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40 夜が明けてみれば

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 まだ、シェインの精気は本来のものからかけ離れて劣る。その為夜間は殻の中…

 深く夢を見ない程眠ってしまえば、昨日の事がまるで夢でもあったかのように思える。


 ……何か、凄くいい夢を見た気がする……


 寝具の中でフッと目を覚ませば、まだぼんやりと夢の続きを見ている様に思われてならなかった。

 身支度を整えながら、ハッキリして来た頭の中で、昨日の事を反芻し、幸せを噛みしめる…


 ニンマリ………いかんいかん!つい顔がにやけて来るのを引き締めなければ!旦那様、レーン様はここ、人間の元でやる事があるだろうし、私は精気を養う為に良く寝て日の光を浴びなければ!
 
 ここにいても良い間は、しっかりと旦那様のサポートをしますよ!レーン様はお仕えするべき私の旦那様なのですから。


 フン、と気合を入れ直しシェインは今日の仕事をスタートさせた。


 こんなに仕事という物が楽しかった事あったか?と言うぐらいに一つ一つの仕事が楽しい…旦那様の為に何かするのが楽しい。足取りも軽く、体が浮いているみたいで凄く不思議だ。


 起きておられるのを確認してからそっと入室し、旦那様のためのお茶を用意する。たったこれだけの仕事にも積年の思いが込められてしまう…


「シェインリーフ、おはよう。クク…声が全部聞こえてるよ。」

 もう我慢ならないとばかりに、旦那様の方から声が掛かる。


「おはようございます、旦那様。分かっております。多分、そうなるんだろうとは予想しておりましたので…けれど、上手く抑える事が出来なくてですね…」

 真っ赤になって少し俯くシェインの側にフワリと近づいては優しく頬に手を当てて朝の挨拶をなさった…


「旦那様、フランカ様に謝罪をしたいのですが?」

「ん?フランカに?」

「はい。昨日のご無礼を…ハンカチを汚してしまいましたし、何も告げずにその場を立ち去るなどよく考え無くても物凄いご無礼を働きましたから。」


 フランカ様の事は聞いていなかったが、とても心配をしてくれていたようだし、あの時の無礼に怒っていないと良いのだけど…自分の我儘で旦那様の立場を悪くは出来ません。

 仮にも私は旦那様の執事ですから、主人の足を引っ張るような行いは許せないものです!


「ああ、それならば大丈夫だろう。フランカには全て話してあるからな。」

「へ?」

「私もシェインリーフも精霊である事を話してある。」

 えぇぇぇぇぇぇぇ?!

「は、話してしまっても良いものだったのですか?」

「構わんだろう?私は元より精霊付きでここにいるんだぞ?それにシェインリーフとて、行く先々の家であの様に自分の城を作っていては周りの人間には普通の人間ではない事くらい分かっていただろう。」

 なる程、ですから仕えて来たお宅の皆様は皆揃って遠巻きに見て来て、極丁寧に追い出されて来たのですね。
 
 ふわりと抱きしめて来た旦那様の腕の中で妙に納得したシェインだった。
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