部分があるのだ。
「少年なら、大丈夫だ。 何とかな…たが、彼女の身が危ない。何とかしないと…」
己の精力を彼女に注ぎ込み、引っ張られないように邪鬼にならないようにひたすらキツく鎖を締めつけている。
黒須は、自身から青磁色の炎を纏ったオーラを放っている。
彼女の精力は限界を迎えている。自分に出来ることは、一体、何なのだろうかー?
「あの霊、とても苦しんでる。辛そうにしてるよ…このままだと、悪化してしまうよ。」
サトコには、ハッキリ分かった。彼女は、助けを求めている。救いが欲しいのだ。
「ああ、直ちに浄化していかないと、これはまずいな。彼女は、自殺霊だ。」
「え…?自殺霊…?」
サトコは、ハッとした。彼女から伝わる、この鉛のような重苦しい邪気は、自殺した激しい後悔からくるものなのだったのかー?そして、過去からくる葛藤も感じられた。
「この鎖は、霊の過去の経歴やその時感じた気持ちを感知する能力があるんだ。彼女は、己の過去に苦しみ、そして酷く後悔をしている。」
「そんな…じゃあ、この奇妙な寒気や吐き気は…」
「女子高生の気分が、お前に乗り移ったんだ。」
「苦しそう、早く救ってあげなきゃ…」
あの、女子高生は過去に囚われているのだ。
自分を死に追いやった同級生らに強い遺恨の感情が込められているのだろう。
下手したら、その死に追いやった同級生らを襲いかねないー。
彼女には、邪鬼になって欲しくないー。
自分に出来ることは、何なのだろうかー?
ーと、ケイタが突然起き上がり、のそのそ歩いた。
だが、サトコはハッとした。彼の顔は青ざめ、眼は般若のように歪んでいるように見えた。
「クソ…アオサの奴め…」
黒須は、歯ぎしりをしている。
サトコは、両手にサジタリウスを構え動きを止めた。
ここで弾を放てば、黒須も少年も助かる。
この弾は、霊魂にしか効かないから、少年の身は安全だ。
でも、ホントにこれでいいのだろうかー?
「まずい…引き付けられる。一刻も早く…」
黒須は、息切れ切れにこう言い放つ。
ーサエコ、ねぇ、教えて…サエコなら、こういう時、どうするの…?私に出来ることは、何なのー?
ーと、一瞬で辺りの時空は一瞬にして止まった。
サトコは、直感で悟った。
何処からともなく、懐かしい声が響き渡った。
『サトコ…』
サエコの声だ。否、アリアだ。
この、鼻につく甘くねっとりした声は…
『あの子、このままじゃまずいことになるわよ。』
「じゃあ、どうすれば…」
『教えてあげる。霊気の流れを読み込むのよ。』
「…!?」
『邪気の流れの渦は、脳から心臓、心臓から手足に沿って流れているわ。磁場を読めば良いのよ。右へ左へとぐるぐる激しく渦を成して流れているわ。』
「どうして、それを私に…?」
『貴女をほっとけないからよ。』
アリアのクスリとした笑い声がこだまし、次第に小さくなっていった。
サトコは、眼を閉じた。
全身の核の部分からから熱いものが込み上げてきた。
アリアの言っていることは、同調しろと言うことなのだろうかー?
彼女は、いつもヒントばかりを言い答えを考えさせる。
一体、何の目的があると言うのだろうかー?
時は、再び動き始めた。
サトコは、両手にサジタリウスを構え女子高生の霊が乗り移った少年と対峙した。
自分の過去と彼女の過去を、重ね合わせた。苦々しい惨めな過去がフラッシュバックし、サエコの死が脳裏をよぎり、胸が熱くつっかえた。
だが、サトコは己の感情を抑えつけひたすら前を睨みつけた。
少年は、青ざめギラついた金色の眼光でサトコをギッと睨みつけた。
サトコは、怖くは無かった。
「サトコ、打て!!」
黒須は、そう叫ぶ。
サトコは、黒須の叫びに合わせ、最強の相棒である拳銃のサジタリウスの引き金を弾いた。
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