総務の袴田君が実は肉食だった話聞く!?

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お引越し

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「あっつ!!!」


 と反射的に顔を上げて目を覚ました。

 ほっぺっを擦って何、何が熱かったのって見たら充電しっぱなしの携帯に顔を乗せていたからだった。
 ああ、やばい……いつの間にか寝てた…………い、今何時……?
 って熱を待った携帯の充電は満タンなので充電機から抜いたら画面が表示されて…………その時間に私は震えた……。






 じゅじゅじゅじゅじゅじゅ……十時って何?!! って外見たらめっちゃ明るいよヤダ!! 







 急いでベッドに駆け上がってカーテン閉める。
 括目せよッ!! この一級遮光カーテン威力を!!! 我が部屋は今漆黒の闇に包まれた! よって、これは午後10時! 午後10時なのである……………………じゃなかった! じゃなかった全然意味なかった、こんなのただの現実逃避だった!!! 私のバカ!

 しゃって開けて、外見たら大家さんとおじいちゃんが縁側でお茶飲んでて目合っちゃったから手振っとく、こ 
   れ  は  本 当 に 午 前 十 時 だ ぞ! ど う す る ん だ 尾 台 絵 夢!!!
 会社から電話きてるぞ!!  何って言うんだ私よ!
 ちょっとした遅刻はあるよ、でもこんな無断でこんな時間なんて生まれて初めてだ!

 ととととととりあえず、めぐちゃんに、おはよってウサギさんがヨガしてるの送ったら。
 生きろ!! って白猫ちゃんに言われてしまった。
 きっとめぐちゃんの事だ自分は安心したからもういいやみたいな、他の皆には私の無事を言わないんだろうな、そういう女だよ彼女は、大人なんだから自分でやりなさいって相変わらず強い子!! 好き!

 それで…………。




 ふ、ふーん???
 そーなんだ!! 袴田君は尾台さん無断欠勤してるのに心配じゃないんだ! もう10時なのに! 昨日もおはようもおやすみもしてくれなかったよね! へぇええ尾台さん渋谷のクラブ(ラブにアクセント)入り浸って酔いつぶれるかもしれないのにぃ!

 ああそうか、あれか! あれね? 沖縄のウチナータイムって奴ですね!!! 知ってる知ってるのんびり大好き! 
 いや、待ってよ! もう一日くれてませんけど! どんだけウチナーよ!


 もういいよ! ぐれてやる!



 はあああ、でもだって……そうだよね私がうじうじいじいじしすぎてもっとハッキリしなさいって怒ってたもんな。
 一緒いてって言ったら絶対いてくれると思ったのにダメって言われちゃったよ、ショック。
 えっちしちゃうからダメて意味わかんない、いーじゃんすれば意気地なし。
 おっぱい触らせたらまた違ってたかなって思ったけど引き止められるほどのおっぱいがねぇぞ!!!

 あの後ずっとずっとずーーーと袴田君の事ばっかり考えて、どうして急に嫌われちゃったんだろうって泣いた。
 でもやだ会いたい会いたいって涙出て、お風呂入ったって紅茶飲んだって水曜日一緒にいてくれるって約束したじゃん楽しみにしてたのに! アホドエス眼鏡!! って一周回ってちょっとイラッときてた。


 木曜日、元々接点はないし袴田君と話す機会はなかった、かろうじて佐々木さんを見送る時に袴田君はいたけど。
 私を見ていた癖に、佐々木さんに何か言われて私から目を逸らしたんですよ奴は。


 むむむむむッ!!!!!


 眼鏡直してないで何か言えよ!! 小心者目め! ぐうで頭ごんってしたい!
 そんでその後あわよくばちゅ!!!!!!(こっちが本命)



 帰って来て、とりあえずこないだのワインの残り片手に熱海しおりを作っていた。
 これを明日袴田君の机に置いといたら気持ち伝わるかなって。

 そんで、色々しおりのテンプレダウンロードしたりあれこれやってデュフフってしてたら見事に時間が過ぎてた、お酒も飲んでるしフワフワしながらしおりプリントアウトして表紙書いてたら、らいちゃんから。

「引っ越しの準備進んでる?」ってきてしまった…………!!!

 そ、そっか……何かもう旅行というか、私だっていきなり離れていった袴田君の気持ち追いかける事に必死で忘れてた。
 んんんん……甥も大事だけど、今ここで悩んでる時間だってもったいないし、らいちゃんの時間だって有限なんだ、だから直ぐ「実家には帰らない」って送ったら「やだ連れて帰る」って引かないよ! そういう頑固でこっちの話聞いてくれないとこお姉ちゃんにそっくりだな!

 じゃあもういいよ! こんなの辛い現実かもしれないけど、ここまですれば私が本気だってわかるだろって何でも屋さんを検索をした。
 夜逃げならぬ、朝逃げ、らいちゃん来る前に引っ越してやる!
 他の人を考える一分一秒だって私は袴田君に使いたいもん!
 24時間いつでもお電話下さい! って書いてある業者が直に出てきて携帯片手に少し悩んだ。

 だってこんなの、本当に袴田君が私嫌いだったらどうしよう、可笑しいよね、いきなり断りもせず付き合ってもない女が引っ越してくるって……(すみません、そういう合意のない男女が一つ屋根の下で暮らす事になっていしまいエッチに発展する漫画非常に好きです)。

 でも現実は…………って思ったけど袴田君のとこだけ埋まってる婚姻届け見ながら頷いた、だってこれを渡してきたの袴田君だ、それに言ってたじゃん、お嫁さんが欲しいって、だったらお嫁に行くよ! 好きだ=お嫁さんなんでしょ! 私、袴田君がいないの無理だもん! もう何かよくわかんないけど、いじけやがってめんどくせー眼鏡だな! 大好き!!


 一人暮らしでそんなに荷物もないし、トラック一台で運べる荷物程度でいいんだ。
 ここにはもう私がいないって分かってもらえるだけの分の荷物を運んでもらう、後ベッドとかチェストとか大きい家具もその業者さんに一緒に回収してもらおう。
 多分らいちゃんの事だ、明日は合鍵持ってくるだろうし。
 そして何もなくなった部屋を見て分かってほしい。








 わああああああああ!! ちょっと待って待ってすっごい胸いったい! 痛いよ絶対らいちゃん泣いちゃう、よしよししてあげたいよ、絵夢ちゃんここだよって言ってあげたい、ごめんねって嫌いな訳じゃないの好きなんだよ、ファミリーラブ。

 でも私には袴田君が大事!!!
 そうなの袴田君がないともう一日が辛いの、だからごめんね……らいちゃん。

 飲み会は、ハッキリ桐生さんに行きませんって言おうってゆうかむしろ会社休みますって。
 ありえないよ、いつもの私なら月末にこんあぽっかり穴開けるなんて、しかも三連休前だよ、PC持って帰ってきてないよ、皆に迷惑かけまくり、絶対私がしない休み方。


 でもそれをするんだ、私は本気なんだ…………って考えてたのに、しおり作った後ちょっと引っ越し作業してたらめっちゃ寝てた。




 ど、どうしようって涎ごしごししてたらピンポーンってええええええ!! 何でも屋さん来ちゃった!!

 マジで?!!

 玄関開けたら人の良さそうな夫婦がいて「切羽詰まっていた感じがしたんでなる早で来ましたよ!!」
「ありがとうございまッす!!」


 って一時間早く来てくれた、う、うん……昨日なるべく早く引っ越したいって言った気がする……!!

 余り荷物はないし、本気で引っ越すってなったらちゃんとやるからちょっとした家財道具を詰めて家を出た。
 そして、着いたマンション目の前に、何でも屋さんにほほほほ本当ですか間違えてないですか、ここここここに引っ越すんですかって震えながら言われてしまって、シュピって金色のカードキーを取り出した、初めて使います!

 まあ格好付けた私はもれなくスウェットだったけど、荷物を運んでもらって何でも屋さんは帰っていった。
 そして、酔いのまま注文した食器なんかが次々と届いてしまった。
 恐るべし当日配送と酔いの脅威!!!! 
 戸惑ったけど、箱から出したらうん! 超可愛い!

 こーゆーの好きな人とお揃いで使いたかったしってクロス敷いてグラス置いてえへへってしてた。
 とりあえず運ばれた調理器具ここかなって場所に置いて。
 段ボールから突然出てきた婚姻届と旅のしおりをテーブルに置いた。
 時間はもう四時だよ……。
 結局会社に電話してねえぞ。
 でもここまできてなんて言ったらいいんだろうか。

 とりあえず、もう一回電話来るまでねばろう。(クズ思考)
 そのごめんなさいが言えない理由は何なんだぜ。
 で、本当にヤバくなったらめぐちゃんが……。
 とかすみません人任せで、でも会社は私がいなくてもどうにかなるけど、袴田君は私がどうにかしないとどうにもならないんだもん!!

 とりあえず、来る時に寄った花屋で見つけた胡蝶蘭を花瓶に生けて、カレンダーにハートいっぱい書いとく! エッチしたい時はハートでしょ! 星は休肝日みないなそんな感じ…………いや待てよ、でもエッチしてもいいんだよってハートで囲っとこ。


 寝室に入って、始まりはここだったなってベッドを見て深呼吸。


 足元にはラブリスのコスチュームが入った箱が置かれてた。
 そして私達の始まりはこれだったんだなって服を手に取ったら、なんだかムズムズしてきてちょっと着てみた。
 そもそも、もう一回袴田君にこれ見せてあげようと思ってて色々準備してたし。

 鏡で見て箱に入れっぱなしだった割にはスカート潰れてないんだなっとかチェックしてたら。

 ガチャって玄関が開く音がした。
 え?!! 何で?!! 誰?!! え????? ひゃひゃひゃきゃまだ君?!!
 何で帰ってくんの、まだ夕方……あああ、携帯見たら「尾台さん連絡しないでごめんなさい、今から家行きます。少し会えますか?」ってメッセージ……。
 うわぁん! 会えますか会えますか嬉しいよう!!
 ってやってるうちに気配がこっちに近付いてきた。




 そしてドアが開いて、私は息を殺した。 
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