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⑧『幼なじみの記憶喪失』

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なにもわからないまま時間は過ぎていった。
身体は一切動かない。顔も動かせない。



医者から診察を受けているあいだ、見えはしなかったけど、みずきはずっと傍に居てくれた。


診察が終わり、
医者はみずきを連れて部屋から出ようとした。

み「すぐ戻ってくるね。安心して。」
みずきはウチの頭を撫でて部屋を出た。


本当になにがどうなってるの?!


しばらくしたらみずきが
ウチの両親を連れて帰ってきた。

みずきの目は真っ赤になっていた。
泣き崩れるお母さん。
下を向いて震えてるお父さん。

え?マジでどういう状況!?

何があったか思い出したいけど
全然思い出せない。
みずきの家に行ったのは覚えてるけど、
それから……どうしたんだっけ?

みずきはウチの両親に頭を下げて謝っている。
そのまま泣き崩れてるお母さん。
お父さんはみずきの肩をポンと叩き「みずきちゃんのせいじゃない。」と言い、首を横に振っている。

その時にお父さんの目からは涙が出ていた。
泣いてるお父さんは初めてみた。


お父さんは泣き崩れてるお母さんの肩をだいて部屋から出た。

みずきがこっちに歩いてくる。


み「ここなら安心だよ。ゆっくり休もう。」
みずきは優しく微笑みかける。

けど、さっきはボヤけてよくみえなかったけど、
よく見るとみずきは傷だらけだった。
口元は赤く腫れて、髪でちゃんとみえなかったけど包帯を巻いている。

どうしたの!?みずき!?怪我してるじゃん!!


そう思った時、急に息苦しくなった。
機械音が鳴り響く。

すぐに医者が来て薬を投与された。
ウチはボーッとなり寝てしまった。


・・・

どれくらい眠ってたんだろう。
目を覚ましたら天井が変わっていた。

みずき…みずきは……どこ?

顔も少し動かせれる。
ウチは顔を横に向けた。

するとみずきが外を見て座っていた。
まだ声が出ない。

みずきをしばらく見つめてると振り返ってくれた。

み「あっ!ひまちゃん。おはよっ。先生呼んでくるね。」

みずきはスタスタと部屋を出た。

先生?あの医者のことかな?
ウチは窓に顔を向けた。
窓に反射して自分の顔がみえた。

顔は傷ひとつ無い。
身体は布団が掛けられて見えない。
まだ身体は一切動かないまま。

本当にウチ…どうしちゃったんだろう…


そう思っているとみずきが戻ってきた。

み「もうすぐ来るよ。」
みずきは笑顔でウチに言った。

それから医者が来てウチを診察した。

どうやらウチはあれから5日間眠っていたらしい。
そもそもなんでウチがこうなってるのか知りたいんだけど全然思い出せない。
これが記憶喪失ってやつか…


医者の診察が終わってみずきが説明を受けている。
説明が終わったようで医者は部屋から出ていった。

み「ひまちゃん。外の空気、吸いに行こっか。」

みずきはウチをお姫様抱っこで車椅子に乗せた。


病院の近くの公園を散歩してる間、
みずきはウチにいっぱい話しかけてくれた。



学校はしばらく休んでいるらしいこと。
順調に回復にむかってるということ。
ウチが元気になったらまた遊園地に行くこと。


けど、ウチが聞きたいのはそれじゃない。

なんでウチがこうなってるのかということ。
今はそれが1番知りたい。

声が出ない自分に腹が立つ。
てかなんで喋れないの!?

そう思っていると前から声がした。

い「ひまわりぃぃ!」

いちごの声だ。ウチを呼んでた。

いちごがこっちに走ってきた。

い「ひまわり!目覚ましたんだね!よかった…ぐす……ほんとによかった……」

いちごが泣いてる。

み「目は覚ましたけど、まだ喋れないんだ。あと、まだ身体が上手く動かせないみたいなんだ。」

い「そうなんだ…けど目が覚めてよかったよ。……ほんとうに………」

泣きじゃくるいちご。
こんないちごは初めてみた。

み「そろそろ病室に戻るけど、いっしょに来る?ひまちゃんもそのほうが喜ぶと思うよ。」

い「うん。行く。」


ウチら3人は病室に戻った。


戻った途端、
みずきはいちごに話があるようで、また戻ってくるよ。と言い、二人で病室から出た。



ウチも少し疲れたし眠ろうかな。。。
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