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第七章 天界
アバドン戦
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悪魔対悪魔の戦いは精神戦である。依り代の肉体に著しく損傷が生じたとしても、別の依り代へ移動すればいいだけだからだ。
ところが、リリスの固有スキルである「影縫いの邪眼」は依り代を移動中の精神体を固定させ、消滅させる力を持つ。
そのため、リリスのチームは対悪魔戦でも、依り代の破壊を目的として、強力な物理攻撃と魔法攻撃を繰り出す。
戦士のエキドナは物理攻撃力、魔法使いのラミアは魔法攻撃力に極振りしており、若い世代の悪魔ではあるが、攻撃力だけとれば、第一世代の悪魔をもしのぐ。
ただ、この2人だけでは猪突猛進して自滅してしまう。そこで壁役になるのがイザベラだ。悪魔のくせに男神と恋仲のイザベラは、精神耐性値が高く、精神系の攻撃に対する防御力が異常に高い。
アバドンは3人のコンビネーションに手を焼いていた。
精神攻撃を繰り出せば、髪の赤い女(イザベラ)が前面に出て来て、弾いたり、吸収したり、どうやっているのかわからないが、すべて無効化されてしまう。
魔法を放てば、後ろにいるフードの女(ラミア)が強烈な魔法でアバドンの魔法を跳ね返し、そのままアバドンへの攻撃魔法となり、すでにいくつか食らってしまった。
物理攻撃に切り替えると、やたらと動きの早い女(エキドナ)の剣に阻まれる。しかも、尋常でない重い攻撃で、押し込まれ、傷を負わされてしまう。
逆に警戒していたリリスは目を瞑ったまま、何もしていないように見える。だが、アバンドンの攻撃の切り替えに対する3人の反応の速さからすると、リリスが指示を出しているのではないかとアバドンは考えていた。
アバドンの精神攻撃はすべて無効化され、魔法や物理攻撃は攻撃が最大の防御と言わんばかりに対応されてしまうため、リリアたちの守りは異常に固い。だが、精神攻撃がまったくないので、脅威には感じない。
脅威ではないのだが、リリスたちを倒せる道筋が全く見えてこない。物理と魔法などのコンビネーションにもきれいに対応してくる。
こうして、戦いを重ねていくうちに、じりじりと依り代の傷が増えてきた。治癒魔法を唱えて完治させる。しかし、リリスたちは依り代を攻撃するだけだが、俺を魔界に撤退させるのが目的なのか?
確かに魔界にいったん撤退すると、再度人界に顕現するには時間がかかるし、今の依り代で積み上げてきた人界でのコネクションなどがなくなってしまうので、できれば避けたいが、最悪またやり直せばいい。
アバドンは決心した。こんな面倒な消耗戦から一時退却して、いったん魔界に戻る。彼は依り代から離脱した。
ラミアがカッと目を見開いた。依り代からまさに離脱せんとするアバドンの精神体を邪眼が捉える。
アバドンの精神体が空間に固定された。そして、静かに消滅した。
「ふう、こっちは完了ね。フローラたちはどうかしら?」
ところが、リリスの固有スキルである「影縫いの邪眼」は依り代を移動中の精神体を固定させ、消滅させる力を持つ。
そのため、リリスのチームは対悪魔戦でも、依り代の破壊を目的として、強力な物理攻撃と魔法攻撃を繰り出す。
戦士のエキドナは物理攻撃力、魔法使いのラミアは魔法攻撃力に極振りしており、若い世代の悪魔ではあるが、攻撃力だけとれば、第一世代の悪魔をもしのぐ。
ただ、この2人だけでは猪突猛進して自滅してしまう。そこで壁役になるのがイザベラだ。悪魔のくせに男神と恋仲のイザベラは、精神耐性値が高く、精神系の攻撃に対する防御力が異常に高い。
アバドンは3人のコンビネーションに手を焼いていた。
精神攻撃を繰り出せば、髪の赤い女(イザベラ)が前面に出て来て、弾いたり、吸収したり、どうやっているのかわからないが、すべて無効化されてしまう。
魔法を放てば、後ろにいるフードの女(ラミア)が強烈な魔法でアバドンの魔法を跳ね返し、そのままアバドンへの攻撃魔法となり、すでにいくつか食らってしまった。
物理攻撃に切り替えると、やたらと動きの早い女(エキドナ)の剣に阻まれる。しかも、尋常でない重い攻撃で、押し込まれ、傷を負わされてしまう。
逆に警戒していたリリスは目を瞑ったまま、何もしていないように見える。だが、アバンドンの攻撃の切り替えに対する3人の反応の速さからすると、リリスが指示を出しているのではないかとアバドンは考えていた。
アバドンの精神攻撃はすべて無効化され、魔法や物理攻撃は攻撃が最大の防御と言わんばかりに対応されてしまうため、リリアたちの守りは異常に固い。だが、精神攻撃がまったくないので、脅威には感じない。
脅威ではないのだが、リリスたちを倒せる道筋が全く見えてこない。物理と魔法などのコンビネーションにもきれいに対応してくる。
こうして、戦いを重ねていくうちに、じりじりと依り代の傷が増えてきた。治癒魔法を唱えて完治させる。しかし、リリスたちは依り代を攻撃するだけだが、俺を魔界に撤退させるのが目的なのか?
確かに魔界にいったん撤退すると、再度人界に顕現するには時間がかかるし、今の依り代で積み上げてきた人界でのコネクションなどがなくなってしまうので、できれば避けたいが、最悪またやり直せばいい。
アバドンは決心した。こんな面倒な消耗戦から一時退却して、いったん魔界に戻る。彼は依り代から離脱した。
ラミアがカッと目を見開いた。依り代からまさに離脱せんとするアバドンの精神体を邪眼が捉える。
アバドンの精神体が空間に固定された。そして、静かに消滅した。
「ふう、こっちは完了ね。フローラたちはどうかしら?」
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