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第4章:鬼
第4話:ジェジェの町の冒険者ギルド
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「にわかには信じがたいが、どういったらいいものか」
「とりあえず、オークキングの脅威は去ったとだけ」
ニコとフィーナの後ろに立つゴタロウが、領主であるビルビングに説明をしている。
オークキングとオークたちはたまたま居合わせたニコと、冒険者兼レジスタンスのウォルフ、そしてレジスタンスによって討伐されたということに。
実際にはオークロードのウォルフを筆頭に20頭のオークが移住してるんだけどね。
しかも、そのメノウの町はゴブリン王国の傘下に加わったわけだが。
それをいったら、間違いなく戦争になるので内緒だ。
バレることもないだろうし。
いやバレたところで、国もすぐに対処しないだろうし。
何よりオークロード率いるオークの群れが自暴自棄になって困るのは、近隣の町だ。
メノウの町がすでに魔物の町の下についたのであれば、なおのこと。
おそらくだが、ビルビング子爵ではその可能性にまでは至ってないだろう。
彼の後ろにいるリャーマさんは、顔を青くしたり楽しそうにしているところを見るに色々な可能性を想定してそうだが。
「オークの大進撃……最初にここを襲ってくれたら、真っ先に脳筋領主を……」
と物凄く小声で呟いていたのが聞こえたし。
もしかしたら、この騒動がメノウではなくジェジェで起こったらという楽しい妄想かもしれないけど。
ニコとフィーナは特に口を出すでもなく、料理を食べている。
難しい話には向かない2人だからな。
ちなみに、朝はリャーマではなく領主直々に迎えに来た。
厳密にいうとリャーマが先ぶれできて、ゆっくりと準備してあれだったら朝食も取ってきてくださいとのたまった瞬間に後ろからにゅっと出てきた形だが。
顔を真っ赤にして。
そのまま轟音を響かせた拳が振り下ろされるが、あっさりと躱されていた。
「もう、旦那様直々に来られるつもりなら、私をわざわざ使わなくてもいいでしょう! そしたら、あと1時間多く寝られたのに」
というリャーマの言葉に、ビルビングさんがグヌヌとなっていたが。
そういう言動を繰り返すから、いつまでたっても待遇改善されないんじゃないかと思ったが。
先に仕掛けてきたのは領主様とはリャーマの言。
いや、どっちがさきとかってことじゃなくてだな……
言うだけ無駄か。
俺が喋れるわけでもないし。
その後も食事を取りながら、情報のやり取りをする。
主に、ゴタロウが。
ゴタロウは一応、ニコの従者ということにしてある。
執事服来て、付き従うような態度でいられたらごまかしようがないし。
まあニコとフィーナの身分を明かすことはしてないが、どうせリャーマ辺りが情報収集をしてそうだ。
どこまで掴めるかは分からないけど。
料理は朝食だったからか、そこまでの不満はなかったらしい。
こいつら、意外と舌が肥えてるからな。
主にゴブリン王国での料理のせいだろうけど。
そもそも、あそこって珍しい植物も多いから……
その後、無事に解放されたニコたちは一旦リバーサイドホテルに戻って、少しゆっくりするつもりだったようだが。
少しだけホテルの人達のニコの見る目が変わった。
それもそうか。
メノウの町の領主の紹介状を持って泊まりにきただけでもあれなのに、この町の領主が自ら2日続けて迎えにきたわけだ。
来賓の可能性を想定していたのだろうが、身分の方を上方修正でもしたのかな?
まあ、ある意味ではやんごとなき出自であるといえなくもない。
虎の子の、ロブスレーの町の領主兼ニコの親父さんの手紙もあるし。
でフロントで少しだけ部屋で仮眠を取る旨を伝えようとしたら、先手を打って向こうから話を振ってきた。
「ジェジェの町の冒険者ギルドから使者の方が来られまして、時間のある時にギルドにきてもらいたいとのことで言伝を預かりました」
「はぁ」
こらニコ!
気の抜けた返事をするな。
もっと、しゃっきりしなさい。
「ありがとうございます」
「えっと、それは私も行った方が良いですか?」
「いえ、ニコ様宛でしたので、フィーナ様はご自由にされて大丈夫かと」
どうやら、呼ばれたのはニコだけらしい。
フィーナとゴタロウは今回はついていかないらしい。
お互いやることもあるらしく、ニコに対しては町の衛兵も良い意味で目を光らせてくれるので安全だろうということで。
最低限不備があってはいけない人として、認識されたようでなにより。
ちなみにゴタロウのやることは、厩舎に預けた馬の運動らしい。
フィーナは知らん。
買い物やらだとは思うが。
いつの間にかシノビゴブリンに犬どもが付き従う感じになって戦力が増強されてたから、最悪ニコもフィーナも安全だろうし。
あー……犬っていっても、コボルトだけどな。
ランドールの血で進化した。
そしてジェジェの町の冒険者ギルドに、1人で向かうニコ。
特に誰かが後ろをつけてきたり……してるね。
ホテルからずっと。
でも、あれホテルに居た人だよね?
従業員の1人だったっけ。
ニコ。
「ん?」
普通に返事をするなバカ者。
「ゴメン」
はぁ……
お前もそろそろ気配探知くらい身に着けてもいいころだと思うが……
まあいい、ホテルからずっと従業員が1人付けてきてるぞ?
声出すなよ。
『えっ?』
俺の言葉に口を開きかけて慌てて閉じたニコ。
振り返るなよ。
普通に振り返りそうだったので、釘を刺しておく。
取り合えず路地の先までゆっくり歩いて行って、角を曲がった瞬間に横の壁を飛び越えろ。
2件目は人が居ないみたいだから、そこの家の壁な。
『無理だよ』
いや、普通に出来るだろう?
おまえ、結構身体能力上がってるからな?
『そうかな?』
まあ、あまり実感はわいてないのかもしれないが。
取り合えず、指示通りに。
そして言われた通りにわき道に入り壁を飛び越えるニコ。
ちょっとドキドキしたのか、それとも出来て嬉しいのか。
壁の前にしゃがみ込んで胸を抑えている。
もう少し、自信を持ってもらっても良いけどな。
「あれ? ニコ様が消えた」
ニコ様というあたり、やっぱりネガティブな理由で付け回していたわけではなさそうだ。
取り合えず、シノビゴブリンにでも接触させるかな?
大げさになりそうだけど、ニコが応対するより安心できるし。
「私を簡単に巻くくらいなら、特に護衛の必要はなさそうですね……いや、でももしこれが誘拐とかだったら……ヤバい」
ヤバい!
ついてきていた男の焦った表情を見て、今度はこっちが焦る番だ。
勘違いで大げさになりそうだ。
「なにやつ!」
シノビゴブリンに囲ませたら、一瞬で臨戦態勢を取ってきた。
そこは褒めてあげたいとこだが、顔が今度は真っ青だ。
「ニコ様なら、大丈夫ですよ」
「えっ?」
「私達もあの方の護衛みたいなものです。こうやって、ホテルの方からも気遣って頂き、主に変わって礼を言わせていただきます」
「やっぱり、只物じゃなかった」
「まあ、あまり詮索はされないことをお勧めします」
ニコは普通の人だけどな。
うっかりそんなことを言うほど、うちのゴブリンはポンコツじゃないが。
一部を除いて。
「その言葉を信じる根拠は? あなた方が、ニコ様の護衛だという証拠が欲しいですね」
「ええ、ニコ様」
……
……?
おい、ニコ?
「ん?」
ん? じゃなくて、あー……お前、声が聞こえてなかったか。
シノビゴブリンが呼んでるから、壁を飛び越えて。
「ん」
油断してると、すぐに声を出すのはいつになったら直るんだろうか。
それから壁を飛び越えたニコが、シノビゴブリンの紹介をしてホテルの人には納得してもらえた。
領主様のお客様ということで、こっそりとホテルが手配した護衛だったようだ。
これから向かう先が冒険者ギルドということで、少し警戒したらしい。
やっぱり一定数の荒くれものはいるらしいし。
レベル的にいまのニコなら、チンピラに絡まれたくらいじゃどうってことないと思うけど。
トラウマもあるし、あんまり楽観視するのもあれか。
ホテルの人には帰ってもらって、そのまま冒険者ギルドへと向かう。
中に入ると、一部の人がこっちを見てくる。
思わずニコが後ずさっているが、こういった不意の複数の視線には相変わらず弱いらしい。
もう少し、びしっとして欲しい。
本当に拾われる人を間違えたと思う瞬間だったりする。
ゆっくりと受付に向かうニコ。
誰かに着いて来てもらえばよかったと、漏らしている。
そういえば、対人恐怖症って完治してないのかな?
1人だから、かなり緊張気味だ。
周囲のいかつい人の視線が気になって仕方ないみたいだ。
まあ、実際にニコが気にするほど、見てる人は多くないが。
「どうされました?」
受付の前で固まって何も言い出さないから、若いお兄さんが首を傾げて声を掛けてきた。
ここの受付は男性なのか。
女性専門だと思っていたが、そうでもないのか。
「ニコって言います」
「はい」
普通に自己紹介で終わってる。
ウケる。
いや、そうじゃなくてだな。
それだけじゃ、分からんだろう。
「あの……その……」
「はい……ご依頼ですか?」
「いえ……えっと、呼ばれたんですけど」
「はあ……」
「……」
「誰からでしょうか?」
「……さあ?」
さあって、お前……
いや、誰からってのは聞いてなかったけど。
ギルドから呼ばれたんだから、そう言えよ。
「えっと、ギルドの方からリバーサイドホテルに使いの人がいらっしゃったみたいで」
俺が言葉を考えて、そのまま言わせた。
それだと、どうにかこうにかスムーズ印言葉にすることが出来るみたいだし。
「ニコさんですね……あー、はいはい。サブマスターがお待ちですので、あちらへお願いします。リリー、案内するから受付変わってくれるかな?」
「はい」
受付の男性が立ち上がって、掲示板に紙を貼っていた女性を呼んで変わってもらう。
それから、ニコの横に来るとサブマスターのところまで、案内してくれた。
なかなか物腰柔らかで、人が好さそうな青年だが。
ニコはちょっと緊張気味だ。
まあ、慣れれば問題ないと思うけど。
なれない場所に行くときは、最初はやっぱり誰かに着いて来てもらうべきかな?
『鈴木さんがいるから大丈夫』
最初が大丈夫じゃなかったから、心配してるんだけど?
いちいち、毎回俺が指示だすのもどうかと思うし。
やっぱり、時間が必要かもしれないが、少しは訓練ないしした方がいいかもしれない。
「とりあえず、オークキングの脅威は去ったとだけ」
ニコとフィーナの後ろに立つゴタロウが、領主であるビルビングに説明をしている。
オークキングとオークたちはたまたま居合わせたニコと、冒険者兼レジスタンスのウォルフ、そしてレジスタンスによって討伐されたということに。
実際にはオークロードのウォルフを筆頭に20頭のオークが移住してるんだけどね。
しかも、そのメノウの町はゴブリン王国の傘下に加わったわけだが。
それをいったら、間違いなく戦争になるので内緒だ。
バレることもないだろうし。
いやバレたところで、国もすぐに対処しないだろうし。
何よりオークロード率いるオークの群れが自暴自棄になって困るのは、近隣の町だ。
メノウの町がすでに魔物の町の下についたのであれば、なおのこと。
おそらくだが、ビルビング子爵ではその可能性にまでは至ってないだろう。
彼の後ろにいるリャーマさんは、顔を青くしたり楽しそうにしているところを見るに色々な可能性を想定してそうだが。
「オークの大進撃……最初にここを襲ってくれたら、真っ先に脳筋領主を……」
と物凄く小声で呟いていたのが聞こえたし。
もしかしたら、この騒動がメノウではなくジェジェで起こったらという楽しい妄想かもしれないけど。
ニコとフィーナは特に口を出すでもなく、料理を食べている。
難しい話には向かない2人だからな。
ちなみに、朝はリャーマではなく領主直々に迎えに来た。
厳密にいうとリャーマが先ぶれできて、ゆっくりと準備してあれだったら朝食も取ってきてくださいとのたまった瞬間に後ろからにゅっと出てきた形だが。
顔を真っ赤にして。
そのまま轟音を響かせた拳が振り下ろされるが、あっさりと躱されていた。
「もう、旦那様直々に来られるつもりなら、私をわざわざ使わなくてもいいでしょう! そしたら、あと1時間多く寝られたのに」
というリャーマの言葉に、ビルビングさんがグヌヌとなっていたが。
そういう言動を繰り返すから、いつまでたっても待遇改善されないんじゃないかと思ったが。
先に仕掛けてきたのは領主様とはリャーマの言。
いや、どっちがさきとかってことじゃなくてだな……
言うだけ無駄か。
俺が喋れるわけでもないし。
その後も食事を取りながら、情報のやり取りをする。
主に、ゴタロウが。
ゴタロウは一応、ニコの従者ということにしてある。
執事服来て、付き従うような態度でいられたらごまかしようがないし。
まあニコとフィーナの身分を明かすことはしてないが、どうせリャーマ辺りが情報収集をしてそうだ。
どこまで掴めるかは分からないけど。
料理は朝食だったからか、そこまでの不満はなかったらしい。
こいつら、意外と舌が肥えてるからな。
主にゴブリン王国での料理のせいだろうけど。
そもそも、あそこって珍しい植物も多いから……
その後、無事に解放されたニコたちは一旦リバーサイドホテルに戻って、少しゆっくりするつもりだったようだが。
少しだけホテルの人達のニコの見る目が変わった。
それもそうか。
メノウの町の領主の紹介状を持って泊まりにきただけでもあれなのに、この町の領主が自ら2日続けて迎えにきたわけだ。
来賓の可能性を想定していたのだろうが、身分の方を上方修正でもしたのかな?
まあ、ある意味ではやんごとなき出自であるといえなくもない。
虎の子の、ロブスレーの町の領主兼ニコの親父さんの手紙もあるし。
でフロントで少しだけ部屋で仮眠を取る旨を伝えようとしたら、先手を打って向こうから話を振ってきた。
「ジェジェの町の冒険者ギルドから使者の方が来られまして、時間のある時にギルドにきてもらいたいとのことで言伝を預かりました」
「はぁ」
こらニコ!
気の抜けた返事をするな。
もっと、しゃっきりしなさい。
「ありがとうございます」
「えっと、それは私も行った方が良いですか?」
「いえ、ニコ様宛でしたので、フィーナ様はご自由にされて大丈夫かと」
どうやら、呼ばれたのはニコだけらしい。
フィーナとゴタロウは今回はついていかないらしい。
お互いやることもあるらしく、ニコに対しては町の衛兵も良い意味で目を光らせてくれるので安全だろうということで。
最低限不備があってはいけない人として、認識されたようでなにより。
ちなみにゴタロウのやることは、厩舎に預けた馬の運動らしい。
フィーナは知らん。
買い物やらだとは思うが。
いつの間にかシノビゴブリンに犬どもが付き従う感じになって戦力が増強されてたから、最悪ニコもフィーナも安全だろうし。
あー……犬っていっても、コボルトだけどな。
ランドールの血で進化した。
そしてジェジェの町の冒険者ギルドに、1人で向かうニコ。
特に誰かが後ろをつけてきたり……してるね。
ホテルからずっと。
でも、あれホテルに居た人だよね?
従業員の1人だったっけ。
ニコ。
「ん?」
普通に返事をするなバカ者。
「ゴメン」
はぁ……
お前もそろそろ気配探知くらい身に着けてもいいころだと思うが……
まあいい、ホテルからずっと従業員が1人付けてきてるぞ?
声出すなよ。
『えっ?』
俺の言葉に口を開きかけて慌てて閉じたニコ。
振り返るなよ。
普通に振り返りそうだったので、釘を刺しておく。
取り合えず路地の先までゆっくり歩いて行って、角を曲がった瞬間に横の壁を飛び越えろ。
2件目は人が居ないみたいだから、そこの家の壁な。
『無理だよ』
いや、普通に出来るだろう?
おまえ、結構身体能力上がってるからな?
『そうかな?』
まあ、あまり実感はわいてないのかもしれないが。
取り合えず、指示通りに。
そして言われた通りにわき道に入り壁を飛び越えるニコ。
ちょっとドキドキしたのか、それとも出来て嬉しいのか。
壁の前にしゃがみ込んで胸を抑えている。
もう少し、自信を持ってもらっても良いけどな。
「あれ? ニコ様が消えた」
ニコ様というあたり、やっぱりネガティブな理由で付け回していたわけではなさそうだ。
取り合えず、シノビゴブリンにでも接触させるかな?
大げさになりそうだけど、ニコが応対するより安心できるし。
「私を簡単に巻くくらいなら、特に護衛の必要はなさそうですね……いや、でももしこれが誘拐とかだったら……ヤバい」
ヤバい!
ついてきていた男の焦った表情を見て、今度はこっちが焦る番だ。
勘違いで大げさになりそうだ。
「なにやつ!」
シノビゴブリンに囲ませたら、一瞬で臨戦態勢を取ってきた。
そこは褒めてあげたいとこだが、顔が今度は真っ青だ。
「ニコ様なら、大丈夫ですよ」
「えっ?」
「私達もあの方の護衛みたいなものです。こうやって、ホテルの方からも気遣って頂き、主に変わって礼を言わせていただきます」
「やっぱり、只物じゃなかった」
「まあ、あまり詮索はされないことをお勧めします」
ニコは普通の人だけどな。
うっかりそんなことを言うほど、うちのゴブリンはポンコツじゃないが。
一部を除いて。
「その言葉を信じる根拠は? あなた方が、ニコ様の護衛だという証拠が欲しいですね」
「ええ、ニコ様」
……
……?
おい、ニコ?
「ん?」
ん? じゃなくて、あー……お前、声が聞こえてなかったか。
シノビゴブリンが呼んでるから、壁を飛び越えて。
「ん」
油断してると、すぐに声を出すのはいつになったら直るんだろうか。
それから壁を飛び越えたニコが、シノビゴブリンの紹介をしてホテルの人には納得してもらえた。
領主様のお客様ということで、こっそりとホテルが手配した護衛だったようだ。
これから向かう先が冒険者ギルドということで、少し警戒したらしい。
やっぱり一定数の荒くれものはいるらしいし。
レベル的にいまのニコなら、チンピラに絡まれたくらいじゃどうってことないと思うけど。
トラウマもあるし、あんまり楽観視するのもあれか。
ホテルの人には帰ってもらって、そのまま冒険者ギルドへと向かう。
中に入ると、一部の人がこっちを見てくる。
思わずニコが後ずさっているが、こういった不意の複数の視線には相変わらず弱いらしい。
もう少し、びしっとして欲しい。
本当に拾われる人を間違えたと思う瞬間だったりする。
ゆっくりと受付に向かうニコ。
誰かに着いて来てもらえばよかったと、漏らしている。
そういえば、対人恐怖症って完治してないのかな?
1人だから、かなり緊張気味だ。
周囲のいかつい人の視線が気になって仕方ないみたいだ。
まあ、実際にニコが気にするほど、見てる人は多くないが。
「どうされました?」
受付の前で固まって何も言い出さないから、若いお兄さんが首を傾げて声を掛けてきた。
ここの受付は男性なのか。
女性専門だと思っていたが、そうでもないのか。
「ニコって言います」
「はい」
普通に自己紹介で終わってる。
ウケる。
いや、そうじゃなくてだな。
それだけじゃ、分からんだろう。
「あの……その……」
「はい……ご依頼ですか?」
「いえ……えっと、呼ばれたんですけど」
「はあ……」
「……」
「誰からでしょうか?」
「……さあ?」
さあって、お前……
いや、誰からってのは聞いてなかったけど。
ギルドから呼ばれたんだから、そう言えよ。
「えっと、ギルドの方からリバーサイドホテルに使いの人がいらっしゃったみたいで」
俺が言葉を考えて、そのまま言わせた。
それだと、どうにかこうにかスムーズ印言葉にすることが出来るみたいだし。
「ニコさんですね……あー、はいはい。サブマスターがお待ちですので、あちらへお願いします。リリー、案内するから受付変わってくれるかな?」
「はい」
受付の男性が立ち上がって、掲示板に紙を貼っていた女性を呼んで変わってもらう。
それから、ニコの横に来るとサブマスターのところまで、案内してくれた。
なかなか物腰柔らかで、人が好さそうな青年だが。
ニコはちょっと緊張気味だ。
まあ、慣れれば問題ないと思うけど。
なれない場所に行くときは、最初はやっぱり誰かに着いて来てもらうべきかな?
『鈴木さんがいるから大丈夫』
最初が大丈夫じゃなかったから、心配してるんだけど?
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やっぱり、時間が必要かもしれないが、少しは訓練ないしした方がいいかもしれない。
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