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第十四章 運び屋稼業も楽じゃない
第百八十八話 追跡者なんていなかった
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翌朝。
3人で昨夜の残りを使った朝食を取っていると、マスタングから腕時計の修復が完了したと報告を受けた。
修復された腕時計は、オリジナルパーツを可能な限り流用した為か、文字盤の傷もそのままである。
針は錆と曲がりの修正をして、他の針に干渉せずに動作するように調整がされていた。
ガラスは新品になったのか綺麗である。
ブレスレットもかなり傷が目立つが装着可能にまで直っていた。
「流石はマスタングだ…彫られた文字までは難しかったか。恐らく刻印サービスとかの類か」
裏返すと彫られたと言う文字までは直せていなかったが、上出来過ぎる修復である。
アーリアへの報告は後にして、移動を再開する。
今は仕事を、カーネリアと卵を安全かつ確実に運ばねばならない。
片付けを終えた2人がマスタングに乗ったの確認してから、イズミも乗り込もうとした時マスタングから報告が入った。
「マスター。此方に接近して来る反応があります…10名です」
トランクが開いたので確認をすると、アサルトライフルが入っている。
スコープも装着済みで、サプレッサーも準備されていた。
撃てと云う、マスタングの意思表示でもある。
「冒険者ギルド関係者の可能性は?」
「ありますが、周辺の町へギルド用の通信魔法で周知すれば事が済みます。わざわざ10人で来る必要がありません」
マスタングの認識が正しければ、接近する10人は確かな目的がある事になる。
自分への仕返しか、あるいは…
「イズミ。向こうから変な臭いがする」
「嫌いな臭い…魔族避けの類」
ベリアもカーネリアも遠くからの臭いに嫌悪感を抱いているので、イズミは敵と判断するに至った。
アサルトライフルを取り出しサプレッサーを取り付け、フルロードされたマガジンを差し込み初弾を装填しスコープを覗く。
「スコープは200mでゼロインがされています。それ以上の距離であれば…マスターの射撃練習にはなるでしょう」
「動く標的は難しいんだぞ?」
イズミはカーネリアを車内に残るように指示してから地面に座り、ライフルを安定させる。
「ベリア、奴等に見覚えはあるか?」
「…無い。昼間に全身黒い服を着る知り合いはいない」
「分かった」
早速ライフルを撃った。
5.56mmのライフル弾が馬車目掛けて飛んでゆく。
射撃の反動が過ぎ去り再びスコープを覗くと、狙っていた者…馬車馬の手綱を握っていた者…が腹部の少し上を押さえている。
2発目を撃つと、次はしっかりと胸に着弾し地面へと倒れる。
同時に馬車が停止して、中から数人が降りてきた。
顔もしっかりと隠した男だろう体格の者に照準を合わせ、引き金に指をかける。
しっかりと胸部に命中した。
「銃の精度とスコープの調整に感謝だな」
「マスター、射撃姿勢が硬いです。もう少し筋肉の緊張を解してください」
銃身のブレを指摘され、イズミは深呼吸を入れる。
スコープからは他の追跡者の姿が見えない。
体勢を低くして身を隠したのだ。
1人が頭を上げて様子を伺う素振りを見せたので、見えた頭の少し下を狙って撃った。
今回は至近弾であり、命中しなかった。
しかし相手は遠距離でも精密な攻撃が出来る事を認識したのか、再攻撃を受ける前に馬車へ逃げ込んだ。
イズミは馬車に狙いを定め、人が居そうな所を狙って弾切れになるまで撃ち込んだ。
「マスタング、敵に生存者は?」
「反応消失7名、反応微弱…重傷が3名です」
「トドメをさすか否か」
アサルトライフルを片付けながら馬車へ近付くかを考えたが、相手の素性も分からないので止めておいた。
何かの罠が仕掛けられていたら、非常に厄介である。
戦闘よりも、仕事を優先するのが大切なのだ。
そう自分に言い聞かせ、マスタングに乗り込んだ。
「よし、出発しますか」
イズミは何事も無かったかのように、マスタングのアクセルを踏み込み走り出した。
3人で昨夜の残りを使った朝食を取っていると、マスタングから腕時計の修復が完了したと報告を受けた。
修復された腕時計は、オリジナルパーツを可能な限り流用した為か、文字盤の傷もそのままである。
針は錆と曲がりの修正をして、他の針に干渉せずに動作するように調整がされていた。
ガラスは新品になったのか綺麗である。
ブレスレットもかなり傷が目立つが装着可能にまで直っていた。
「流石はマスタングだ…彫られた文字までは難しかったか。恐らく刻印サービスとかの類か」
裏返すと彫られたと言う文字までは直せていなかったが、上出来過ぎる修復である。
アーリアへの報告は後にして、移動を再開する。
今は仕事を、カーネリアと卵を安全かつ確実に運ばねばならない。
片付けを終えた2人がマスタングに乗ったの確認してから、イズミも乗り込もうとした時マスタングから報告が入った。
「マスター。此方に接近して来る反応があります…10名です」
トランクが開いたので確認をすると、アサルトライフルが入っている。
スコープも装着済みで、サプレッサーも準備されていた。
撃てと云う、マスタングの意思表示でもある。
「冒険者ギルド関係者の可能性は?」
「ありますが、周辺の町へギルド用の通信魔法で周知すれば事が済みます。わざわざ10人で来る必要がありません」
マスタングの認識が正しければ、接近する10人は確かな目的がある事になる。
自分への仕返しか、あるいは…
「イズミ。向こうから変な臭いがする」
「嫌いな臭い…魔族避けの類」
ベリアもカーネリアも遠くからの臭いに嫌悪感を抱いているので、イズミは敵と判断するに至った。
アサルトライフルを取り出しサプレッサーを取り付け、フルロードされたマガジンを差し込み初弾を装填しスコープを覗く。
「スコープは200mでゼロインがされています。それ以上の距離であれば…マスターの射撃練習にはなるでしょう」
「動く標的は難しいんだぞ?」
イズミはカーネリアを車内に残るように指示してから地面に座り、ライフルを安定させる。
「ベリア、奴等に見覚えはあるか?」
「…無い。昼間に全身黒い服を着る知り合いはいない」
「分かった」
早速ライフルを撃った。
5.56mmのライフル弾が馬車目掛けて飛んでゆく。
射撃の反動が過ぎ去り再びスコープを覗くと、狙っていた者…馬車馬の手綱を握っていた者…が腹部の少し上を押さえている。
2発目を撃つと、次はしっかりと胸に着弾し地面へと倒れる。
同時に馬車が停止して、中から数人が降りてきた。
顔もしっかりと隠した男だろう体格の者に照準を合わせ、引き金に指をかける。
しっかりと胸部に命中した。
「銃の精度とスコープの調整に感謝だな」
「マスター、射撃姿勢が硬いです。もう少し筋肉の緊張を解してください」
銃身のブレを指摘され、イズミは深呼吸を入れる。
スコープからは他の追跡者の姿が見えない。
体勢を低くして身を隠したのだ。
1人が頭を上げて様子を伺う素振りを見せたので、見えた頭の少し下を狙って撃った。
今回は至近弾であり、命中しなかった。
しかし相手は遠距離でも精密な攻撃が出来る事を認識したのか、再攻撃を受ける前に馬車へ逃げ込んだ。
イズミは馬車に狙いを定め、人が居そうな所を狙って弾切れになるまで撃ち込んだ。
「マスタング、敵に生存者は?」
「反応消失7名、反応微弱…重傷が3名です」
「トドメをさすか否か」
アサルトライフルを片付けながら馬車へ近付くかを考えたが、相手の素性も分からないので止めておいた。
何かの罠が仕掛けられていたら、非常に厄介である。
戦闘よりも、仕事を優先するのが大切なのだ。
そう自分に言い聞かせ、マスタングに乗り込んだ。
「よし、出発しますか」
イズミは何事も無かったかのように、マスタングのアクセルを踏み込み走り出した。
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