初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった

もぐすけ

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第四章 温泉宿

マリとフレア

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ラクタは端末を操作し、首都へと向かう馬車の中のマリの脳波と同期を開始した。

マリの隣にはフローラ、前にはエリーゼが座っている。

「こんにちは、マリちゃん」

(え? 誰?)

「リン君からの推薦でマリちゃんに話に来ました。女神のラクタだよ」

(リン君ってお兄ちゃんのことですか?)

「そうそう、リンリン君ね。私はリン君の担当女神なの」

(そうなんですか!?)

「マリ、どうしたの? 目をぱちぱちして、具合でも悪いの」

フローラがマリの様子が変なので、マリに声をかけた。

「ううん、大丈夫」

「隣のフローラさんには私の声は聞こえていないわよ。マリちゃんも頭のなかで考えたら、お姉さんにはわかるからね。声に出さなくていいからね」

(はい、わかりました)

「うん、おりこうさんね。えっとね、今からお姉さんのお友達を紹介するね。フレア、いいわよ」

「マリちゃーん、こんにちは、フレア姉さんでーすっ」

(フレアさんですか?)

「そうそう。あ、ラクタ先輩、ありがとうございます。もう大丈夫です」

「了解。じゃあ、マリちゃん、また遊びに来るからね。今日はフレアとお話ししてね」

(あ、ラクタさん)

「マリちゃん、大丈夫よ。これからも毎日5分間だけだけど、ラクタ先輩は来てくれるからね。フレアのお姉さんはマリちゃんさえよければ、ずっとお姉さんといっしょよ」

(そうなんですか?)

「そうそう、面白いお姉さんがいると思ってくれればいいよ。これから8年間いっしょに遊ぼう!」

(ふふ、楽しそうですね)

「そうよ。ただ、ちょっとお姉さんのお手伝いをしてもらうこともあるのよ。そのときは、お姉さんに変身してもらうことになるわ。大丈夫?」

(うん、大丈夫です。でも、お母さんに見つかると叱られるかも)

「大丈夫。お母さんには見つからないようにするから。じゃあ、マリちゃん、これからよろしくね。いつでもフレアはマリちゃんといっしょにいるから、何でも聞いてね」

(お姉さんも、女神様なんですか?)

「そうよ、私は火の女神フレアよ」

(じゃあ、何でもわかるんですか?)

「ええ、大抵のことわね」

(では、本当のお母さんを殺したのはだれですか?)

(あら? ちょっとまずい精神を持っているわね。少し居心地が悪いのはこのせいかしらね。明日ラクタ先輩に浄化してもらおう)

「隣のお母さんは本当のお母さんではないの?」

(うん、お母さんの妹なの、私の叔母さん。でも、優しくて綺麗で格好良くて大好きなの)

「お父さんはどうしたの?」

(お父さんも殺された)

「そう。女神の図書館があるので、そこで調べてもらうようにラクタ先輩に明日頼んでみようね」

(ありがとう)

「いいのよ。気になることはちゃんと解決しないとね」

(お兄ちゃんは元気かしら)

「リン君ね。君のお兄ちゃんは有名人よ」

(そうなんですか)

「そうよ。でも、よくラクタ先輩に叱られているわよ。さっきも神罰受けてたわ」

(お兄ちゃんには女の人がいっぱいで、お母さんもお兄ちゃんが好きで、女神様も好きなんですか?)

(これは多感な子ね。このあたりもラクタ先輩にきれいにしてもらわないと)

「女神は人を好きにならないわよ。でも、ちゃんと守るわよ。ラクタ先輩はマリのお兄ちゃんを、私はマリちゃんを守るからね」

(・・・・)

(寝ちゃったか。うーん、容姿もよくて、心もきれいなんだけど、過去のトラウマとブラコンね。早めに掃除してもらおっと。さて、まずは隣のフローラさん、って、この人悪魔じゃない!! あ、前にいる女も悪魔!!ちょっと、ラクタ先輩、聞いてないんですけど。まあ、今すぐどうってことはないか。ちょっと私も精神休めよっと)
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