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第二話 シャルロットの一面

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朝になり僕は、シャルロットよりも早く目が覚めたので、朝食の準備をしていた。まだ寝ているシャルロットは、相変わらず何か抱きついて無いと寝相が悪いので、僕は、マジックバックから布団を取り出してシャルロットに渡すとすぐに抱きついていた。

 朝食は、パンとベーコンエッグとコーヒーにした。朝食が出来上がったので、シャルロットの体を揺すって起こそうとすると、パッと目が覚めて僕の首元に槍を向けてきた。少し首が切れてしまったが大した事は、無かった。

 「プラリネ...ごめん、つい一人で行動している時の癖が出ちゃった」
 シャルロットは、すぐに僕の首を治してくれるかと思ったが、切った首を舌で舐めていた。

 「シャルロット回復してくるんじゃなくて何で傷口舐めてるんだよ」
  「私、気に入った人の血は、舐めたくなるだよね。人の血を見るともっと見たいって感情に駆られるだよ。でも、私の舌に回復魔法付与しているから舐めてるとちゃんと治るよ」
  まあ、傷が塞がるな良いかと思いシャルロットの好きにさせていた。傷が塞がった後は、一緒に朝食を食べていた。



 「プラリネも料理美味いんだね。意外かも。料理しなさそうだもん」
 「失礼だな、人に振る舞えるくらいには料理は、出来るつもりだ。シャルロットほどじゃないけど」
 「ごめんごめん...料理は、出来ないより出来た方が良いもんね」

  今日で森は、抜けられて近くのテリーヌの街に着く予定だ。森を抜けた所で盗賊が居るという噂を聞いていたけど居ない事を願いながらね僕達は、森を抜けた先で噂通りに盗賊が待っていた。僕は、溜め息をついていると、盗賊が声を掛けてきていた。

 「そこの兄ちゃんと姉ちゃん死にたく無ければ、持ってる物を全部置いていきな。姉ちゃんは、美人だから俺達が遊んでやるよ」
 「あんた達、本当に悪い事は、言わないからやめといた方が良いと思うけどな」
盗賊の為に、一応注意したつもりだけど、まあ聞かないだろうとは、思っていた。

  「黙れ、そこのクソガキ!!お前には、用事は、無いからささっと持ってるの物を出せ。まともに用事があるのは、そっちの姉ちゃんだけだ」
  「へぇーーおじさん達、私と遊んでくれるんだ?」
 シャルロットは、不敵に笑いながら盗賊に近付いていた。盗賊は、何も知らないまま嬉しそうな顔をしていて、シャルロットが素直に指示に従って向かって来ていると勘違いをしていると気付いた時には、もう遅かった…

 「姉ちゃんは、身の程を弁えてるじゃないか、後でゆっくり楽しもうぜ」
 シャルロットは、盗賊の一人の首を切った後に返り血を浴びた顔で不敵に笑っていた。
 「シャルロット無闇に殺したら駄目って約束したろ?」
 「でも、これは、自己防衛だよね?セーフでしょ。あっちから身ぐるみを剥ごうとしたんだしね」
 
 確かにどこまでなら殺して良いとかは、明確に決めていた訳では、無くて...僕が居る前では、無闇に人を殺しては、いけないだった。確かにシャルロットからいきなり殺しにかかった訳では、無いので、良いのかと納得してしまっていた。
 「確かに自己防衛は、大切だよな」
 シャルロットは、次々と盗賊を殺していって、盗賊のボスの一人だけを残して森の方に引っ張っていき拷問をしたいからと言って僕は、終わるまで森の出口でシャルロットを待つことにした。


 ▲◆▼★■

 「痛い痛い...もう許してくれ...」
 私は、盗賊のボスの体を拘束魔法で拘束して、ゆっくりとボスの体をすぐに死なない程度に浅く槍で切っては、回復していた。そして痛がっている顔と声が堪らなく興奮してしまう。
 「もっと叫んで良いからね。本当に堪らない性的興奮より私を満たしてくれる。」
 浅く切りつける反応も見飽きたので、次は、指を一本ずつ切断をする事にした。

 「次は、一本ずつゆっくりと指を切断していくね。指が全部無くなったら終わりだから、頑張ろうね」
 ボスの耳元で囁いていた。どんどん顔が真っ青になっていくのが最高だった。
 「もう、許してくれ。指の切断は勘弁してくれ!何でもするから!!」
 「何でもしてくれるんだよね?じゃあ、もう少し私に付き合ってね」

 私は、時間をゆっくりと掛けて指を切断していった。残り一本で終わると思ってボスは、歯を食いしばって耐えていたので、さっさと切断してあげると、もう終わると思っているのか安堵しているようだった。

 「指は、もう無くなった。もう良いだろ」
 「私ってこう見えて回復魔法が一番得意なんだよね。意味分かるよね?治せば失った血液も元通りだから何回でも出来るんだよ」
 ボスの心は、私が笑顔でそれを言った後に完全に心が壊れてしまっていた。
 「あーーーもう壊れちゃったか...本当につまらないな。もう少し遊べると思ったのにな」

 私は、ボスの止めを刺していた。私の体は、血塗れになっていたので、プラリネに洗って貰おうと考えながらプラリネの元に戻っていた。

 「プラリネ。ただいまー汚れたから洗って」
 シャルロットの全身は、血塗れになっていた。血塗れの姿を見ると改めて殺人鬼何だと実感させられると同時に何て奴に気に入られてしまったんだと思い。ため息をついていた。
 「シャルロット、随分と派手にやったんだなー」
 僕は、水属性の魔法でシャルロットを綺麗してあげていた。
 「ありがとう。プラリネ、さっぱりしたよ」
 「血塗れのままでいられると僕が困るから。気にしないで良いよ」

 そして僕は、シャルロットが居ない間に明確にどこまでの殺しは、良いのかを考えていた。

 「どこまでを殺して良いか決めよう。自己防衛とシャルロットが一人行動の時と一人で殺しの依頼を受けているときは、良いことにする」
 「うん、それくらいじゃないと結構キツイかもねー」
 「シャルロットが納得してくれたのなら良いよ」
 テリーヌの街までは、もう少しだからテリーヌの街までは、行っておこう。

 「シャルロット、テリーヌの街も近いからそろそろ幻術魔法で、姿を変えた方が良いぞ。」
 「分かってるって」
 シャルロットは、姿を変えていた。やはり幻術魔法は、便利なんだと思っていた。
 「プラリネには、私、本来の姿に見えるようにしとくから」
 「幻術魔法って便利すぎるだろ」
 「便利だよ。今度教えてあげよっか?」
 シャルロットは、俺の顔を覗き込むように見ていた。美人なだけあって、やはり可愛いと思う僕と殺人鬼だぞと思う二人の僕がいた。
 「またタイミングで教えてくれ」


 テリーヌの街に着くと、シャルロットは、全く怪しまれることも無く街に入る事が出来た。宿に行き部屋を借りてから、シャルロットは、一人で出掛けると言っていたので、僕は、少し昼寝する事にした。

▲◆▼★■

 私は、プラリネと宿で別れた後にまだ殺し足りないと思い、殺しの依頼を受けに行こうと思って街を歩いていると、児童養護施設が目に入ったので、何となく遠くから少し眺めていた。私もずっと幻術魔法を使用していると疲れるので、幻術魔法を解除したばかりの所を運悪く養護施設の女の子に見つかってしまっていた。

 小さい女の子が私の方に向かって走ってきた。

 「お姉さん、一緒に遊ぼうよ」
 穢れを知らないキラキラした目で私の事を見つめてくるので、目を合わせる事が出来なかった。
 「お姉さんは、今は、忙しいから無理かな...」
 女の子から逃げる為に立ち去ろうとしていると、女の子が私にしがみついてきた。
 「お姉さんには、初めて会ったけど、良く分からないけど何か好き。私のお姉ちゃんに何か似てる気がする」
 このまま立ち去るのも悪いので少しだけ遊んであげることにした。
 「良いよ。少しだけなら遊んであげる」

 女の子に手を引かれてベンチに座りお絵かきをしている女の子の様子を見ていた。
 「ねぇ?今描いている絵は、家族の絵はなのかな?」
 「そうだよ、でも放火されて、私以外は、みんな居なくなっちゃった……」
 女の子の顔は、少し悲しそうな顔をしていた。私も似た様な経験があるから何とも言えなかった。
 「お姉さんも何でも良いから絵を描いて」
 私も何も思いつかないまま絵を描いていた。ただ白い紙を真っ赤に染めただけだった。私の内に秘めている。怒りの感情と湧き出す殺意の衝動の殴り書きだった。
 「ごめんね...私には、これしか描けないや」
 「絵は、本人の秘めた内面や感情を映し出すって言われてるんだよ。お姉さんには、忘れられない傷と抑えられない怒りの感情があるんだね」

 まるで、私の全てを見透かされてるような気分だった。
 「別に大した事じゃないよ。私は、そろそろ行くね」
 「ありがとうお姉さん。最後に一つだけ、お姉さんに……」
 私は、逃げるように立ち去ったので、最後に何か確信に迫る事を言われた気がするけど、聞き取る事は、出来なかった。
 「あ...お姉さん行っちゃった…まあ良いか」

 私は、その後に酒場に入っていた。酒場の地下は、非合法の依頼が集まってくる。殺しの依頼や薬物の売買やその他にも色々と集まってくる。依頼の報酬金は、普通の依頼の三倍から十倍ほど多いけど、非合法なので、もちろん捕まるリスクもある。それでもお金に困ってる人や私みたいに人間性が壊れている人は、やはり依頼を受けている。

 パッと見て報酬金の高い殺しの依頼を受けていた。依頼の内容は、プラリネを殺せという依頼だった。依頼内容は、詳しい事は、書かれていなかったけど、プラリネは、一体何をしたんだ?って思いながらも殺すつもりだったから都合が良いから、そのままプラリネの居る宿に帰っていた。


 宿に帰るとプラリネは、眠っていたので、気配を消してゆっくりと近付いて、槍を首に刺そうと槍を振り下ろしていると、プラリネは、目を覚まして、私の攻撃を回避していた。
 「シャルロット、帰って来て、早々どうしたんだよ?」
 「依頼だから、大人しく死んでくれない?」

私は、冷たい口調でプラリネに言っていた。その後に連続でプラリネに攻撃していた。私の攻撃は、全て回避されていた。回避され続けるので、拘束魔法でプラリネを拘束して馬乗りになっていた。
 「プラリネ、短い間だけど、さよなら」
 私も何で涙が溢れて来るのかが分からなかった。別に殺す事に抵抗があるわけじゃない。殺される状況を素直に受け入れている状況が私の家族を殺された状況に似てるからなのかと思ってしまった。
 「プラリネが素直に抵抗してくれたら、ちゃんと殺せたのに」
 「死ぬのが分かっているのに抵抗する意味が無いって思っただけだよ...まあ、正直拘束魔法は、力ずくで解除は、出来たけど、それをするとシャルロットの本心には、触れられないって思っただけだよ。賭けに負ければ僕は、死んでたけどね」


 私は、プラリネにかけた拘束魔法を解いてベットに座っていた。プラリネも私の横に座っていた。
 「プラリネ、私が殺人鬼になった理由を聞いてくれる?」
 「別に一緒に居るからってシャルロットの過去の話を僕からは、絶対に聞こうとは、しないし。シャルロットが話したくないなら無理に話さなくて良いんだぞ?」
 シャルロットが無理に話してくれなくても、僕は、これまで通り命を狙われたとしてもシャルロットと共に旅をしようとは、決めていた。
 「私が聞いて欲しいと思ったから。」
 「分かった。ゆっくり話してくれたら良いよ」

僕は、シャルロットの話を聞く前に深呼吸をしていた…

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