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ムトウさんを追って
『WFO散策日記』ブログ主
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初めにカンナさんのお店にやってきたのは、一人の男性だった。カンナさんのお店の前で立ち尽くしていたのを、私が見つけた。プレイヤー名を見る。ずんだ餅。この人は、ブログ『WFO散策日記』で『特別スキル』を持っていたという記事を書いていた人だ。
「ずんだ餅さんですか」
私が声をかけると、緊張した面持ちで立っていた男性の頬が少し緩んだ。
「そうです。あなたがサランさんですか」
ずんだ餅って面白いニックネームだよね。好きな食べ物なのかな。
「はい、そうです。立ち話も何ですからどうぞ」
もう一人の人はまだ来てなさそうだし、先に話を始めておこう。そう思って、ずんだ餅さんを店内に招き入れた。
「ほんとこのゲーム、すごいですよね。すっごくリアルだし。おいてある商品、どれも魅力的に見えるし」
「ええ、本当に」
ずんだ餅さんは興味深げに店内の商品を見ながら、私についてくる。私たちは、店の奥のテーブルにそれぞれ腰かけた。カンナさんには、もう一人来客がある予定だと伝えていて、もし来訪があったら、ここに案内してもらうようお願いしてある。
「わざわざご足労頂き、ありがとうございます」
「いえいえ」
ずんだ餅さんは、笑って言ってくれる。
「早速なんですが、なぜ『特別スキル』を持っているかもしれない、ということをブログに書いていらっしゃいましたが、あのあと情報を上げなかったのは、何か理由があったんですか」
私の問いに、ずんだ餅さんは腕組みをする。
「色々な理由があります。まず第一に、『特別スキル』が本当に特別なもので、どこか特定の場所で手に入るものでもないということに気づいたから。誰でも手に入れられるものでない以上、ネット上に情報を残しておくのは気が引けました。しかし、他の『特別スキル』を持った同志を見つけるのには、必要になると思いあえてあの記事は残しておきました」
ずんだ餅さんの言葉を私は頷きながら聞く。そう、『特別スキル』は誰でも手に入れられるものではない。どこか特定の場所でもらえるものでもない。その人その人の能力によって手に入るかどうかが変わるもの。ブログの記事が書かれたのは、ゲーム発売から二日しか経っていないころだった。あの時点では、『特別スキル』がどれくらい特別なものなのかも分からなかった。だから、『特別スキル』を持っていたことを、なんだかレアな武器がガチャで当たった時みたいに喜んでSNSなどで報告した人が多々いたのかもしれない。
「ずんだ餅さんですか」
私が声をかけると、緊張した面持ちで立っていた男性の頬が少し緩んだ。
「そうです。あなたがサランさんですか」
ずんだ餅って面白いニックネームだよね。好きな食べ物なのかな。
「はい、そうです。立ち話も何ですからどうぞ」
もう一人の人はまだ来てなさそうだし、先に話を始めておこう。そう思って、ずんだ餅さんを店内に招き入れた。
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「ええ、本当に」
ずんだ餅さんは興味深げに店内の商品を見ながら、私についてくる。私たちは、店の奥のテーブルにそれぞれ腰かけた。カンナさんには、もう一人来客がある予定だと伝えていて、もし来訪があったら、ここに案内してもらうようお願いしてある。
「わざわざご足労頂き、ありがとうございます」
「いえいえ」
ずんだ餅さんは、笑って言ってくれる。
「早速なんですが、なぜ『特別スキル』を持っているかもしれない、ということをブログに書いていらっしゃいましたが、あのあと情報を上げなかったのは、何か理由があったんですか」
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「色々な理由があります。まず第一に、『特別スキル』が本当に特別なもので、どこか特定の場所で手に入るものでもないということに気づいたから。誰でも手に入れられるものでない以上、ネット上に情報を残しておくのは気が引けました。しかし、他の『特別スキル』を持った同志を見つけるのには、必要になると思いあえてあの記事は残しておきました」
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