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64 神託の巫女姫1
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カザンシャルに到着後ルーシウス達に宛てがわれたのは王城離宮だ。カザンシャル王城は本宮を中心に周りに離宮が幾つも連なる様にして成っている。一城一城大きさはさほど無いが、それぞれに拘りがあり趣向を凝らしているそうな。主に王族やその子供達、貴賓に対し用いられている。
連なると言っても、各宮毎にそれぞれ庭園や林に囲まれている為広大な敷地の中に城がポツリポツリとある様に見える。
その中でもルーシウス達が滞在する城は光林宮と呼ばれている。城に入りホールを抜けると大広間があるが、高い天井に可動式の円形の仕切り。そこを開けると色彩鮮やかなガラスで出来た半円形の天井が現れる。日中陽光が差し込むとホール床に映る光の影が色鮮やかな林の様に見えるのだ。
客室はいずれも落ち着いた色調で華美な物が苦手なサウラも思ったよりは落ち着けそうだ。
しかしここは中立国、幸いに王城敷地内ならば安全だと言われているが気は抜けない。どこに敵対しようとする者がいるか分からないのだ。騎士団の緊張具合を見ても、明らかにサウスバーゲンにいる時とは違うのである。王族の側を護衛は常に離れない。
今も尚、寛ぎの時間を使って城内を探索しているサウラにスザンナと護衛騎士が数名張り付いている。
ルーシウスは執務中。共にいなければならない公務は無し。カザンシャル側からは行動制限も出ていないとなれば、好奇心旺盛のサウラもスザンナもじっとはして居れないだろう。
なので供をぞろぞろ引き連れて今は庭園に出てきた所だ。
カザンシャルは北国、今は夏の時期であるが、暑さはそんなに感じない。一年を通して気温に大きな変化はないのだそうだ。なので植える時期を少しずらせば大抵の花は一年中庭で楽しめる。
「姫様そろそろ帰りませんと、かなり歩きましたからお疲れでしょう?」
見慣れない花を楽しみつつ歩いてみれば離宮からはかなり離れた様子。だがまだ疲れたほどでは無い。
「姫様ここはサウスバーゲンではありません。中立国ですわ。意味がお分かりになりますか?ゴアラの者も入ってこれる国なのです。サウスバーゲンの様にこの国には結界はありませんわ。」
先程まで楽しんでいたスザンナが嘘の様に声を潜め理由を話す。なるほど、スザンナも警戒心を解いてはいないらしい。
「安心なさい。その様な無礼者ここにはおりませんよ。」
前方茂みの影から女性の声がした。
バッと騎士達が剣の柄に手を掛け前方へ出る。
騎士の中には暗部の者も紛れている。何かあれば応戦も辞さないだろう。
「無礼者下がらぬか!」
騎士達の前に年配の侍女が進み出る。先程の声の主とは違う人だ。
「ここは皇女の庭ぞ。其方ら誰の許可を得て入った?」
「お待ちなさいな、ナナ。その方達はサウスバーゲンの方よ。」
「しかし、貴方様の庭にまで来られるとは!」
皇女?サザーニャ様!
「下がって下さい。第一皇女様です。」
急ぎ騎士達を後方へ下がらせる。
「大変失礼を致しました。貴方様とは知らずにご無礼を。」
礼を持って非礼を詫びる。スザンナも後方で平伏している。
「貴方は王の番であって王に次ぐ立場の方でしょう?簡単に頭を下げてはなりません。」
凜とした声が辺りに響く。
サザーニャは、大きな帆の傘の下でその身を隠す様に立っていた。
「ナナ、私がお父様に伝えていたのです。城内ならばどこを見ても構わないと。」
そして、サウラに手を差し出した。
「こちらへ、サウラ様。偶然を装わねばきっと貴方と話をする事すら私には出来なかったでしょうから。」
思いがけず誘われているが受けた方が良いのか?
「お待ちを姫様、陛下からお一人での交流は避けよとのご命令です。」
暗部の者だろう。後ろに立った気配がなかった。
「サウラ様、騎士は下げ、侍女をお連れください。私は異性と触れあってはならないのです。」
サザーニャの言っている事はよく分からないが、これが偶然の出会いと言うのなら断っても外交上は問題無いだろう。けれど個人的なものとしても上手く断れなければ心証は悪くなる。
こんな貴族の遣り取りなんて今までして来たことがない。[貴族共通礼儀作法]本は全て読んだが、いきなり実践が他国の皇女のお誘いと自国婚約者候補である王の命令の天秤とは難易度が高すぎる。
これは公式の招待ではない。直ぐに返答を求められているのなら、マナーに欠けるかも知れないが自身の勘に頼って動こう。
「失礼ながら、御尊顔を拝してもよろしゅうございますか?」
手を挙げ騎士を全て下がらせる。
「なんと、無礼な!」
「ナナ、下がりなさい。今無礼なのは貴方ですよ。」
サウラは進み出て傘に近づく。
傘の帆から伺い知れた姿は紛れもなくサザーニャ。
「ナナが失礼をしました。とても心配性なのです。」
苦笑を浮かべるサザーニャはやはりこの世の者とは思えない程美しい人だ。敵意は感じられない。
「ルーシウス様にお誘いをお受けした事を伝えさせます。これが条件ですがよろしいですか?」
しっかりとサザーニャを見つめ返し返答する。
「しっかりとした方で安心いたしました。それでよろしゅうございますわ。では、こちらへ。」
どこかホッとした様な表情を浮かべサザーニャはサウラを自身の宮へ誘った。
連なると言っても、各宮毎にそれぞれ庭園や林に囲まれている為広大な敷地の中に城がポツリポツリとある様に見える。
その中でもルーシウス達が滞在する城は光林宮と呼ばれている。城に入りホールを抜けると大広間があるが、高い天井に可動式の円形の仕切り。そこを開けると色彩鮮やかなガラスで出来た半円形の天井が現れる。日中陽光が差し込むとホール床に映る光の影が色鮮やかな林の様に見えるのだ。
客室はいずれも落ち着いた色調で華美な物が苦手なサウラも思ったよりは落ち着けそうだ。
しかしここは中立国、幸いに王城敷地内ならば安全だと言われているが気は抜けない。どこに敵対しようとする者がいるか分からないのだ。騎士団の緊張具合を見ても、明らかにサウスバーゲンにいる時とは違うのである。王族の側を護衛は常に離れない。
今も尚、寛ぎの時間を使って城内を探索しているサウラにスザンナと護衛騎士が数名張り付いている。
ルーシウスは執務中。共にいなければならない公務は無し。カザンシャル側からは行動制限も出ていないとなれば、好奇心旺盛のサウラもスザンナもじっとはして居れないだろう。
なので供をぞろぞろ引き連れて今は庭園に出てきた所だ。
カザンシャルは北国、今は夏の時期であるが、暑さはそんなに感じない。一年を通して気温に大きな変化はないのだそうだ。なので植える時期を少しずらせば大抵の花は一年中庭で楽しめる。
「姫様そろそろ帰りませんと、かなり歩きましたからお疲れでしょう?」
見慣れない花を楽しみつつ歩いてみれば離宮からはかなり離れた様子。だがまだ疲れたほどでは無い。
「姫様ここはサウスバーゲンではありません。中立国ですわ。意味がお分かりになりますか?ゴアラの者も入ってこれる国なのです。サウスバーゲンの様にこの国には結界はありませんわ。」
先程まで楽しんでいたスザンナが嘘の様に声を潜め理由を話す。なるほど、スザンナも警戒心を解いてはいないらしい。
「安心なさい。その様な無礼者ここにはおりませんよ。」
前方茂みの影から女性の声がした。
バッと騎士達が剣の柄に手を掛け前方へ出る。
騎士の中には暗部の者も紛れている。何かあれば応戦も辞さないだろう。
「無礼者下がらぬか!」
騎士達の前に年配の侍女が進み出る。先程の声の主とは違う人だ。
「ここは皇女の庭ぞ。其方ら誰の許可を得て入った?」
「お待ちなさいな、ナナ。その方達はサウスバーゲンの方よ。」
「しかし、貴方様の庭にまで来られるとは!」
皇女?サザーニャ様!
「下がって下さい。第一皇女様です。」
急ぎ騎士達を後方へ下がらせる。
「大変失礼を致しました。貴方様とは知らずにご無礼を。」
礼を持って非礼を詫びる。スザンナも後方で平伏している。
「貴方は王の番であって王に次ぐ立場の方でしょう?簡単に頭を下げてはなりません。」
凜とした声が辺りに響く。
サザーニャは、大きな帆の傘の下でその身を隠す様に立っていた。
「ナナ、私がお父様に伝えていたのです。城内ならばどこを見ても構わないと。」
そして、サウラに手を差し出した。
「こちらへ、サウラ様。偶然を装わねばきっと貴方と話をする事すら私には出来なかったでしょうから。」
思いがけず誘われているが受けた方が良いのか?
「お待ちを姫様、陛下からお一人での交流は避けよとのご命令です。」
暗部の者だろう。後ろに立った気配がなかった。
「サウラ様、騎士は下げ、侍女をお連れください。私は異性と触れあってはならないのです。」
サザーニャの言っている事はよく分からないが、これが偶然の出会いと言うのなら断っても外交上は問題無いだろう。けれど個人的なものとしても上手く断れなければ心証は悪くなる。
こんな貴族の遣り取りなんて今までして来たことがない。[貴族共通礼儀作法]本は全て読んだが、いきなり実践が他国の皇女のお誘いと自国婚約者候補である王の命令の天秤とは難易度が高すぎる。
これは公式の招待ではない。直ぐに返答を求められているのなら、マナーに欠けるかも知れないが自身の勘に頼って動こう。
「失礼ながら、御尊顔を拝してもよろしゅうございますか?」
手を挙げ騎士を全て下がらせる。
「なんと、無礼な!」
「ナナ、下がりなさい。今無礼なのは貴方ですよ。」
サウラは進み出て傘に近づく。
傘の帆から伺い知れた姿は紛れもなくサザーニャ。
「ナナが失礼をしました。とても心配性なのです。」
苦笑を浮かべるサザーニャはやはりこの世の者とは思えない程美しい人だ。敵意は感じられない。
「ルーシウス様にお誘いをお受けした事を伝えさせます。これが条件ですがよろしいですか?」
しっかりとサザーニャを見つめ返し返答する。
「しっかりとした方で安心いたしました。それでよろしゅうございますわ。では、こちらへ。」
どこかホッとした様な表情を浮かべサザーニャはサウラを自身の宮へ誘った。
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