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41 押さなくてもいいのでは?
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思いがけず、想いが叶った今日この頃。お客様であるフランカ様をお迎えする為に、ただ今順調にメアリーさんと準備中。
「ひゃん?!」
フランカ様が好きな茶葉を厳選していたら、またあの感覚…
愛情表現と言われていた内容が、ブワッと湧き上がってきて、恥ずかしさに下を向く。
「あの、メアリー様?もう、石を押さなくても良いのでは?」
なんだかんだと言いつつ石は旦那様に預けっぱなしだし、それはやぶさかでは無いのだけど、声をかけて下されば良いのに…!
「あら、今までの様にメアリーで良いわよ?記憶と意識は共有しているけど違う性質を持っているし、ね?」
「はい、了解いたしました。でも石は押さなくても良いのでは?」
「フフ、あなたの反応が可愛らしくて…」
可愛らしいとは何でしょう?まさか、用もないのに石を押されていたのは、ただの反応を見る為ですか?
「そうとも言うわね。」
いとも楽しそうにさらっとそんな事をメアリーさんは言ってくださる…石、やっぱり返してもらおうかな…
中庭にあるカウチソファーにゆったりと座っているのは絵になる様な旦那様。石を押されると何処にいるかはすぐに分かる。
今日の旦那様の瞳の輝きは本当に綺麗。
シェインに気がつけばポンポンとカウチの隣を手で叩き座っての合図。
が、私は執事ですからね?お客様が来る様な時に何で主人の隣で寛げると思っているのです?
「おはよう。シェイン。」
え!?まさかのフランカ様?
衝立に隠れ見えない席に、フランカ様はフワリとお座りになっていた。
「これは、おはようございますフランカ様。お出迎えも致しませんで申し訳ありませんでした。」
「良いのよ。私が無作法を承知で定刻よりも前に来訪させてもらったのだから。」
フランカ様と旦那様との会話には冷風が吹いていそうな雰囲気があるのだけれど、今日のフランカ様の表情は少し柔らかい?
「フランカ様先日は大変失礼を致しました。お手元を汚したばかりか、断りもなく仕事を放棄してしまって…」
どんな理由をつけようか、旦那様は全てを話したと言っていたが、何と説明しようかずいぶん悩んだ。
「精霊の理はよく分からないけれど、貴方もあの大寒波の被害者だったのでしょう?」
人間も大分被害を受けた事はフランカも記憶に新しい。だから彼女の瞳には同情の暖かい色が宿っている。
「はい。ご心配をお掛けしました。」
「シェインも座って。殿下よろしいでしょう?」
ん?身分には手厳しいほどの方が?思わずきょとんと不躾にもフランカ様を見つめてしまったが。
「フフ。私も事情を聞いてしまいましたのよ?貴方のことはただの使用人として見る事はもう出来ませんわ。」
日なたの瑞々しい花の様にフランカ様は鮮やかに微笑まれた。
「ひゃん?!」
フランカ様が好きな茶葉を厳選していたら、またあの感覚…
愛情表現と言われていた内容が、ブワッと湧き上がってきて、恥ずかしさに下を向く。
「あの、メアリー様?もう、石を押さなくても良いのでは?」
なんだかんだと言いつつ石は旦那様に預けっぱなしだし、それはやぶさかでは無いのだけど、声をかけて下されば良いのに…!
「あら、今までの様にメアリーで良いわよ?記憶と意識は共有しているけど違う性質を持っているし、ね?」
「はい、了解いたしました。でも石は押さなくても良いのでは?」
「フフ、あなたの反応が可愛らしくて…」
可愛らしいとは何でしょう?まさか、用もないのに石を押されていたのは、ただの反応を見る為ですか?
「そうとも言うわね。」
いとも楽しそうにさらっとそんな事をメアリーさんは言ってくださる…石、やっぱり返してもらおうかな…
中庭にあるカウチソファーにゆったりと座っているのは絵になる様な旦那様。石を押されると何処にいるかはすぐに分かる。
今日の旦那様の瞳の輝きは本当に綺麗。
シェインに気がつけばポンポンとカウチの隣を手で叩き座っての合図。
が、私は執事ですからね?お客様が来る様な時に何で主人の隣で寛げると思っているのです?
「おはよう。シェイン。」
え!?まさかのフランカ様?
衝立に隠れ見えない席に、フランカ様はフワリとお座りになっていた。
「これは、おはようございますフランカ様。お出迎えも致しませんで申し訳ありませんでした。」
「良いのよ。私が無作法を承知で定刻よりも前に来訪させてもらったのだから。」
フランカ様と旦那様との会話には冷風が吹いていそうな雰囲気があるのだけれど、今日のフランカ様の表情は少し柔らかい?
「フランカ様先日は大変失礼を致しました。お手元を汚したばかりか、断りもなく仕事を放棄してしまって…」
どんな理由をつけようか、旦那様は全てを話したと言っていたが、何と説明しようかずいぶん悩んだ。
「精霊の理はよく分からないけれど、貴方もあの大寒波の被害者だったのでしょう?」
人間も大分被害を受けた事はフランカも記憶に新しい。だから彼女の瞳には同情の暖かい色が宿っている。
「はい。ご心配をお掛けしました。」
「シェインも座って。殿下よろしいでしょう?」
ん?身分には手厳しいほどの方が?思わずきょとんと不躾にもフランカ様を見つめてしまったが。
「フフ。私も事情を聞いてしまいましたのよ?貴方のことはただの使用人として見る事はもう出来ませんわ。」
日なたの瑞々しい花の様にフランカ様は鮮やかに微笑まれた。
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