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第七章 天界

神の使徒チームの結成

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リンダは混乱していた。

かなえは物静かで控えめな女性だ。本好きで、まさに司書になるために生まれてきたかのようだ。

そんなかなえをリンダは妹のように大切にしてきたつもりだ。

リンリン部長はドアを通り過ぎるときに、ちょっとだけリンダの方に笑みをたたえた視線を向けた。その視線がかなえを通り過ぎただけで、かなえがリンリン部長にいきなり追いすがった。

こんなに必死なかなえを見るのはもちろん初めてだ。

最初は何が起きたのかわからなかったが、相手はデウス様が寵愛するNo2の男神だ。今日はうまく条件を引き出すことができたが、たまたま運がよかっただけだ。失礼があってはいけない。

かなえを引き離そうとするのは当然のことだ。ところが、どこにそんな力があるのかと思うぐらい、かなえは必死にリンリン部長にすがっている。今生の別れだといわんばかりの勢いだ。

リンリン部長は背を向けている。表情はわからないが、ご気分を害していないか、非常に心配だ。

リンリン部長がふと立ち止まった。その瞬間、かなえの艶めかしい絶叫が図書館にこだます。平日で人がいなくてよかった。かなえがこんな声を出すなんて。

かなえを見ると、目はとろんとして涙を流し、口はだらしなく開いて、よだれが出ている。

本当にどうしちゃったの? かなえ?

ラクタとフレアが真っ青になっている。リンリン部長が血相を変えて、ちっちゃな体でかなえをかついで、隣の会議室に連れて行ってしまった。

会議室からは何度か妖艶な叫び声が聞こえてきたが、やがて静かになった。

リンリン部長が出てきた。かなえは会議室で気を失っているという。気がついたら、天器部の部長室まで連れて来てほしいと言われた。そして、かなえは今日限りで退職するとも。

噂には聞いていた。数秒で女の子を落とし、人では耐えられない快楽を与える6歳児。

目の前で起きてしまった。私の大切な妹が餌食になってしまった。

***

疲れ切った3人は図書館を出てカフェで一休みすることにした。もちろんラクタさんとフレアさんは、カフェでも騒ぎを起こすんじゃないかと抵抗したのだが、頭巾をかぶって顔を隠すことで了解してもらった。これで優しさが漏れないだろうと。

ところが、カフェのホムンクルスのウェイトレスさんと目が合ってしまい、微笑んだら、ウェイトレスさんが倒れてしまった。

頭巾をかぶっても目があえば、だめなのだ。目は口ほどにものを言う、とはこのことですね、と言ったら、ラクタさんにビンタされた。

いや、上司をビンタする人っていますか?

で、ラクタさんとフレアさんに天器部の仮眠室まで運んでもらい、神の使徒の儀式を済ませた。しおりさんという女性だ。前世で好きだった女性によく似ていて、かわいこちゃんタイプだ。胸は普通だと思う。

ホムンクルスの名前はなんだか和風なものが多いように感じるのは気のせいだろうか。まだ3人なので、断言するのは早いかもしれない。

と思って、前世の日本を知っているラクタさんに話したら、

「たまたまよ」

と言われた。

なんだかまだ怒っているようだが、そもそもこんな体にしたのはこの人のせいなのだ。

「ラクタさん、転生機の仕様ですが、レベルのデフォルトは1のようですよ? どうして9999になるんですか。そのおかげで、不幸気質のホムンクルスとは目が合っただけでこれですよ」

「おっぱい揉まれて手を払ったときにキーをさわっちゃったのよ。何度も言うようだけど、おっぱい揉んだあなたが悪いんだからね」

「そうだ。ラクタさん、ウェイティングリストってなんですか? ひょっとして、1番はラクタさんなんですか?」

「そ、そうよ。私が1番に試して、安全確認しないとダメだと思ったのよ」

「そうですか。なんなら今からでもいいですよ。試しますか?」

「こ、このセクハラ部長が! 部下に試しますかって、言う? 普通」

ラクタさんって、こんなに可愛い人だっけ?

「あと12年もありますが、女神や悪魔にはどうってことない期間なんですかね?」

「私たちは「楽しみにする」っていう気持ちを大事にするのよ。楽しみにしていることがあると、それまでの期間をとても充実してすごせるでしょ。永年を生きる我々の処世術の1つね」

なるほどなあ。俺は前世で旅行が好きだったけど、確かに一番楽しかったのは行くまでだったかも。

「ところで、ホムンクルスの人たちをどうやって人界に連れて行けばいいのでしょうか?」

「トランスで移動すればいいじゃない。リン君もそうやってきたんでしょ?」

「え?」

そうか、幽体離脱だと思い込んでいたが、転移してたのか。実体と零体の区別がまだ慣れていなくてわからないのだ。

ただ、3人を連れて帰るとなると、妻たちが騒ぐことは間違いない。隠れ家を作って、そこで暮らすようにしよう。ホムンクルスはおとなしくて従順だから扱いやすい。あはは、まるで愛人だ。

今のところ、マリ、しのぶ、かえで、しおりの4人か。いったんこれで神の使徒チームを立ち上げるか。
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