上 下
51 / 63
■第6章: ニヤ国を守れ!

【 第6話: この国を守るために 】

しおりを挟む

 俺とジョセフ(馬)は、昼だけでなく、夜も走り続け、朝日が昇る頃には、ニヤ国へと到着していた。

「ジョセフ、お前の脚力、やっぱスゲーな! もう、ニヤ国の城が見えてきたぞ!」
「はぁはぁはぁ、だから俺様の脚力を見縊るんじゃねぇって、言っただろ! はぁはぁはぁ……」

『パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ……』

 すると、門番たちが俺たちの姿を見つけると、こう叫んだ。

「おーーい! タロー様が帰ってきたぞーーっ! 門を開けろーーっ!!」

『ギギギギギギ……、バタンッ!!』

 城にいた者たちは、俺たちの帰りを待ちわびていたようだった。
 そして、ダガヤ王やミャー姫、グリフたちも、城から出てくると、俺たちを迎え入れてくれた。

「ヒヒーーンッ!!」

「タロー! お帰りにゃーーっ!!」

 俺が、ジョセフの背中から降りるなり、ミャーは泣きながら、俺に抱き付いてきた。
 ミャーのその抱きしめる力の強さに、待ちわびていたことがすぐに俺に伝わる。

「タロー……、無事で良かったにゃ……。もう、このまま会えなくなると思ったにゃ……。ふうぅぅ……」

 ミャーは、人目をはばからず、俺の胸で泣いていた。
 俺がエイト公に命をそのまま取られてもおかしくない状況に、ミャーは安堵あんどの涙を流していたんだと思う。

 俺は、ミャーの髪に一度キスをすると、グリフにこう尋ねた。

「グリフ、あの作戦は、今どうなってる」
「はい、タロー様。只今、急ピッチで進めております」

「あと、どれくらいかかりそうなんだ」
「あと、3週間くらいといったところだと思います」

「3週間か……。それじゃあ、間に合わない……。グリフ、申し訳ないが、あと2週間でそれを完成させて欲しい」
「2週間ですか……?」

「ああ、2週間だ。クリスマスが終わった頃にヤーシブが攻めてくる。それまでに間に合わせて欲しいんだ」
「そ、それはかなり難しいかと……」

 グリフがそう言うのも、無理も無い。
 皆、交代で休みなく、その作戦を実行している。
 だが、3週間では、ヤーシブが攻め込んできてしまうのだ……。
 俺は、無理を承知で、グリフたちにお願いをした。

「そこを何とか頼む。俺も手伝う。みんな協力して、この作戦を成功させるんだ!」
「タロー様……。分かりました、やりましょう! この国を守るために!!」

 俺は、もう一度ミャーの額にやさしく口づけをすると、すぐにみんなの元へ向かい、この作戦の実行を指揮した。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

処理中です...