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19 お使いのはずが
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ここは、神殿というより、もう一国の城でいいと思う。
真っ白な外壁に金の装飾、太陽に照らされてそれは眩しく、荘厳で………あの方達のそばを離れて久しく感じていなかった気配さえする……
「凄い………」
感想が出てこない。神殿に入れば天井はそれは高く、採光窓から光が溢れて神殿内は陽光に満たされている…
懐かしい想いに胸が押しつぶされそうになりながら、神殿に使える方に旦那様からの手紙を渡す。
直ぐに中を確認した方は、神殿内にあるテーブルに誘導してくれた。
「執事殿、殿下に了承の旨を認めますので、暫くこちらでゆっくりとお休みになっていて下さいませ。」
椅子に座ってホゥと息を吐く。
気持ちいい…ここにいると、あの森にいた時の様に光に包まれて、皆と一緒にいる様に感じる。
心の中に、嫌、魂の中に力が注ぎ込まれているみたいに…
「精気……?」
そう言えば、あの時、森を守る為にかなりの力を使った。斬られても、散らされても森だけは守りたかった。
結果、自分はズタズタに…森は無くなったけど…
よく、消滅しなかったと思う。あのまま大気に溶け込み散って行ってもおかしくなかったのに…
精霊だから、消滅してもいずれどこかでまた生まれるんだろうけど…
気持ち良さに任せて、すぅっと目を閉じる。
あの方はなぜあそこ迄大暴れされたんだろう?あれ以来あんな寒波には襲われてはいないみたいで、今は落ち着いておられるんだろうけど。
本当に突然だったから、なにが目的なのかちっとも分からなかった…
ここは、気持ちいいけど、少し寂しい………
あの方に、会いたいなぁ………
******
ホワァァァァ…………
片手に乗せたエメラルドグリーン色の石の中からキラキラキラキラ細かい光が溢れ出す…
「あら、上手く行っている様ですね?」
「そうだろうね。その為に行かせたからね。」
「少し、精気が戻ればきっと気がついて下さいますよ。」
「フフ…どうかな?あれの光はこんな物では無かっただろう?」
「ええ……そうですわね。どれだけ傷ついたか……傷が深いか物語っていますものね。」
精霊の精気は宝石の輝きなどとは比べようもない程に眩しく尊い。
ただの石の様になってしまっていたシェインの魂がそれ程深く深く傷ついていた事になるのだ。
「あれへの報復は、まだ足りないくらいだな……」
「あら、まぁ。灼熱の太陽の元に存在事投げ込んでしまったのに?」
「消滅させてやっても良かったくらいだ。」
「あらあら、恐ろしい事を言いますのね。」
不穏なことを口走るガラット王子の言を諫めているメアリーの目も笑ってはいない。
「それでも、生温いくらいでございましょう?」
見つめ合う二人はゆっくりと肯くのであった。
真っ白な外壁に金の装飾、太陽に照らされてそれは眩しく、荘厳で………あの方達のそばを離れて久しく感じていなかった気配さえする……
「凄い………」
感想が出てこない。神殿に入れば天井はそれは高く、採光窓から光が溢れて神殿内は陽光に満たされている…
懐かしい想いに胸が押しつぶされそうになりながら、神殿に使える方に旦那様からの手紙を渡す。
直ぐに中を確認した方は、神殿内にあるテーブルに誘導してくれた。
「執事殿、殿下に了承の旨を認めますので、暫くこちらでゆっくりとお休みになっていて下さいませ。」
椅子に座ってホゥと息を吐く。
気持ちいい…ここにいると、あの森にいた時の様に光に包まれて、皆と一緒にいる様に感じる。
心の中に、嫌、魂の中に力が注ぎ込まれているみたいに…
「精気……?」
そう言えば、あの時、森を守る為にかなりの力を使った。斬られても、散らされても森だけは守りたかった。
結果、自分はズタズタに…森は無くなったけど…
よく、消滅しなかったと思う。あのまま大気に溶け込み散って行ってもおかしくなかったのに…
精霊だから、消滅してもいずれどこかでまた生まれるんだろうけど…
気持ち良さに任せて、すぅっと目を閉じる。
あの方はなぜあそこ迄大暴れされたんだろう?あれ以来あんな寒波には襲われてはいないみたいで、今は落ち着いておられるんだろうけど。
本当に突然だったから、なにが目的なのかちっとも分からなかった…
ここは、気持ちいいけど、少し寂しい………
あの方に、会いたいなぁ………
******
ホワァァァァ…………
片手に乗せたエメラルドグリーン色の石の中からキラキラキラキラ細かい光が溢れ出す…
「あら、上手く行っている様ですね?」
「そうだろうね。その為に行かせたからね。」
「少し、精気が戻ればきっと気がついて下さいますよ。」
「フフ…どうかな?あれの光はこんな物では無かっただろう?」
「ええ……そうですわね。どれだけ傷ついたか……傷が深いか物語っていますものね。」
精霊の精気は宝石の輝きなどとは比べようもない程に眩しく尊い。
ただの石の様になってしまっていたシェインの魂がそれ程深く深く傷ついていた事になるのだ。
「あれへの報復は、まだ足りないくらいだな……」
「あら、まぁ。灼熱の太陽の元に存在事投げ込んでしまったのに?」
「消滅させてやっても良かったくらいだ。」
「あらあら、恐ろしい事を言いますのね。」
不穏なことを口走るガラット王子の言を諫めているメアリーの目も笑ってはいない。
「それでも、生温いくらいでございましょう?」
見つめ合う二人はゆっくりと肯くのであった。
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