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目覚め
02
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ウィリアムの運転にまどろみながらレストランに向かうと、そこは高級ホテルだった。ジャケット持ってきて正解だったな。
たわいもない会話をしながら軽くワインを飲みつつコース料理を平らげると、予約してあるホテルの部屋にあるBarカウンターで飲み直すことになった。普段ワインよりもウィスキーを飲む俺はどこか物足りなさを感じてたから嬉しい提案だった。
部屋にはいると物凄くひろいリビングルームが出迎えてくれた。100平方メートル近くありそうだ。グレーを基調とした色味に統一された室内はシンプルに見えるがところどころに細かく装飾されており贅を極めてことがわかる。そして全客室からパノラマビューを望めますとうたってるだけあって、どの部屋にも床から天井まで広がる窓がありそこからは夜景がみえた。
ウィリアム奮発したなぁ、何かいいことでもあったか?
ソファーに脱いだ上着を掛け、首元のボタンを開ける。広い部屋を散策しながらウィリアムを探しているとベットルームの隅にあったBarカウンターにその姿を見つけた。ウィリアムも上着を脱ぎネクタイを外し腕を捲って、その姿はバーテンダーというよりも職人のようだ。
『酒は何があるんだ?』
「なんでも」
『なんでも?じゃあおまかせで』
「かしこまりました」
巫山戯て畏まったウィリアムに笑いながらBarカウンター前の椅子にすわる。
ウィリアムは慣れた手つきでグラスに氷を入れウィスキーを注ぐと、俺の目の前にグラスをおいた。待ってましたとばかりに、グラスをすぐにあおると今までにない芳醇なウィスキーの香りが鼻から抜けていく。
な、なんだこのウィスキーうまい・・・・
酒を味わいながらウィリアムとの会話を楽しむ。学生時代の話、当時流行った物の話、仕事の話一通り話すと自然に俺の結婚の話になった。妹がなにか迷惑をかけてないか結婚式後の予定など。
俺にとってはそれはあまり触れたくない話題だった。
生まれる前から決まっていた結婚の話。
お互いにまだ腹にいるときに両親が決めた話。リンジーは可愛いし優しく夫を立てれる良い女性だ。
彼女愛している。
しかし、その愛は友愛なのだ。彼女もおそらく同じ気持ちだろう。その証拠に今まで軽いキスまでしかしていない。それも学生時代に酔った友人達に囃し立てられて仕方なくやったキスだった。そのキスをしてから1ヶ月は何とも言えない気まずい空気が俺たちの間に流れたのを覚えている。
結婚を控えた俺たちが愛し合っていないことにウィリアムももしかしたら気づいているのかもしれない。
心に影が落ちたように気分が沈んでいく。酔いが覚めるのを感じた。
次第に酔いを覚さないように酒を飲むペースが早くなる。上手いウィスキーだったこともあり気がついたら俺はどうしようもなく酔っていた。
そのせいでウィリアムがそんな俺をとめずに言われるがままに酒を注ぎ会話がなくなっていることに気付かなかった。
酩酊しBarカウンターに左頬をつけ今にも寝そうな状態なのに今だにグラスを握っている俺にウィリアムが近づいてくる。
何かを言っている。でも理解できない。
『・・・な・・・に?』
グラスを奪われた。抗議しようと思ったが声が出ない。
脳が働かない。もう寝てしまおうと酔いに俺は身を任せた。
◆◆◆
イーサンのグラスをもっていたウィリアムはその飲みかけのグラスをあおり飲み干した。
カウンターに伏せて眠ったイーサンを覗くようにウィリアムは身をかがめ何を思ったのか薄く開いたイーサンの唇に指をのばし触れる。
下唇をなぞる。くすぐったかったのかイーサンが身を捩るとウィリアムは左手で顔が少し天井を向くように固定しイーサンの薄く開いた唇にゆっくり指を入れた。ウィリアムは力の入ってない舌を人差し指で撫でイーサンが起きないのを確認すると指を2本に増やした。
ウィリアムの荒い息遣い、イーサンの寝息とピチャピチャと水音が響く。イーサンの口に入れた指をゆっくり出し入れし始めた。まるで抽挿しているかのような指の動き。ウィリアムの指に掻き回され溢れたイーサンの唾液は口の端からこぼれそうになっていた。
ウィリアムが息をころしながらその溢れそうな唾液に自らの口を近づける。
イーサンとウィリアムの唇が触れそうになった瞬間、ウィリアムの指を口に含んだまま眠っているイーサンが無意識に口に溜まった唾液を飲み込んだ。
そのとき舌が動きわずかにウィリアムの指に触れる。
ウィリアムはイーサンの口を犯していた指を抜くと、イーサンの唾液に濡れた2本の指を眺めた。しとどに濡れ唾液が伝い指の間に白い糸を引いている。
その糸が切れる瞬間ウィリアムは自分の指を舌で舐めあげた。イーサンの唾液を全て舐めはぁっと息をつく。
ウィリアムは右手をシャツの胸ポケットにのばし何かを取り出した。銀色の小指ほどの大きさの筒状のもの。ウィリアムは握った右手の親指でその筒の先端を撫でると、先端が外れた。筒の中は空洞になっており筒の真ん中までなにか液体が入っている。
銀色の筒をイーサンの口元に持っていく。薄く開かれたままだったその唇に添えると筒を傾けた。
イーサンの口の中に筒を満たしていた液体が流れていく。わずかに口の端にこぼれた液体をウィリアムは親指でぬぐい、イーサンの様子を伺った。
しばらくするとまたイーサンがむにゃむにゃと口を動かし、その液体を飲み込んだ。
その様子を見届けたウィリアムはカウンターに伏せたイーサンを抱え上げると、バスルームへ向かった。
たわいもない会話をしながら軽くワインを飲みつつコース料理を平らげると、予約してあるホテルの部屋にあるBarカウンターで飲み直すことになった。普段ワインよりもウィスキーを飲む俺はどこか物足りなさを感じてたから嬉しい提案だった。
部屋にはいると物凄くひろいリビングルームが出迎えてくれた。100平方メートル近くありそうだ。グレーを基調とした色味に統一された室内はシンプルに見えるがところどころに細かく装飾されており贅を極めてことがわかる。そして全客室からパノラマビューを望めますとうたってるだけあって、どの部屋にも床から天井まで広がる窓がありそこからは夜景がみえた。
ウィリアム奮発したなぁ、何かいいことでもあったか?
ソファーに脱いだ上着を掛け、首元のボタンを開ける。広い部屋を散策しながらウィリアムを探しているとベットルームの隅にあったBarカウンターにその姿を見つけた。ウィリアムも上着を脱ぎネクタイを外し腕を捲って、その姿はバーテンダーというよりも職人のようだ。
『酒は何があるんだ?』
「なんでも」
『なんでも?じゃあおまかせで』
「かしこまりました」
巫山戯て畏まったウィリアムに笑いながらBarカウンター前の椅子にすわる。
ウィリアムは慣れた手つきでグラスに氷を入れウィスキーを注ぐと、俺の目の前にグラスをおいた。待ってましたとばかりに、グラスをすぐにあおると今までにない芳醇なウィスキーの香りが鼻から抜けていく。
な、なんだこのウィスキーうまい・・・・
酒を味わいながらウィリアムとの会話を楽しむ。学生時代の話、当時流行った物の話、仕事の話一通り話すと自然に俺の結婚の話になった。妹がなにか迷惑をかけてないか結婚式後の予定など。
俺にとってはそれはあまり触れたくない話題だった。
生まれる前から決まっていた結婚の話。
お互いにまだ腹にいるときに両親が決めた話。リンジーは可愛いし優しく夫を立てれる良い女性だ。
彼女愛している。
しかし、その愛は友愛なのだ。彼女もおそらく同じ気持ちだろう。その証拠に今まで軽いキスまでしかしていない。それも学生時代に酔った友人達に囃し立てられて仕方なくやったキスだった。そのキスをしてから1ヶ月は何とも言えない気まずい空気が俺たちの間に流れたのを覚えている。
結婚を控えた俺たちが愛し合っていないことにウィリアムももしかしたら気づいているのかもしれない。
心に影が落ちたように気分が沈んでいく。酔いが覚めるのを感じた。
次第に酔いを覚さないように酒を飲むペースが早くなる。上手いウィスキーだったこともあり気がついたら俺はどうしようもなく酔っていた。
そのせいでウィリアムがそんな俺をとめずに言われるがままに酒を注ぎ会話がなくなっていることに気付かなかった。
酩酊しBarカウンターに左頬をつけ今にも寝そうな状態なのに今だにグラスを握っている俺にウィリアムが近づいてくる。
何かを言っている。でも理解できない。
『・・・な・・・に?』
グラスを奪われた。抗議しようと思ったが声が出ない。
脳が働かない。もう寝てしまおうと酔いに俺は身を任せた。
◆◆◆
イーサンのグラスをもっていたウィリアムはその飲みかけのグラスをあおり飲み干した。
カウンターに伏せて眠ったイーサンを覗くようにウィリアムは身をかがめ何を思ったのか薄く開いたイーサンの唇に指をのばし触れる。
下唇をなぞる。くすぐったかったのかイーサンが身を捩るとウィリアムは左手で顔が少し天井を向くように固定しイーサンの薄く開いた唇にゆっくり指を入れた。ウィリアムは力の入ってない舌を人差し指で撫でイーサンが起きないのを確認すると指を2本に増やした。
ウィリアムの荒い息遣い、イーサンの寝息とピチャピチャと水音が響く。イーサンの口に入れた指をゆっくり出し入れし始めた。まるで抽挿しているかのような指の動き。ウィリアムの指に掻き回され溢れたイーサンの唾液は口の端からこぼれそうになっていた。
ウィリアムが息をころしながらその溢れそうな唾液に自らの口を近づける。
イーサンとウィリアムの唇が触れそうになった瞬間、ウィリアムの指を口に含んだまま眠っているイーサンが無意識に口に溜まった唾液を飲み込んだ。
そのとき舌が動きわずかにウィリアムの指に触れる。
ウィリアムはイーサンの口を犯していた指を抜くと、イーサンの唾液に濡れた2本の指を眺めた。しとどに濡れ唾液が伝い指の間に白い糸を引いている。
その糸が切れる瞬間ウィリアムは自分の指を舌で舐めあげた。イーサンの唾液を全て舐めはぁっと息をつく。
ウィリアムは右手をシャツの胸ポケットにのばし何かを取り出した。銀色の小指ほどの大きさの筒状のもの。ウィリアムは握った右手の親指でその筒の先端を撫でると、先端が外れた。筒の中は空洞になっており筒の真ん中までなにか液体が入っている。
銀色の筒をイーサンの口元に持っていく。薄く開かれたままだったその唇に添えると筒を傾けた。
イーサンの口の中に筒を満たしていた液体が流れていく。わずかに口の端にこぼれた液体をウィリアムは親指でぬぐい、イーサンの様子を伺った。
しばらくするとまたイーサンがむにゃむにゃと口を動かし、その液体を飲み込んだ。
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