[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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3 忙しい一日

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 こんなに忙しいものであったか?
今までも、いくつかのお屋敷で働いた事があるのに、こんなにも頻回に呼ばれたことはなかった様に思う。

 
 朝の支度を終えて、書類や手紙の整理、洗濯や掃除の手伝いの合間に午前のお茶を用意して、この間に3回はガラット王子の所に呼ばれている。
 

 でも、要望らしい要望はなく、不手際らしい不手際もない様で、部屋に行けばニコニコと受け入れられ、特に注意されることもなし。


 おいでおいでと手招きされて、御用がおありかと寄ってみたら、頭を撫で撫で…


「??あの、旦那様??」


 もういい加減、疑問が頭に飛び回っているので、晩餐の準備に追われる中本日5回目の呼び出しを受けて、疑問を口に出してみた。



「ん?」

 この間、シェインの手を握りしめ、ソファーの隣に座らせてやはり撫で撫で。
 ピンクの瞳がいとも楽しそうに輝いている様に見えるのは見間違いではないだろう…


「あの、メアリーさんがきっと晩餐の準備にてんてこまいになっていらっしゃると思いますので、そろそろ手伝いに行っても良いですか?」


「人はパンのみで生きているわけじゃないって知っている?」

「?食べ物を食べなくてもいいのですか?」

「フフッ違うよ…心の中の糧も必要という意味。」


「へぇ、なる程!ではこの行為は心の糧を頂いている、と?」

「うん。そうともいうね。」

 
 優しげに撫でられれば、確かに気持ちの良い物だ。悪い気はしないな、うん。

 ん?いや待って?やられる方が気持ち良いなら旦那様にしなくては!


「替ります、旦那様。」

「ん?何をかな?」


「撫でられるのですよ。気持ちの良いものですね?心の糧が欲しいとおっしゃいましたから、私目が撫でて差し上げます。」


「フフフッ、やっぱり素直だね、君は。」 


 クスクスと楽しくてしょうがないと言う顔つきだ。


 こちらはメアリーさん一人にだけ晩餐の準備をさせてしまっている負い目で、早くここを離れたいのに…何が楽しくて笑っておられるのかこの人は?

 
「仕事ならば、なんでもするのだろう?では、大人しく撫でられておいて?」

「これは、仕事のうちに入ります?」

「ああ、勿論。私が望んでいることだからね。」


 なる程、こんなにもゆっくりさせてもらってサボりにならないとは、今までの経験が当てはまらないな、この方には。


「少し、困らせてしまったね。それにしても、本当にこの石を押すだけで君には分かっているんだね。」


 この石、とは奥の手にして置こうと思って、先程ガラット王子に渡した石の事。


 絶対にその石の名前を話してはいけないものだけど、ま、人間には分からないものだろうし、いいと思う。


「ええ、そうなんです。離れていても役に立ちますでしょう?」

「そうだね。石と言っても石の様に堅くないし、不思議な柔らかさがあるね。」


 ムニムニムニムニムニムニムニムニ……


 あの、ずっとムニムニされてますけど、

「あの、旦那様、ずっとムニムニとされてますけど、ご用がおありでしたらどうぞ仰ってください?」


 何と無くですけどね?むず痒いんですムニムニと…一様繋がっていますので。


「旦那様、私がそれと繋がっているか確認をなさってます?」

 だったら、頻回プッシュも肯ける。


「いや、本当に疑ってなんていないよ?ただ嬉しくてね…」


 フワリと笑ったその笑顔がまた、麗しいと思える程綺麗なのに、この方には何で伴侶が来ないのだろ?
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