言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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行動開始

新しいダンジョンへ

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 私たちは、シュウさんの案内で新しく出現したダンジョンへと向かっていた。

「新しく出現したダンジョンについて何か分かることはありますか」

 ずんだ餅さんがシュウさんに向かって尋ねる。

『……ない』
「ないんですか!?」
「ないの!?」

 私とシュウカさんの声が重なる。

『……急に出て来た。あ、あと』
「なんですかっ」

 ずんだ餅さんが体を乗り出す。

『開発側が把握してないものだった』
「……それはさっき聞きました」

 ずんだ餅さんが大きなため息をつく。

「あ、でもでも! 新しく出現したダンジョンだって言うんなら、お宝いっぱい眠ってるかも!だってまだ、攻略サイトなんかに出回ってない場所だし!」

 シュウカさんが飛び跳ねる。いつの間にか、私達にも敬語じゃなくなってる。

「はい、お宝はたくさんあるかもしれないですね」
『……ポジティブなものだけとは限らないがな』

 シュウさんの声が低くなる。

『このタイミングで出て来たわけだから、それなりに今回の件に関わった何かである可能性は高いからな』
「もしかしたら、ゲームからログアウトできる条件やヒントを見つけることができるかもしれません」

 その言葉に、ずんだ餅さんが頷く。

「確かに、その可能性はありますね。でもそれなら……」
『危険が伴う可能性もおのずと高くなる』
「だいじょーぶ、アタシがついてる!」
『危ないと感じたら、いったん外へ出て態勢を整えるつもりで行け。シュウカ、他にも力自慢の知り合いは、いるのか』
「いたかなぁ……」

 シュウさんの言葉に、シュウカさんが首をかしげる。

「アタシ、闘技場で他の人と話すことってほとんどなかったから……」
「ただ、シュウカさんの認知度が高ければ、手伝ってくれる人はいそうですけどね」

 ずんだ餅さんが言う。

「しかし、その人たちが信用に足る人物かを調べる術がないかもしれませんけどね」

 確かに。シュウカさんが闘技場でのランキング上位者なら、彼女が言う事を信じてついてきてくれる人もいるかもしれない。

「ただ、アタシから何かを発信するってことは、不特定多数に情報を共有するってことになるんだけどね」

 それを聞いて、私とずんだ餅さんは顔を見合わせた。

「確かに」
『……まぁ今はとりあえず、三人で様子を見てみよう』

 シュウさんに促され、私達は街を出る。

『……新しく出現したダンジョンはこの先にある。もう、見えているか?』

 シュウさんの言葉に、私達はお互い頷きあった。街を出てすぐにある草原。その場所からでも、そのダンジョンは、よく見えた。今まではなかったもの。

 そのダンジョンは、現実世界で見慣れた形をしていた。

「……確かに、こんな異物は、このゲームには今までありませんでした……」

 ずんだ餅さんがかすれた声で言う。私もシュウさんにしっかり見えるように、上から下まで、ゆっくりと視線を移動させる。

『……こちらも確認した。断言しよう。これは、今までになかったものだ』
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