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クエスト攻略ランクアップ編

54話 蟹鍋パーティー

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「んんー、美味しいです!」

 あむっと、ナコが蟹を頬張る。
 羊を狩ったり、現地で蟹食ったり、僕たちもワイルドになったもんだ。ナコなんてなんの躊躇いもなく一直線に食べている。

 遅ればせながら、僕もナコに続いて蟹を口に――ご、極上すぎる。ミソがまた濃厚な味わいでひと味もふた味もよくなっている。
 緑蟹の真髄を感じた、思わず僕は立ち上がり、

「なんだこりゃぁあっ! マジで美味すぎるっ! 口の中でほどけるような繊細な味わい、ミソがもう反則的で全身の細胞が歓喜に震えているっ! 蟹って食べてる時無言になるっていうけど、失礼ながら叫ばずにはいられない! この甲羅によいしょってお酒を注いだらどうなっちゃうの?!」
「……」
「日本酒入れて飲みたいっ!」
「クーラ、心の声がダダ漏れですよ」
「の、飲みたいってだけね。さすがに場所はわきまえてるから」

 一瞬、ギクリとする。
 このダンジョンに来る前キローヒさんのお店で旅支度を整えていたのだが、魔力薬等の他にキローヒさんオススメのお酒も購入していたりする。
 なんかほら、旅の最中にグビッとするの憧れあるじゃない? オシャレな容器に入れて夜空を見上げながらとかさぁ?!
 この全てを見透かしたようなナコの瞳、アイテムボックスにお酒潜ませていたのバレてるっ?!

 現在、第一層に僕たち以外のギルドは見当たらない。

 緑蟹を狩っている最中、第二層に続く穴を何組かのギルドが降りていったのを見た。サマロたちのギルド"Eisen"含め、第二層~第三層に行っている冒険者が大半のようだ。第一層は貸し切り状態、優雅に食事をしていてもなんら問題はない。
 お米をぽちゃん卵を溶き溶き、僕たちは〆の雑炊を嗜みながら、

「クーラ、第一層より下はどういった感じなんですか?」
「深くなればなるほど敵は手強くなっていくね。そのぶん手に入る素材やアイテムのレア度も比例していくから潜る価値は十分にあると思うよ」

 クエストも完了してお腹も満腹、僕たちは撤退の準備をする。
 せっかくなので、緑蟹の身とミソだけアイテムボックスに詰めていこう。殻は特にいらないため捕食にて掃除をしていく。


 ――《 瞬間バリア×3 》を獲得。


 捕食の効果、バフが入手される。
 試しに使用してみると傘を広げたくらいの結界が現れて数秒で消えた。範囲も小さい上に短時間、耐久度もいかほどなものか? 戦闘で使うのはタイミングも難しそうである。
 捕食に関しては色々と検証しているのだが、人間を食べさせた以上に効果的なバフは今のところ獲得できていなかった。

 むしろ、今回緑蟹の殻でバフが獲得されたことに少し驚いたくらいだ。
 そこらにいるモンスターの死骸、微妙なアイテム、そういった類のものでは全くバフが手に入らなかったからである。普段から食べることができないもの、レア度に応じてバフの入手率や効果もアップしていくのかもしれない。

 加えて、捕食数には限界がある。
 ストック可能なバフは3つまで、それ以上食べさせようとしても――触手は頑なに口を開こうとしなかった。
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