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22章 「純愛物語」の大先輩
第81話 私たちの状況整理
しおりを挟む「さて、ここからは今日の本題に入りましょうか」
空になった食器をみんな食洗機に入れるついでに、結花先生が紅茶を煎れてくれて、テーブルの上に彩花ちゃんのお絵かき用の画用紙を持ってきて広げる。
こういういくつものややこしい問題を複合的に抱えているときは文字や図に起こしてみると俯瞰から客観的に見えるからいいんだって。
それならばと、まず最初に私の現状を整理してみることになった。
私の肉親と呼べる保護者がいなくなってしまったこと。
一時的な避難先として、珠実園に入所しているけれど、規定で高校3年生の卒業までの期間しかいられないこと。
学校の方は公立校でもあり、またこのような生徒に関する支援ということで給付型奨学金が使えるから、現状でも残り1年強の高校卒業までの学費は心配しなくてもいいこと。
生活費も身寄りがない未成年ということで、生活保護が出ている。その一部を珠実園の利用費に充てたとしても、以前と変わらないお小遣い程度の金額は残る。そこに図書館の仕事が戻れば手元に残るお金も増える。
「少なくとも、あと1年は最低限の衣食住と学校についてはなんとかなりそうね」
「そうだな。花菜ちゃん自身が通学をやめない限り、高校卒業資格までは問題ない」
陽人先生も現役の生活指導の先生のように冷静にうなずく。なぜそこに力点を置いたのか。お二人が結婚について至った経緯は一度聞いているけれど、もう少しあとで私たちは驚きの事実を知ることになる。
そこまでの前提条件はクリアしたとして、次に私と長谷川先生の関係についてにも話が進んで、私も幼い頃からの経緯を含めて全てを話していく。
もともとはお父さんを亡くしてお母さんがフルタイムの仕事に就くことから、学童代わりでお世話になり始めたことから、次第に兄妹のように変化しつつ過ごしていた関係であること。
大学の関係で一度離れてしまった時に、迎えに来てくれるという約束を二人で結んで、お互いにそれを守っていたこと。
今年の春に偶然にも担任の教師と生徒という関係で再会したということ。
大学で一度距離を取ることを決めたのは、私のためを思ってのことだったこと。
当時の想いは二人とも続いていたし、再会したことによって、更にその意思が強くなったこと。
お母さんは生前から、私たちが望むのであれば結婚について両家とも賛同してくれていると言うこと。
本来なら高校を卒業した後に進めようとしていた話の扱いについて、私の家庭環境の変化で、その進捗が一度宙に浮いてしまっていること。でもこれは仕方ないこと。
進めるにしても生徒と教師という関係、周囲への影響のことも考えればあまり早急に話を進めるわけにいかないということ。
そんなことを結花先生たちに細かく話していく。
結花先生も陽人さんも、そんな難しい問題の洗い出しを、何度も相づちをしながら聞いてくれていた。
「花菜ちゃんがご両親を亡くしてしまったところは横においたとして。細かいところは違っても、大きな括りで言えば、どこかものすごく身近に聞いたことのある話だな……」
「ほんと、なんだか……、とても懐かしいお話を聞いているような気がするわ」
結花先生はメモを書いていた画用紙から顔を上げ、お隣の陽人さんと正面に座る私たちふたりを見回して微笑んだ。
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