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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言

六十二話

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「へっ!?」


 麗音の口から出た言葉に、心臓が跳ねる。


「俺が昨日結婚とか言ったから、重くてしゅん兄ちゃんは俺のことが嫌いになったのかなって……そう考えたら、俺しゅん兄ちゃんを傷つけて……本当にごめんなさい」

「な……何で麗音が謝るんだよ」


 謝らなきゃいけないのは俺の方なのに。

 何度も麗音の言葉を、思いをはぐらかして。

 本当は気づいていた。

 麗音が俺のことを愛して、俺も同じ気持ちだってことを。

 でも、自分の気持ちを受け入れるのが怖い。

 受け入れたとしても、雄介みたいに裏切られたくない。


「麗音」


 俺は震える声で名前を呼んだ。

 麗音が悲しげな顔で俺を見る。


「結婚についてなんだけど、嫌じゃなかったよ」

「本当に?」

 ああ、麗音にそんな悲しそうな顔をさせたくないのに。

 そんな自分が嫌になる。

 それでも、こんなみじめな所ばかりでも、俺は、麗音を離したくない。

 もう二度と、離れたくない。


「麗音、俺は……」


 言え、俊太郎。

 自分の気持ちに素直になれ。


「ずっとはぐらかしてごめん。俺も、お前が好きだ」
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