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〜第2章〜
㊱『依頼』
しおりを挟む謎の女から仕事の依頼の電話が来たしおん。
しおんとみつれは約束の時刻に『サファイア』という店に向かった。
しお「ここが『サファイア』だね...ちょっと痛い記憶がよみがえるね…」
みつ「・・・あぁ。」
しおんのスマホが鳴る。
また知らない番号からだ。
しお「もしもし。」
「着きましたね。私は店の中にいる。入って1番右の席。待ってる。」
電話は切れる。
しお「中に居るって。」
みつ「行こう。」
2人は店に入る。
中に入って1番右の席、そこに女が座っていた。
2人は女と向かい合うように座る。
「来ていただきありがとうございます。」
しお「あんたが電話の人ですね?」
「そうです。電話での御無礼な言動をお許しください。」
ピンク髪の女は頭を下げる。
「ワタシは『よつば』と申します。今回あなた方にご依頼したい内容はこちらです。」
『よつば』と名乗る女はテーブルに1枚の写真を出した。
みつ・しお「ッ!?」
よつ「しおんさんはご存知ですよね?あなたのお爺さまも贔屓していた医者の『カオリ』です。」
写真に写っていたのは白髪の女性で『カオリ』という医者だった。
しおんとみつれはその人物を知っていた。
しお「話したことは無いけど何度か会ったことあります。」
よつ「そちらの方はご存知の顔をしてますけど…」
よつばはみつれを見つめる。
みつ「・・・私を助けてくれた恩人の1人だ。」
よつ「そうでしたか。」
よつばは話を続けた。
よつ「あなた方『カモミール』にこの方を捜して欲しいんです。」
依頼は『カオリ』という医者の捜索だった。
しお「失礼ですが、カオリさんとあなたはどういう関係ですか?」
よつ「私は…ご主人さ……カオリさんの助手です。」
みつ「助手…ですか。」
しお「なるほど。ちなみにカオリさんはいつ頃から?」
よつ「3日前、仕事に行ったきり帰って来てません。仕事に行く前にワタシに『私が3日過ぎても帰ってこなかった時はこの番号に連絡しなさい。』と言われました。あなたの事も教えてくれました。」
しお「カオリさんが僕を?」
よつ「はい。あなたはハッカーの経験があって情報を集めるのは得意だと聞いてます。カオリさんを捜していただけませんか!!きっとカオリさんもそれを望んでます…」
みつ「分かりました。依頼をお受けします。」
しお「み、みつれさん!?」
みつ「カオリさんには命助けられた恩がある。私からも会って礼をしたい。いいだろ?しおん。」
しお「わかりましたよ。みつれさんがそういうなら…」
よつ「ありがとうございます。」
2人は依頼主のよつばから詳しい詳細を聞いた。
カオリは医師免許を剥奪され、
裏社会専門で診ている闇医者。
3日前、カオリは1人で診察のため仕事に出かけた。
診察する相手は伝えられておらず、
『3日過ぎても帰って来なければ、しおんに電話しろ。』とだけよつばに伝えて出たらしい。
しお「なるほど…。行き先とかはわかりますか?そこが分かれば助かるんですが。」
よつ「この街です。」
しおんとみつれは少し固まる。
今いるこの街はリンが監禁されていた街で組織の人間がまだ居る可能性がある。
そして『スイ』も居る可能性があった。
よつ「ワタシもあなた方が来るまで捜しましたが、見つかりませんでした。」
しお「そうでしたか。分かりました。お聞きした情報を元にこちらでも調べます。明日、また連絡します。」
しおんとみつれは席を立つ。
よつ「あの…、ワタシも一緒に捜させてください。」
みつ「もちろんです。ではまたあした。」
2人は店を出た。
しお「いやぁ…まさかみつれさんがカオリさんを知ってるとは思わなかったよ。なんで知ってるの?」
みつ「・・・カオリさんは監禁されていた私を助けてくれた1人だからな。カオリさんが居なかったら私は今ここにいない。」
しお「そうだったんだね。とりあえず事務所帰って情報収集だね。」
みつ「あぁ。それと助手も調べた方がいい。あれは助手以上の関係のはずだ。身元を調べた方がいい。」
しお「そうだね。よし。リンさん以外での初めての仕事だ!頑張ろう!」
みつ「あぁ。」
2人は事務所へと戻った。
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