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番外小話 3
【双子の日ネタ】 初めての二人寝
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「ねえ、本当に大丈夫?」
「だいじょーぶー!」
「だいじょーぶぅー!」
私の問いかけに友里と渉は大きく頷いた。
私が勤めている病院内にある保育園に通っている二人、そこで新しくお友達になった自分達より一つ年下の子が既に自分の部屋で一人で寝ていると聞いたらしくて今晩から自分達もそうすると言い出した。二人が言うには「もうおにーちゃんとおねーちゃん」だからなんだって。今までは私達の寝室と子供達の部屋それぞれで親子ペアに分かれて寝ていたのに急に子供達だけで寝るって言うんだから心配するなって言う方が無理な話だと思うんだよ、どうしたものか……。
「夜、トイレに起きても一人で平気? ちゃんと我慢しないでトイレに行ける?」
別におねしょをしてお布団を汚しちゃうことが心配なんじゃなくて、二人して夜中に起き出した時に寂しくて泣いちゃうんじゃないかっていうのが心配なんだけどな。二人の前でどうしようか思案しているとそれまで黙って私達の話を聞いていた信吾さんが間に入ってきた。
「奈緒、そんなに心配することないだろう。二人だけと言っても家の中だし目と鼻の先なんだから」
戸締りやら普段からの防犯のことでは私と子供達に耳タコなぐらい注意を促す信吾さんが珍しく二人の肩を持った。そりゃ二人だけで何処かにお泊りしに行くわけでもないんだし私達はすぐそこの部屋にいるけどママとしてはやっぱり心配かな……。
「そうだけどさあ……」
「友里も渉も大きくなったんだ。もう赤ん坊じゃないんだぞ。なあ?」
信吾さんの言葉に二人が我が意を得たりと言った感じニパッと笑いながら頷く。
「そう? じゃあ今夜から二人だけで寝るのね? 分かった、だったら今夜から二人だけでお部屋で寝ること決定。だけどお風呂はまだママかパパと入るんだよ?」
「いいよ~一緒に入ってあげる」
友里、なんでそんなに上から目線なのかな? 信吾さんの方に目を向けると同じことを感じたみたいで苦笑いしていた。
+++
夕飯の後に子供達をお風呂に入れてパジャマに着替えさせると二人は嬉しそうにそれぞれのベッドでお布団の中に潜り込んだ。ただし渉は何故か直前になってリビングに置いてあった大きなクマちゃんをお供に連れて来たんだけど。
「渉ちゃん、パパ熊と一緒なの?」
「……うん、僕がいないとパパ熊ちゃんが寂しがるから」
「ふ~ん……」
友里にさっそく指摘されて苦しい言い訳をしているのが可愛いっていうか可哀想っていうか。この二人の会話って聞いていると本当に面白い。
それは我が家ではパパ熊と呼ばれているぬいぐるみ。この子は子供達が生まれる前、私達が結婚して初めて信吾さんが長期出張に出掛けていた時に私が買ってきた子で、我が家にいるクマちゃん達の中では最古参のベテランさんだ。そしてそのクマちゃんを渉は物凄く気に入っていて普段からリビングにいる時は必ず自分の隣に座らせていた。で、どうやら今夜からはリビングだけじゃなくてベッドでも一緒ってことになりそう。
「渉、クマちゃんにばかりお布団をかけてないで自分にかけなきゃ。風邪ひいちゃうよ」
「は~い」
「友里は誰か連れてこなくていいの?」
「うん、いらない」
「じゃあ電気消すよ~、お休み~」
「「おやすみ~!」」
二人がきちんとお布団に入ったのを確かめてから常夜灯だけをつけてドアを少しだけ開けた状態で部屋を出た。リビングに戻ると電気が消えていて寝室から明かりが漏れている。信吾さんが電気やテレビがついていたら子供達が気になって眠れないだろうって気を遣ってくれたみたい。部屋に入るとベッドに座って本を読んでいた信吾さんが顔を上げた。
「二人はちゃんと寝たか?」
「今のところはね」
信吾さんが首を傾げて黙り込むとあっちの部屋で子供達がお喋りしていないか耳をすましている。こういうのを見ると本当に聴覚が常人離れしているんだなあって思う。信吾さん曰く自分は安住さんほどじゃないってことらしいけど私、あっちの部屋で二人が喋っているのかどうかなんて耳をすませても分からないよ。
「何か聞こえる?」
「友里の考えではクマちゃんと一緒は一人で寝るとは言わないんだとさ」
「えー? もう、友里ってばクマちゃんぐらい許してあげればよいのに……」
「あのクマは渉にとっては特別なんだそうだ」
渉の反論が聞こえたらしくて愉快そうに笑った。
「まあ二人があっちで寝るって言ってくれたおかげでこっちは久し振りに奈緒と二人だけで寝られるんだから、保育園でそのことを吹き込んだお友達とやらに感謝しないとな」
「またそんなこと言って~」
本をベッドサイドのテーブルに置くとこちらに手をのばしてきて私のことを引き寄せた。
「今日は駄目だからね、もしかしたら二人が寂しいとか言ってこっちに来るかもしれないんだから」
「出てきたら分かるさ、心配するな」
「そういうことじゃないってば」
「俺に任せておけ」
もう! やっぱり子供達には一緒に寝てもらった方が私にとっては平和だったかも!!
+++
「奈緒、起きろ」
「もう無理ですぅ……信吾さんに付き合ってたら私、体がもたないよぅ……」
「そうじゃない、友里が泣いてる」
「え?!」
その言葉に眠気と疲労感が消し飛んだ。慌てて体を起こすと信吾さんが既にベッドから出てはパジャマを着ているところだった。
「そのまま寝ないようなら二人とも連れて来ても?」
「うん」
私の返事に頷くと信吾さんが部屋を出て行く。私の方はその間にベッドの下で散らかっている下着とパジャマを急いで着こんだ。意外だったな、渉じゃなくて友里が泣いちゃうなんて。ああ、そっか、渉は強い味方のパパ熊ちゃんが一緒だもんね。そうこうしている内に信吾さんが友里を抱っこして戻ってきた。
「渉は?」
「ぐっすり眠っていたよ。わざわざ起こすのは可哀想だからそのまま寝かせておいた」
「クマちゃんはどうなってた?」
「渉がコアラみたいにしがみ付いてたよ」
可笑しそうに笑いながらベッドの横に来ると友里を私の横に下ろす。
「暗いの駄目だった?」
「おねーちゃんじゃなくてもママと一緒がいい……」
「そっか。じゃあママと一緒に寝ようか」
「あゆむちゃんは?」
そう言いながら信吾さんの方を見上げてた。ああ、これは信吾さん、あっちに戻らないと駄目かも。だけどあっちのベッド、信吾さんにはちょっと狭いよね……。
「パパ熊と一緒に寝ているから大丈夫だと思うが、パパが一緒の方が良いと思うのか?」
「……うん」
「そうか。じゃあそうしよう。奈緒、俺はあっちで寝るから」
「いいの?」
「演習に比べたら狭いぐらいどうとでも」
子供のベッドと演習が一緒の扱いってどうなの?って思いつつ、ごめんねと言って寝室から送り出す。
「ママぁ……」
「なあに?」
「またいっしょにねていい?」
一緒にお布団に入ると友里が眠そうな声で尋ねてきた。
「いいよ~」
「おねーちゃんじゃなくていい?」
「ママもパパも友里と渉と一緒に寝るの好きだから全然かまわないよ」
「よかったあ~」
その言葉に安心したのか友里はあっと言う間に眠ってしまった。まだまだ子供達と一緒に寝る日々が続きそうかな。え? 信吾さんが気の毒? そんなわけないじゃん、これぐらいのことで信吾さんが諦めると思う? っていうか今日までまったくエッチしてなかったとでも? 信吾さんのモットーは「創意工夫で時間を作る」なんだもの、そんなことないない、ぜーんぜんないんだから!
「だいじょーぶー!」
「だいじょーぶぅー!」
私の問いかけに友里と渉は大きく頷いた。
私が勤めている病院内にある保育園に通っている二人、そこで新しくお友達になった自分達より一つ年下の子が既に自分の部屋で一人で寝ていると聞いたらしくて今晩から自分達もそうすると言い出した。二人が言うには「もうおにーちゃんとおねーちゃん」だからなんだって。今までは私達の寝室と子供達の部屋それぞれで親子ペアに分かれて寝ていたのに急に子供達だけで寝るって言うんだから心配するなって言う方が無理な話だと思うんだよ、どうしたものか……。
「夜、トイレに起きても一人で平気? ちゃんと我慢しないでトイレに行ける?」
別におねしょをしてお布団を汚しちゃうことが心配なんじゃなくて、二人して夜中に起き出した時に寂しくて泣いちゃうんじゃないかっていうのが心配なんだけどな。二人の前でどうしようか思案しているとそれまで黙って私達の話を聞いていた信吾さんが間に入ってきた。
「奈緒、そんなに心配することないだろう。二人だけと言っても家の中だし目と鼻の先なんだから」
戸締りやら普段からの防犯のことでは私と子供達に耳タコなぐらい注意を促す信吾さんが珍しく二人の肩を持った。そりゃ二人だけで何処かにお泊りしに行くわけでもないんだし私達はすぐそこの部屋にいるけどママとしてはやっぱり心配かな……。
「そうだけどさあ……」
「友里も渉も大きくなったんだ。もう赤ん坊じゃないんだぞ。なあ?」
信吾さんの言葉に二人が我が意を得たりと言った感じニパッと笑いながら頷く。
「そう? じゃあ今夜から二人だけで寝るのね? 分かった、だったら今夜から二人だけでお部屋で寝ること決定。だけどお風呂はまだママかパパと入るんだよ?」
「いいよ~一緒に入ってあげる」
友里、なんでそんなに上から目線なのかな? 信吾さんの方に目を向けると同じことを感じたみたいで苦笑いしていた。
+++
夕飯の後に子供達をお風呂に入れてパジャマに着替えさせると二人は嬉しそうにそれぞれのベッドでお布団の中に潜り込んだ。ただし渉は何故か直前になってリビングに置いてあった大きなクマちゃんをお供に連れて来たんだけど。
「渉ちゃん、パパ熊と一緒なの?」
「……うん、僕がいないとパパ熊ちゃんが寂しがるから」
「ふ~ん……」
友里にさっそく指摘されて苦しい言い訳をしているのが可愛いっていうか可哀想っていうか。この二人の会話って聞いていると本当に面白い。
それは我が家ではパパ熊と呼ばれているぬいぐるみ。この子は子供達が生まれる前、私達が結婚して初めて信吾さんが長期出張に出掛けていた時に私が買ってきた子で、我が家にいるクマちゃん達の中では最古参のベテランさんだ。そしてそのクマちゃんを渉は物凄く気に入っていて普段からリビングにいる時は必ず自分の隣に座らせていた。で、どうやら今夜からはリビングだけじゃなくてベッドでも一緒ってことになりそう。
「渉、クマちゃんにばかりお布団をかけてないで自分にかけなきゃ。風邪ひいちゃうよ」
「は~い」
「友里は誰か連れてこなくていいの?」
「うん、いらない」
「じゃあ電気消すよ~、お休み~」
「「おやすみ~!」」
二人がきちんとお布団に入ったのを確かめてから常夜灯だけをつけてドアを少しだけ開けた状態で部屋を出た。リビングに戻ると電気が消えていて寝室から明かりが漏れている。信吾さんが電気やテレビがついていたら子供達が気になって眠れないだろうって気を遣ってくれたみたい。部屋に入るとベッドに座って本を読んでいた信吾さんが顔を上げた。
「二人はちゃんと寝たか?」
「今のところはね」
信吾さんが首を傾げて黙り込むとあっちの部屋で子供達がお喋りしていないか耳をすましている。こういうのを見ると本当に聴覚が常人離れしているんだなあって思う。信吾さん曰く自分は安住さんほどじゃないってことらしいけど私、あっちの部屋で二人が喋っているのかどうかなんて耳をすませても分からないよ。
「何か聞こえる?」
「友里の考えではクマちゃんと一緒は一人で寝るとは言わないんだとさ」
「えー? もう、友里ってばクマちゃんぐらい許してあげればよいのに……」
「あのクマは渉にとっては特別なんだそうだ」
渉の反論が聞こえたらしくて愉快そうに笑った。
「まあ二人があっちで寝るって言ってくれたおかげでこっちは久し振りに奈緒と二人だけで寝られるんだから、保育園でそのことを吹き込んだお友達とやらに感謝しないとな」
「またそんなこと言って~」
本をベッドサイドのテーブルに置くとこちらに手をのばしてきて私のことを引き寄せた。
「今日は駄目だからね、もしかしたら二人が寂しいとか言ってこっちに来るかもしれないんだから」
「出てきたら分かるさ、心配するな」
「そういうことじゃないってば」
「俺に任せておけ」
もう! やっぱり子供達には一緒に寝てもらった方が私にとっては平和だったかも!!
+++
「奈緒、起きろ」
「もう無理ですぅ……信吾さんに付き合ってたら私、体がもたないよぅ……」
「そうじゃない、友里が泣いてる」
「え?!」
その言葉に眠気と疲労感が消し飛んだ。慌てて体を起こすと信吾さんが既にベッドから出てはパジャマを着ているところだった。
「そのまま寝ないようなら二人とも連れて来ても?」
「うん」
私の返事に頷くと信吾さんが部屋を出て行く。私の方はその間にベッドの下で散らかっている下着とパジャマを急いで着こんだ。意外だったな、渉じゃなくて友里が泣いちゃうなんて。ああ、そっか、渉は強い味方のパパ熊ちゃんが一緒だもんね。そうこうしている内に信吾さんが友里を抱っこして戻ってきた。
「渉は?」
「ぐっすり眠っていたよ。わざわざ起こすのは可哀想だからそのまま寝かせておいた」
「クマちゃんはどうなってた?」
「渉がコアラみたいにしがみ付いてたよ」
可笑しそうに笑いながらベッドの横に来ると友里を私の横に下ろす。
「暗いの駄目だった?」
「おねーちゃんじゃなくてもママと一緒がいい……」
「そっか。じゃあママと一緒に寝ようか」
「あゆむちゃんは?」
そう言いながら信吾さんの方を見上げてた。ああ、これは信吾さん、あっちに戻らないと駄目かも。だけどあっちのベッド、信吾さんにはちょっと狭いよね……。
「パパ熊と一緒に寝ているから大丈夫だと思うが、パパが一緒の方が良いと思うのか?」
「……うん」
「そうか。じゃあそうしよう。奈緒、俺はあっちで寝るから」
「いいの?」
「演習に比べたら狭いぐらいどうとでも」
子供のベッドと演習が一緒の扱いってどうなの?って思いつつ、ごめんねと言って寝室から送り出す。
「ママぁ……」
「なあに?」
「またいっしょにねていい?」
一緒にお布団に入ると友里が眠そうな声で尋ねてきた。
「いいよ~」
「おねーちゃんじゃなくていい?」
「ママもパパも友里と渉と一緒に寝るの好きだから全然かまわないよ」
「よかったあ~」
その言葉に安心したのか友里はあっと言う間に眠ってしまった。まだまだ子供達と一緒に寝る日々が続きそうかな。え? 信吾さんが気の毒? そんなわけないじゃん、これぐらいのことで信吾さんが諦めると思う? っていうか今日までまったくエッチしてなかったとでも? 信吾さんのモットーは「創意工夫で時間を作る」なんだもの、そんなことないない、ぜーんぜんないんだから!
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