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第二十一章 武器が出来るまで
第三百二十一話 明日ですか、そうですか
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マスタングに乗り込み馬車置き場に向かうと、野良猫とベリアがまったりと談笑していた。
「ベリア、話は聞けたのか?」
「バッチリだ。2つの加護を持っていても、基本的には感覚として感じる事は無いって」
「女神様からアプローチがあったら?」
「その時は声が聞こえるし、なんなら姿を見せてくれたりもするって」
ベリアの膝の上で丸まっている野良猫を見ると、当のベリアは困惑気味だった。
「ご飯も美味しいし言葉も通じるし、アンタらは良い奴だニャ」
呑気に欠伸をしている野良猫を見ていると、少しだけ心が和んだ気がする。
「そうだベリア、さっきフラウリアから話があったんだけど…」
先程の話をベリアにも伝えると、ベリアも大きなため息をついた。
イズミは面倒くさいと思ってのため息で、ベリアのは気を落ち着かせるかののようなため息だった。
「加護の話は冒険者ギルドにもしてないけど、あのナイフはバレてるしなぁ」
「そのナイフも、ドワーフ工房の手に渡るな」
「色々と聞かれそうだ」
2人してため息をつくと、馬車置き場にエレノアがやって来た。
「お二人さん、グラテミア叔母様が来て欲しいって」
「分かりました」
イズミは掃除セットをマスタングに収納してから、ベリアと一緒に馬車置き場を出る。
野良猫は近くにあった木箱へ飛び乗ると、そこで丸くなっていた。
「イズミ様。この地の領主を務めている人間、ガーネディアン公爵家から貴方に会いたいとの話がありました」
「ガーネディアン公爵家と言うは初耳ですが、領主が会いたいと言っていた旨は聞いております」
ガーネディアン公爵家は、ハルハンディア共和国内で2番目と言われる実力のある家系との事だった。
他種族や魔族にも他の貴族より遥かに寛容的であり、ヒュミトールがここまで大きな町になったのも、公爵家の力添えがあったからこそだと言う。
「私と話をしたとしても、何も得るものは無いと思うのですが」
「実績は得られます。ラミア族から賓客として扱われている人間と、正式な話をする場を設ける事が出来たと言う、国内の他の貴族達には現状実現が出来ない実績です」
「そうだとしても、あまり旨味が無いような」
「旨味となるかどうかは、相手の出方とイズミ様の対応次第です」
話をしている最中、ふとソフィアとの捜査協力の事を思い出したので、グラテミアに免状を確認してもらう。
「これは少し前に、ソフィアよりある犯罪組織に対する捜査協力として戴いた免状なのですが」
「拝見しますわ…確かにソフィア嬢の直筆ですね。旅の道中にかなり暴れたとは聞いていましたが、少々張り切り過ぎではありませんか?」
「成り行きでこうなりまして。恥ずかしながら私はこの文字が読めなくてですね、ソフィアは貴族との事ですが派閥関係として見ると、ガーネディアン公爵との仲は問題は無いのでしょうか」
「…問題は無いですね。ソフィア嬢のフルネームはご存知無くて?」
「はい。ソフィアも言わなかったので、此方も聞きませんでした」
グラテミアはイズミの目を見てから、ならば私も言わないでおきますとだけ言った。
知らなくて済むならば、知らないままでも良い事があるのだ。
「それで、肝心の予定は」
「明日の午後に決まりました」
「直ぐですね」
「フラウリアを同行させますので、ご安心を。それと、公式な場になりますので武器の持ち込みは出来ません。屋敷に入る際に渡す事になります」
今までみたいに武器を渡すくらいなら帰る、とかは無理なようだ。
「武器は最初から全て持ち込まないのが最善か」
「イズミのは特殊過ぎるからな」
一度ベリアと一緒に持ち物の確認をしていると、フラウリアから提案があった。
「私なら分身を出せば直ぐに武器の回収が出来ますよ」
「それだったら、マスタングの所に分身を出して貰えれば武器の実体化と回収が出来ますね」
名案なので採用させてもらい、次はベリアの魔改造ククリナイフだ。
「アタイのナイフは…多分だけど、持って行かないと文句を言われるな」
「魔法剣だっけか、一度は手に持ってみたいと思う代物だからな。気持ちは分からなくもない」
ベリアのナイフは直接公爵家の屋敷まで持ち込む事にして、取り敢えず今日の午後は明日の準備に費やした。
「ベリア、話は聞けたのか?」
「バッチリだ。2つの加護を持っていても、基本的には感覚として感じる事は無いって」
「女神様からアプローチがあったら?」
「その時は声が聞こえるし、なんなら姿を見せてくれたりもするって」
ベリアの膝の上で丸まっている野良猫を見ると、当のベリアは困惑気味だった。
「ご飯も美味しいし言葉も通じるし、アンタらは良い奴だニャ」
呑気に欠伸をしている野良猫を見ていると、少しだけ心が和んだ気がする。
「そうだベリア、さっきフラウリアから話があったんだけど…」
先程の話をベリアにも伝えると、ベリアも大きなため息をついた。
イズミは面倒くさいと思ってのため息で、ベリアのは気を落ち着かせるかののようなため息だった。
「加護の話は冒険者ギルドにもしてないけど、あのナイフはバレてるしなぁ」
「そのナイフも、ドワーフ工房の手に渡るな」
「色々と聞かれそうだ」
2人してため息をつくと、馬車置き場にエレノアがやって来た。
「お二人さん、グラテミア叔母様が来て欲しいって」
「分かりました」
イズミは掃除セットをマスタングに収納してから、ベリアと一緒に馬車置き場を出る。
野良猫は近くにあった木箱へ飛び乗ると、そこで丸くなっていた。
「イズミ様。この地の領主を務めている人間、ガーネディアン公爵家から貴方に会いたいとの話がありました」
「ガーネディアン公爵家と言うは初耳ですが、領主が会いたいと言っていた旨は聞いております」
ガーネディアン公爵家は、ハルハンディア共和国内で2番目と言われる実力のある家系との事だった。
他種族や魔族にも他の貴族より遥かに寛容的であり、ヒュミトールがここまで大きな町になったのも、公爵家の力添えがあったからこそだと言う。
「私と話をしたとしても、何も得るものは無いと思うのですが」
「実績は得られます。ラミア族から賓客として扱われている人間と、正式な話をする場を設ける事が出来たと言う、国内の他の貴族達には現状実現が出来ない実績です」
「そうだとしても、あまり旨味が無いような」
「旨味となるかどうかは、相手の出方とイズミ様の対応次第です」
話をしている最中、ふとソフィアとの捜査協力の事を思い出したので、グラテミアに免状を確認してもらう。
「これは少し前に、ソフィアよりある犯罪組織に対する捜査協力として戴いた免状なのですが」
「拝見しますわ…確かにソフィア嬢の直筆ですね。旅の道中にかなり暴れたとは聞いていましたが、少々張り切り過ぎではありませんか?」
「成り行きでこうなりまして。恥ずかしながら私はこの文字が読めなくてですね、ソフィアは貴族との事ですが派閥関係として見ると、ガーネディアン公爵との仲は問題は無いのでしょうか」
「…問題は無いですね。ソフィア嬢のフルネームはご存知無くて?」
「はい。ソフィアも言わなかったので、此方も聞きませんでした」
グラテミアはイズミの目を見てから、ならば私も言わないでおきますとだけ言った。
知らなくて済むならば、知らないままでも良い事があるのだ。
「それで、肝心の予定は」
「明日の午後に決まりました」
「直ぐですね」
「フラウリアを同行させますので、ご安心を。それと、公式な場になりますので武器の持ち込みは出来ません。屋敷に入る際に渡す事になります」
今までみたいに武器を渡すくらいなら帰る、とかは無理なようだ。
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