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いつもと同じ

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 ピピピピツピピピピツー
「うるせえ」
目覚ましの音に半ばイライラしながら目覚ましを止める。今の時刻は午前6時。いつも通り髪にはカブトムシのような寝癖がついていて、猫の茶助も飼い主の上で気持ち良さそうに眠っている。
今日が終われば、やっと明日からはだらだらと過ごせる・・・
だがだるいものはだるい。俺は学校が嫌いだった。何をしても俺には頭の上がらないクソ教師、俺の前ではごまをすり、裏で俺のことを悪く言うクソ共。俺の周りには頭の悪いやつが多い。
今日は学校をサボろうかそんなことをいつも考えるが、結局無駄なことだ。
学校をサボれば、クソ親父のところに連絡がいく。そんなことになれば俺の華の独り暮らしも終わりなのだ。そんなのまっぴらごめんだ。
そんなことを考えながら、いつも通り準備を終える。茶助はいつのまにかいなくなっていた。これもいつものことだ。どうせどこかで食べ物でもねだっているのだろう。
鍵をかけ、家を出る。家から学校までは約13分。徒歩で13分でつくのだから近い方だと思う。
「あー、めんどくせえ」
そんなことを呟きながら学校へ向かうのもいつものこと。
俺の毎日は本当に変わらない。寝て、起きて、学校へいく。その繰り返しだ。

ただひとつだけ。たったひとつだけがいつもと違った。
俺はそのたったひとつの違いに気づくことができなかった。

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