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第4章 ドキドキの休日

休日がフラグの宝庫なのは乙女ゲームの鉄則です その3

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【うっかり、ウォンさんの名前を呼んじゃった! どう切り抜けよう?】

Ⅰ「素直に知っていたと説明する」

Ⅱ「ウォンさんっぽいなーって思ってと笑って誤魔化す」


そんな二択に頭を抱える私が選んだ選択肢は…












Ⅰ「素直に知っていたと説明する」 にしましたー!

ま、さっきはいきなり振られたから
焦ってちょっとパニックになったけど、
この選択の時間(考え中は時間が止まっています)で
何となく考えは纏まった!


ウォンさんはエスターさんや守護者様方とも交流はあるので
その辺りから聞いたと言えば不自然じゃない筈











「エスターさんやアルファ様達から
庭園内のお店について聞いていたんです!
急に呼んでしまって すみません」

シンキングタイム中に考えをまとめたので
ポーカーフェイスを装いながら話すと

「なんや、そーやったんや…
いきなり呼ばれるからドキっとしたわ~」

…焦る内心の私をよそに、
ウォンさんはあっさり納得してくれました
おおぅ…言い訳が若干、苦しい気もしないが、
危うい所だった…

「そうか、お嬢さんは噂の新しい神子様候補の…」

「え?噂になってるんですか!?」

予想外の情報に驚きウォンさんの話を最後まで聞かずに
食い気味で聞き返す

「お、おう…
3人目の神子様候補が現れたって噂になってんで?
まさか自分…自覚ないんか?」

私の食い気味な発言に驚いたのか、
若干引き気味な発言をするウォンさん

「いや、急に来た時点で多少は噂にはなるだろうなっては
思っていましたが、まだ来て一週間も経ってないのに
もう噂になるとは思っていなくて…」

たかだか数日で広まる噂の早さと
この空間が外界と切り離されていて、
(浮いた話もなくゴシップに飢えているような)
いかに世間が狭いのかを実感した瞬間であった


「…ちなみにその噂での私って…
どんな感じで伝わってました?」

流石に悪口が流れるようなミスはしていない筈だが、
自分の知らないところで勝手に創られる
私のイメージはとても気になる…

「んー?そうやなぁ…ザックリいうと、
通常2人しか選ばれん神子様候補に、
遅れて異例の3人目が現れたーっちゅうのと、
その神子候補は違う世界から来たせいか、
ミステリアスな雰囲気で類まれなセンスと
とんでもない能力があるっちゅー話やったかな?」



はい、盛り過ぎー!!!



何それ!?
超恥ずかしい噂たってんじゃん!!!!!

私の何処にそのミステリアスさがあるんだか…
しかも魔法のセンスって言ったって、
元の世界のゲームとかアニメをイメージしてるから
具現化しやすいだけなのに…

急激に羞恥心で一杯になり 
頬に熱が集まって来るのを感じる

「……っ なにやら様々な誤解があるみたいで
恥ずかしいんですけど、根も葉もない噂なんで…
他の人が噂話してたら否定しといて下さい…」

「そうやなぁ、お嬢さんはミステリアスっちゅーよりは、
こう…
ふんわりした雰囲気のお人やさかいなぁ?」

お茶を飲みながらカラカラと明るく笑うウォンさんに
ようやく頬の熱さが引いてきた…

「おそらく、何処かで180度逆になったんですよ…」

迷惑な噂です と否定したが大体の噂の原因は
恐らくシオンかエスターさんだと思うが、
シオンは100%ワザとであるが一応神様だし
エスターさんは誤解しての事だと推測される為
怒るに怒れない…

まぁ、私の今後(生きやすさ)にも繋がるしな…

私が渋々納得しようとしていると
向かいに座ったウォンさんが人当たりの良い笑みで
ニッコリと微笑んでいた

「んーまぁ、実際見て思うたんやけど、
やっぱこっちのお人とは、どこか違って見えるわ…
良ぇ意味で、雰囲気っちゅーかオーラっちゅうか…」

何処とは言えへんけどな!と言われながら
見つめられると思わず照れてしまう

ウォンさん、わざと怪しい商人風を装っているけれど
素はかなり良い男なんだよな…
性格は良いし背は高いし顔立ちは整ってるしセレブだし…
しつこいようだが声は
CV:窓展信光さんだからなぁ…

こんなパーフェクトな人間が何の力も無い、
一般人(でもセレブ)なんだよなぁ…

ベースが乙女ゲームの世界の為、
守護者の方々も顔は整ってるけど、
性格がかなり個性的なんだよね…
ゲームの特性上、性格が被らない様になっている為、
しょうがないとはいえ、あれだけ個性豊かな彼らと
実際に数日、生活を共にしてみて解ったが、
対応に慣れるまで苦労するなと実感した…


ゲームなのに皆が皆、優しかったら面白くないもんね?


そんな訳で、

個性的なメインキャラである守護者の
サブとして創られた協力者の方々は、
エスターさんやウォンさんの様に一様に
全員の性格が割と穏やかで、
言い方は悪いが「まとも」の部類に配される訳で、
中でもこのウォンさんはゲーム開発者の拘りで
パーフェクト人間の設定になっている為、
初期のゲーム(今の神子様の神子候補時代が
最初にゲームになっている)が出た時点で、
ウォンさんとの恋愛攻略不可(フレンドエンド有)と
知ったプレイヤーからの非難・懇願・要望・熱狂etc.により
今回(今現在)のシーズン2の続編から攻略可能になった
かなり人気の高いキャラクターでもある
















ゴホン、つい熱く語ってしまった…


話(時)を戻そう




そんなわけで
そういう完璧なキャラクターにあんな殺し文句言われて
照れない人間はいない!

「~…っ、あんまり(そのイケメンな顔で)見ないで下さい…」

この逃れられない状況に思わず、
手をウォンさんに向けてブロックの姿勢を取る

「いーやん、見るのはタダなんやし」

私の手を掴んで下げようとするウォンさんとの攻防戦を
繰り広げていると

入り口から声がかかった



「おや~?賑やかな話し声がすると思えば、
ウォンと神子ではありませんか」


入り口から現れたのはマナー担当のルディ様だった

ちなみに、CV:瀬木さんね!

ルディ様の来訪に2人の攻防戦が止まる

「おやおや、手なんて取り合って…
もしかして私、お邪魔でした?」

からかうような口調とは真逆の
のんびりとした動作でルディ様が入って来られる

私とウォンさんは今の状況を思い出し
慌ててパッと手を離す   

うう、気まずい

ちょ、そんな事言われると変な空気になるからぁ!!

案の定、どうしようもなく気まずい空気が流れた

「おや、からかい過ぎましたね?
申し訳ありません…冗談です、冗談~」

ルディ様はこの空気が読めないのか
敢えて読まないのか分からない雰囲気で
相変わらずのほほんとしている

私もウォンさんもあはは…と乾いた笑いでルディ様を見た

「所で ルディ様、今日はどんな御用事でっか?」

「あぁ、そうでした そうでした…
実は今日、この招待状を私に来たんです」

そういってウォンさんに綺麗な黄色の色の招待状を渡す

「へ?招待状?」

ウォンさんも心当たりが無いのか
ポカンとした表情で受け取った招待状を眺める

「何々…えー…
神子主催のお茶会への招待状をお届けします…
って、えぇ!?
み、神子様主催のお茶会って…ルディ様、これは…」

「見ての通り、神子様主催でお茶会を開くので、
その案内状ですよ~神子様より直々に
メッセンジャーを頼まれましたので、こうしてお届けしていた所で…」

お二人が一緒で手間が省けました~と
笑いながら、私の手にも招待状を握らせるルディ様

「は!?…ぇ?わ、私もですか!?」

貰った招待状とルディ様を交互に見ながら焦る私をよそに

「今回のお茶会は守護者と神子候補、
そしてそれをサポートする協力者が対象の
小人数なお茶会なので堅苦しい作法は不要ですよ~?
気負わず気軽に参加して下さい~」

と、  
なんとまぁ 私の不安の方向とは180度位違った認識で
ルディ様がフォローしてくださる

「…それ(お偉いさんが一杯なの)が
一番不安なんやけどなぁ」

ウォンさんがルディ様に聞こえない音量で呟く







「……はぁ、どうしよう…」

あまりにも衝撃的な展開だったため、
ウォンさんのお店では何も買えずに帰って来てしまった
まぁ、ウォンさんも御呼ばれの準備(手土産やら服装やら)で
忙しくなってしまったので、買おうにも…ね?

受け取った招待状を手に私室へ戻ると
シオンが出迎えてくれた


「おっかえり~!フラグ回収お疲れ!」


ポップコーン片手に



「いやいやいや、幾ら神でも酷くない!?」

てっきり執事として出迎えてくれるものと思っていたが
ポップコーン片手に
めちゃくちゃリラックスした姿での出迎えで

私は思わず


ドスッ

シオンの腹に右手をねじりこんでしまった


「グフッ……ご、ごめんなさい…調子に乗りました…」

思った以上に綺麗に入ったのか
シオンがその場に蹲る 
 
あ、床に崩れ落ちた…

「まったく…何処が安全ルートよ!」

言われていたルートを通った筈なのに
思ったよりもフラグを回収してしまった事を問いつめるも

「え~?俺は、ユウが言ったように、
神子候補の想い人のフラグ『は』避けさせたよ?」

そう、確かにシオンはメアリーとヴェルリーンの想い人の
フラグは避けてくれていた…
神子候補との対立を避けたいという願いは叶った
   
が、

まさか他のフラグは避けてくれないとは思わなかったのだ

「シオン…謀ったわね?」

指の節をポキポキ鳴らしながら近づくと
シオンが慌てだす

「や、ででででも、ちゃーんと無難に終わったでしょ?」

「そうだねぇ……
でもさ?何に繋がるか分からないから
余計なフラグは要らないって言ってたよねぇ?」

黒い笑みを湛えながら距離を詰める

「ヒッ!、で、っ で、でもっ!
本命をシュテルに決めた訳じゃないなら
このフラグは避けなくてもいいんじゃないかな?」

「此処に来てまだ一週間も経ってないのに、
余計なフラグで心が乱されるのは嫌なの!」

言いながらちょっと詰め寄っただけで
そんなに怯えるとは…
神のくせにビビリだな


「いやいやいや、ビビるよ!普通に怖いから!」
「あら、また勝手に心を読んだわね?そこも約束違反ね?」
「あ…」








リンデン寮に悲しいシオンの悲鳴が響く…
(実際は防音で悲鳴は漏れてはいないが)
こうして迂闊にもボロを出したシオン(神様)であった





てか、フラグは要りません!----!!!









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2020/5/8更新

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