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第十四章 運び屋稼業も楽じゃない
第百八十七話 誰かの思い出だから
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魔王夫妻が帰るの見送り緊張の糸が切れた途端、カーネリアを除く3人が一斉にため息をついた。
「生きた心地がしなかったぞ。なんか魔王のイメージも全然違ったし」
ベリアがホットウイスキーを飲みながら呟いた。
「アーリア、これは友好的な関係を築けたと判断して良いのか?」
「…多分」
イズミとアーリアは半信半疑では会ったものの、被害も無いので良しとした。
ふと左手に付けている腕時計を確認する。
マスタングが実体化させた、使い捨て腕時計の特徴を持ったソレを外し、魔王から受け取ったボロボロの腕時計と見比べる。
「何してるの?」
「アーリア、コレを鑑定してくれるか?」
ボロボロの腕時計をアーリアに渡すと、早速鑑定をしてくれた。
「うーん…レア度SS、装着式の時を計る道具。内部部品等各所の破損により非可動。古い時代に転移して来た者が愛した装備品で特殊効果無し。ドワーフでも修復は不可能だって」
「正真正銘のジャンク品か」
腕時計を返してもらったイズミは、その重量感を味わいつつ立ち上がった。
「マスタング、この腕時計を調べてくれ」
「かしこまりました」
助手席を開けグローブボックスに腕時計を入れると、マスタングがモニターに調査結果を表示した。
「…サイズ34mmのスチールケース、ガラス破損、文字盤に損傷、針は全て外れ部分的に腐食有り。蓄光能力損失、コンプリケーションはデイト表示のみでレンズ部に傷有り。フルーテッドベゼルに無数の傷、防水機能損失、キャリバーは摩耗及び破損、ブレスレット破損。裏蓋に文字が彫られた形跡がありますが、後に削られており読み取り不能です」
「文字通りボロボロだな」
「修復しますか?」
イズミは少し躊躇ったが、修復をする事に決めた。
「そうだな…なるべくオリジナルのパーツを使った修復に留めてくれ。所有者の墓があるのなら、直してから供えるくらいしか出来ないが」
「かしこまりました。修復後に完全体として復元及び複製をして、マスターの腕時計も此方に更新しますか?」
マスタングから魅力的な提案はあったが、現在使っている腕時計の軽量さに慣れてしまった身体では違和感があるような気がした。
「オリジナルのデータを入手したので、修復完了後に複製が可能です。ブレスレットを引き通しのベルトに変更すれば軽量になります。そして、この腕時計の方が精度も防水性能も高いです」
「…検討しておこう」
取り敢えずオリジナルの修復だけを頼み、皆の待つ焚き火へと戻る。
「直すのね」
「あぁ。元の所有者はとっくの昔に故人だが、壊れたままってのは哀しすぎるからな」
アーリアが立ち上がり帰ると言うので、ラムネとクッキーを実体化させて渡した。
迷惑料みたいなものだ。
「修復したら見せてね。どんな物なのか興味があるの」
「以前交換したアレの小型版で、腕に付けるようになっただけだぞ?」
イズミは左手に付けている腕時計を見せ、運用方法を軽く説明した。
「アレだって凄い代物なのよ?それが小型化して腕に装着出来るなら、それはもうオリジナルの複製品でも研究対象になるわ!」
アーリアの目が輝き始めた。
研究者と言うか、探究者としての血が騒ぐようだ。
「分かった。一通りの修復が完了したら、連絡するよ」
「必ず頼むわ」
アーリアが転移魔法で帰った後で、ブレアとカーネリアを含めた3人で、軽く酒を飲んで眠る事にした。
短時間に色々な事が起こり過ぎて、頭が混乱して整理しきれていない。
そんな時は、眠るのが1番である。
「生きた心地がしなかったぞ。なんか魔王のイメージも全然違ったし」
ベリアがホットウイスキーを飲みながら呟いた。
「アーリア、これは友好的な関係を築けたと判断して良いのか?」
「…多分」
イズミとアーリアは半信半疑では会ったものの、被害も無いので良しとした。
ふと左手に付けている腕時計を確認する。
マスタングが実体化させた、使い捨て腕時計の特徴を持ったソレを外し、魔王から受け取ったボロボロの腕時計と見比べる。
「何してるの?」
「アーリア、コレを鑑定してくれるか?」
ボロボロの腕時計をアーリアに渡すと、早速鑑定をしてくれた。
「うーん…レア度SS、装着式の時を計る道具。内部部品等各所の破損により非可動。古い時代に転移して来た者が愛した装備品で特殊効果無し。ドワーフでも修復は不可能だって」
「正真正銘のジャンク品か」
腕時計を返してもらったイズミは、その重量感を味わいつつ立ち上がった。
「マスタング、この腕時計を調べてくれ」
「かしこまりました」
助手席を開けグローブボックスに腕時計を入れると、マスタングがモニターに調査結果を表示した。
「…サイズ34mmのスチールケース、ガラス破損、文字盤に損傷、針は全て外れ部分的に腐食有り。蓄光能力損失、コンプリケーションはデイト表示のみでレンズ部に傷有り。フルーテッドベゼルに無数の傷、防水機能損失、キャリバーは摩耗及び破損、ブレスレット破損。裏蓋に文字が彫られた形跡がありますが、後に削られており読み取り不能です」
「文字通りボロボロだな」
「修復しますか?」
イズミは少し躊躇ったが、修復をする事に決めた。
「そうだな…なるべくオリジナルのパーツを使った修復に留めてくれ。所有者の墓があるのなら、直してから供えるくらいしか出来ないが」
「かしこまりました。修復後に完全体として復元及び複製をして、マスターの腕時計も此方に更新しますか?」
マスタングから魅力的な提案はあったが、現在使っている腕時計の軽量さに慣れてしまった身体では違和感があるような気がした。
「オリジナルのデータを入手したので、修復完了後に複製が可能です。ブレスレットを引き通しのベルトに変更すれば軽量になります。そして、この腕時計の方が精度も防水性能も高いです」
「…検討しておこう」
取り敢えずオリジナルの修復だけを頼み、皆の待つ焚き火へと戻る。
「直すのね」
「あぁ。元の所有者はとっくの昔に故人だが、壊れたままってのは哀しすぎるからな」
アーリアが立ち上がり帰ると言うので、ラムネとクッキーを実体化させて渡した。
迷惑料みたいなものだ。
「修復したら見せてね。どんな物なのか興味があるの」
「以前交換したアレの小型版で、腕に付けるようになっただけだぞ?」
イズミは左手に付けている腕時計を見せ、運用方法を軽く説明した。
「アレだって凄い代物なのよ?それが小型化して腕に装着出来るなら、それはもうオリジナルの複製品でも研究対象になるわ!」
アーリアの目が輝き始めた。
研究者と言うか、探究者としての血が騒ぐようだ。
「分かった。一通りの修復が完了したら、連絡するよ」
「必ず頼むわ」
アーリアが転移魔法で帰った後で、ブレアとカーネリアを含めた3人で、軽く酒を飲んで眠る事にした。
短時間に色々な事が起こり過ぎて、頭が混乱して整理しきれていない。
そんな時は、眠るのが1番である。
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