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目覚め
03
しおりを挟む眠っていた意識がゆっくりと浮上する。身体を緩く揺すられているような感覚と、身体の奥に燻るような甘い熱がたまるような感覚。
かすむ視界。俺はベットうつぶせに眠っているようで、目の前にはふかふかのブランケットが広がっていた。口元にふれるふかふかのブランケットにさらに意識が沈んでいくのを感じる。
意識がうつらうつらとして心地がいい。俺が欠伸をもらすと、背後からクスっと空気の揺れる音がした。
義兄さん?
後ろを振り返って確認する前に俺の意識は沈んでいった。
▽▽▽
ドレスサロンにリンジーとウェディングドレスを試着しに来ていた。来店早々自分の試着を終え待合室で仕事のメールを返していた。スタッフと楽しそうなリンジーの声。そして来店してから1時間後試着室のカーテンが開かれた。
「このドレス....どう........かな?」
『.......とても似合ってるよ。一番似合ってる』
白いヘップバーンドレスを着て珍しく緊張した様子のリンジーに俺がそういうと安堵した表情を浮かべる。これにします、リンジーがスタッフとベールなどの打ち合わせをしているのをぼんやりと眺め、そして俺は目を伏せた。
瞬きをすると俺の家だった。あぁ、そうかこれは夢なのか。
どこからかテレビの音と水音が聞こえる。リンジーがシャワーを浴びているようだった。ニュースを意味もなく見る。興味を引く内容がないからかすぐに飽きた。座っていたソファーに身を深く沈めるとどこからかベルの音がした。テーブルに置いた俺のスマホは暗い。視線を走らせるとソファーにリンジーのスマホがあった。このままだと知らずにスマホの上に座りそうな位置だった。俺は何気なくスマホをテーブルの上に移動しておこうとリンジーのスマホを手に取った。
そして目に入ってしまう。リンジーの画面に通知されたショートメールを....
"
Oliver
昨日はありがとう “
見慣れない名前だ。俺はリンジーのスマホの画面から目が離せなくなった。
テーブルにリンジーのスマホを置くと再びベルの音が鳴る。
そして画面には
”
Oliver
素敵な夜だった。また来月に xoxo “
頭が真っ白になる。そのショートメールはリンジーの浮気を示唆するものだった。友達の悪ふざけかもしれない、そう自分にいいきかせるが、俺は決定打を見ていしまう。
シャワーからでたリンジーの左耳の後ろ、生え際近くに赤く小さなキスマークがあるのを.....
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