126 / 143
第十一章 ベラ、ブラ、パラ
忍者部隊の悲劇
しおりを挟む
ブラの暗殺専門部隊である忍者部隊は、幹道に穴を掘り、地下で待ち伏せをしていた。
自分たちの上をアイシャの馬車が通過するときに、地面の下から襲撃をかけるつもりだ。
もちろん、索敵能力の高いルミからは丸見えだ。
盗賊は土系の魔法を得意としている。忍者部隊にとって、ルミは相性が悪すぎた。
忍者たちは自分の肩を叩いている何者かがいることに気づいた。最初は仲間が自分の肩を叩いているのかと思った。全員が仰向けになって、馬車が通るのを待っている姿勢でいるため、横の仲間が肩を叩いているのかと思ったのだ。
自分の肩の方に視線を向けて、ぎょっとする。小さな土偶が自分の肩を割と大きな手でポンポンと叩いているのだ。土偶の眼は横に長い楕円が2つで、真ん中に一本線が引いてあるだけだが、その目がかっと開いた。
「うわっ」
1人の忍者が思わず声をあげてしまった。何事かと声をあげた忍者をほかの忍者が見て、
「ひえええ。みんなの肩に何かがいるっ」
と叫んだ。全員の肩に土偶が乗っかっていたのだ。
次に土偶たちは忍者たちの肩に次々と腰を下ろした。小さなかわいい声で
「よっこらせっ」
と言っている。
忍者はすぐには動けず、何をするか息をのんで見守っていた。
すると、土偶はお尻を忍者にこすりつけ始めた。それぞれの忍者の肩になにか透明な液がこすりつけられている。それだけやって、土偶は一体、また一体と土の中に消えていった。
何だったんだ、今のは・・・?
全員がそう思った次の瞬間、全員の肩から強烈な異臭が発生する。
臭いなんてもんじゃない。全員がのた打ち回り、泡を吹いて失神してしまった。
ルミの土魔法「土偶の最後っ屁」であった。土中にある物質から悪臭のする化合物を生成し、相手にこすりつけるというまったくもって美しくない技だ。
ルミの魔法は美しくないものが多く、本人は魔法は使えないと言っているが、実はこんな魔法をたくさん持っているのであった。
***
そろそろ護衛の交代の時間だ。アイシャはルミと別れるのが名残惜しかった。
「今日は襲ってきませんでしたね。なんだかにおいませんか、この辺」
アイシャが異臭に気づいて、ルミに話しかけた。
「そうね。ちょっとにおうわね。今日襲撃はなかったけど、油断は禁物よ。昨日、一昨日と完封されちゃったから、作戦を練り直しているのだと思うわ。次はなりふり構わず襲ってくると思うから、明日からは、あなたの一番の仲間になる姫軍団に応援に入ってもらうことにするわ」
「ロザンヌさん、メイリンさん、テレジアさんでしょうか」
「ええ、メイリンは広範囲爆撃魔法ではリンリン軍団のなかでも上位に入るわよ。でも、たくさん殺しちゃうとリンリン様の天器部が大忙しになるから、大量虐殺してから、全員生き返らせるっていう戦法を取るらしいの。そのために、治癒魔法のスペシャリストのロザンヌと組んで、敵を一掃するらしいのよ。楽しみよね」
アイシャは思う。
(楽しみなんだろうか・・・)
「この後はキョウコさんなのでしょうか?」
「そうよ。そうそう、キョウコと話をするときは、エリーゼの話題は出しちゃだめよ。寝るまでずっとエリーゼの話を聞かされるからね」
「それ、先に教えて欲しかったです・・・」
「あっ、そう。あはははは」
そして、ルミが予想した通り、ブラはついに軍隊を投入するのであった。
自分たちの上をアイシャの馬車が通過するときに、地面の下から襲撃をかけるつもりだ。
もちろん、索敵能力の高いルミからは丸見えだ。
盗賊は土系の魔法を得意としている。忍者部隊にとって、ルミは相性が悪すぎた。
忍者たちは自分の肩を叩いている何者かがいることに気づいた。最初は仲間が自分の肩を叩いているのかと思った。全員が仰向けになって、馬車が通るのを待っている姿勢でいるため、横の仲間が肩を叩いているのかと思ったのだ。
自分の肩の方に視線を向けて、ぎょっとする。小さな土偶が自分の肩を割と大きな手でポンポンと叩いているのだ。土偶の眼は横に長い楕円が2つで、真ん中に一本線が引いてあるだけだが、その目がかっと開いた。
「うわっ」
1人の忍者が思わず声をあげてしまった。何事かと声をあげた忍者をほかの忍者が見て、
「ひえええ。みんなの肩に何かがいるっ」
と叫んだ。全員の肩に土偶が乗っかっていたのだ。
次に土偶たちは忍者たちの肩に次々と腰を下ろした。小さなかわいい声で
「よっこらせっ」
と言っている。
忍者はすぐには動けず、何をするか息をのんで見守っていた。
すると、土偶はお尻を忍者にこすりつけ始めた。それぞれの忍者の肩になにか透明な液がこすりつけられている。それだけやって、土偶は一体、また一体と土の中に消えていった。
何だったんだ、今のは・・・?
全員がそう思った次の瞬間、全員の肩から強烈な異臭が発生する。
臭いなんてもんじゃない。全員がのた打ち回り、泡を吹いて失神してしまった。
ルミの土魔法「土偶の最後っ屁」であった。土中にある物質から悪臭のする化合物を生成し、相手にこすりつけるというまったくもって美しくない技だ。
ルミの魔法は美しくないものが多く、本人は魔法は使えないと言っているが、実はこんな魔法をたくさん持っているのであった。
***
そろそろ護衛の交代の時間だ。アイシャはルミと別れるのが名残惜しかった。
「今日は襲ってきませんでしたね。なんだかにおいませんか、この辺」
アイシャが異臭に気づいて、ルミに話しかけた。
「そうね。ちょっとにおうわね。今日襲撃はなかったけど、油断は禁物よ。昨日、一昨日と完封されちゃったから、作戦を練り直しているのだと思うわ。次はなりふり構わず襲ってくると思うから、明日からは、あなたの一番の仲間になる姫軍団に応援に入ってもらうことにするわ」
「ロザンヌさん、メイリンさん、テレジアさんでしょうか」
「ええ、メイリンは広範囲爆撃魔法ではリンリン軍団のなかでも上位に入るわよ。でも、たくさん殺しちゃうとリンリン様の天器部が大忙しになるから、大量虐殺してから、全員生き返らせるっていう戦法を取るらしいの。そのために、治癒魔法のスペシャリストのロザンヌと組んで、敵を一掃するらしいのよ。楽しみよね」
アイシャは思う。
(楽しみなんだろうか・・・)
「この後はキョウコさんなのでしょうか?」
「そうよ。そうそう、キョウコと話をするときは、エリーゼの話題は出しちゃだめよ。寝るまでずっとエリーゼの話を聞かされるからね」
「それ、先に教えて欲しかったです・・・」
「あっ、そう。あはははは」
そして、ルミが予想した通り、ブラはついに軍隊を投入するのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる