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第一章 最強の少年
15 家族
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ギルドから家まで、ルイスは走って帰ってきた。
それなりに距離があるため、体力のあるルイスでも、さすがに息切れしていた。
「はぁ、はぁ……ただいま~」
「お帰り、ルイス」
息切れしているルイスを、暖かい笑顔で出迎えてくれる女性がいる。
ルイスを引き取った夫婦である、ルイスの養母のレカーティアだ。
レカーティアは、茶髪に黒目の容姿で、平民としては珍しく、かなり整った顔立ちをしている。
「父さんは?」
「まだ仕事中よ。もうすぐ帰ってくるわ」
「仕事……かぁ」
ルイスが羨ましいなぁと思いながら呟くと、レカーティアは、はぁとため息をつく。
「その顔は……まーた失敗したのね?」
ルイスの加減知らずを知っているレカーティアは、呆れ顔でそう言ってくる。
ルイスは、俯くだけで何も言わない。
それだけで、レカーティアはなんとなく、事のあらましを察した。
「別に、無理しなくてもいいのよ?まだ完全には回復してないんだし。孤児院への寄付なら、私たちがやっておくし、あなたは力の制御の術だけでも学んでくれればいいの」
「ダ、ダメだよ!僕が恩返ししたいんだから、ちゃんと僕が稼いだお金でやらないといけないの!」
「稼げてないじゃない」
「うっ……!」
レカーティアにたった一言の反論を喰らっただけで、ルイスはふらふらになる。
そのまま、膝から崩れ落ちた。
その様子に、レカーティアは慌てる。
「だ、大丈夫よ!ダグラスが見てくれているのでしょう?いつかできるわよ!」
「そう……かな……」
ルイスは、いつものようにやってみせるとは言えなかった。
レカーティアは、いつものように反発してくるものだと思っていたため、予想外の反応に慌ててしまう。
何か、ギルドであったのだろうか。
ダグラスの話では、ルイスは魔物を倒せないため小馬鹿にされていると聞いているが、ルイスも大して気にしていなさそうだったので、自分も何かしたりはしなかった。
(本当のことを言ってもいいけどーー)
そう脳裏によぎったところで、いやいやと首を振る。
「そ、それよりも、早く着替えて夕飯の支度を手伝ってちょうだい」
「はーい……」
下手に励ますよりは、別のことをさせたほうがいいと判断したレカーティアは、ルイスに手伝いをするように指示する。
ルイスは、自分の部屋へと戻り、外出着から部屋着に着替える。
冒険者として生活しているルイスは、汚れて帰ってくることが多いので、平民としては珍しく、外出着と部屋着を分けていた。
部屋着に着替えたルイスは、部屋から出てレカーティアの元へと向かう。
「母さん。何すればいい?」
「配膳してくれる?そこのやつはできてるから」
「はーい」
ルイスは、レカーティアの指示通り、カウンターに置いてあったお皿を取り、テーブルに並べる。
パンとスープとサラダが家族全員分である三つずつ。そこに、鳥の丸焼きがある。代わり映えなのない献立だ。
これでも、平民にしては豪華なのだが、他の家の料理を見たことがないルイスは知らない。
「お腹空いてたら、食べちゃってもいいわよー」
「ううん、まだ大丈夫」
「そう?なら、母さんと今日のことについてお話しでもしようか」
「今日もダメダメでした!」
ニヤニヤしながら聞いてくるレカーティアに、ルイスは視線をそらして吐き捨てるように言った。
レカーティアは、そんなルイスに苦笑しながらも、言葉を続ける。
「ルイス、今日は間に合ったからいいけど、もう少しで日が暮れるところだったでしょう?」
「う、うん……。ダグラスおじさんに言われて、急いで戻ってきたんだけど……」
「ということは、忘れてたのね?」
レカーティアの目が真剣になる。ルイスは、ごくりと唾を飲み込んだ。
それは、ルイスが冒険者をやる上で、両親と約束したことだ。
日が暮れるまでには家に帰ること
これを守れなかったら、冒険者は止めさせると言われていた。
資金の次に辺境に行けない理由が、この両親との約束である。
いくらここが、都からはそれなりに離れた場所にあるとはいえ、辺境を一日で往復などできない。
「私たちは、確かにあなたに力を加減する技術を身につけて欲しいと言ったし、今でもそう思っているわ。でも、手段は冒険者以外にも色々あるの。あなたを学校に通わせるなり、教師を雇うなりね」
ルイスは、黙ったまま俯く。レカーティアは、さらに言葉を続けた。
「あなたが孤児院を助けたいと言っていたし、冒険者に憧れを持っていたのは知っていたから、私たちも気は進まなかったけど止めなかったの。怪我をしてもね。でも、約束が守れないなら、あなたがどんなに嫌がっても止めさせるしかないわ」
そうレカーティアから告げられたルイスは、俯きながら、静かに、「……ごめんなさい」と呟いた。
今にも泣きそうになっているルイスの肩にレカーティアは手を置いて、笑みを向ける。
「ちゃんと間に合ったのだから、今回は許すわ。でも、次はないわよ。忘れないように、常に意識しておいてね」
「うん、母さーー」
「ただいま~!飯はできてるか~!?」
バンという大きな音共に、狭い部屋にその大声は響く。
レカーティアは、はぁとため息をついて、その大声の主を睨んだ。
「あんた……空気をぶち壊してんじゃないわよ……!」
そんなドスのきいた声に、ルイスの体はびくりと震えた。
決して、レカーティアの感情は、ルイスに向けられているわけではない。それはわかっているのに、ルイスはガタガタと震える。
「な、なんだよ!自分の家に帰ってきただけで何を怒ってるんだよ!」
レカーティアに睨まれたその人物は、負けじと言い返す。
「そう……わからないのね」
そう呟いたレカーティアは、体をびくびくさせているルイスのほうを向いた。
レカーティアと目が合ったその瞬間に、ルイスの体は今まで以上にびくりと震える。
ルイスの目には、涙が浮かび始めていた。
「ごめんね、ルイス。母さんは、これから父さんと大事な話があるから、ご飯は自分の部屋で食べて貰えるかしら?」
終始、笑顔のままそう言ったレカーティアに、ルイスは寒気のようなものを感じる。
ルイスとしても、早くこんな場所から立ち去りたかったので、涙目になりながらも、レカーティアの指示にこくこくと頷く。
(母さんって、氷魔法って使えたかなぁ……)
そんな現実逃避とも取れることを考えながら、ルイスはお皿をトレーに乗せて、そそくさと、でも足音を立てないようにその場を立ち去る。
後ろから助けを求めるような声がしたような気がするが、ルイスは聞こえなかったことにした。
ダグラスに話せと言われたレッドウルフのことも忘れたまま、ルイスは自分の部屋に戻った。
それなりに距離があるため、体力のあるルイスでも、さすがに息切れしていた。
「はぁ、はぁ……ただいま~」
「お帰り、ルイス」
息切れしているルイスを、暖かい笑顔で出迎えてくれる女性がいる。
ルイスを引き取った夫婦である、ルイスの養母のレカーティアだ。
レカーティアは、茶髪に黒目の容姿で、平民としては珍しく、かなり整った顔立ちをしている。
「父さんは?」
「まだ仕事中よ。もうすぐ帰ってくるわ」
「仕事……かぁ」
ルイスが羨ましいなぁと思いながら呟くと、レカーティアは、はぁとため息をつく。
「その顔は……まーた失敗したのね?」
ルイスの加減知らずを知っているレカーティアは、呆れ顔でそう言ってくる。
ルイスは、俯くだけで何も言わない。
それだけで、レカーティアはなんとなく、事のあらましを察した。
「別に、無理しなくてもいいのよ?まだ完全には回復してないんだし。孤児院への寄付なら、私たちがやっておくし、あなたは力の制御の術だけでも学んでくれればいいの」
「ダ、ダメだよ!僕が恩返ししたいんだから、ちゃんと僕が稼いだお金でやらないといけないの!」
「稼げてないじゃない」
「うっ……!」
レカーティアにたった一言の反論を喰らっただけで、ルイスはふらふらになる。
そのまま、膝から崩れ落ちた。
その様子に、レカーティアは慌てる。
「だ、大丈夫よ!ダグラスが見てくれているのでしょう?いつかできるわよ!」
「そう……かな……」
ルイスは、いつものようにやってみせるとは言えなかった。
レカーティアは、いつものように反発してくるものだと思っていたため、予想外の反応に慌ててしまう。
何か、ギルドであったのだろうか。
ダグラスの話では、ルイスは魔物を倒せないため小馬鹿にされていると聞いているが、ルイスも大して気にしていなさそうだったので、自分も何かしたりはしなかった。
(本当のことを言ってもいいけどーー)
そう脳裏によぎったところで、いやいやと首を振る。
「そ、それよりも、早く着替えて夕飯の支度を手伝ってちょうだい」
「はーい……」
下手に励ますよりは、別のことをさせたほうがいいと判断したレカーティアは、ルイスに手伝いをするように指示する。
ルイスは、自分の部屋へと戻り、外出着から部屋着に着替える。
冒険者として生活しているルイスは、汚れて帰ってくることが多いので、平民としては珍しく、外出着と部屋着を分けていた。
部屋着に着替えたルイスは、部屋から出てレカーティアの元へと向かう。
「母さん。何すればいい?」
「配膳してくれる?そこのやつはできてるから」
「はーい」
ルイスは、レカーティアの指示通り、カウンターに置いてあったお皿を取り、テーブルに並べる。
パンとスープとサラダが家族全員分である三つずつ。そこに、鳥の丸焼きがある。代わり映えなのない献立だ。
これでも、平民にしては豪華なのだが、他の家の料理を見たことがないルイスは知らない。
「お腹空いてたら、食べちゃってもいいわよー」
「ううん、まだ大丈夫」
「そう?なら、母さんと今日のことについてお話しでもしようか」
「今日もダメダメでした!」
ニヤニヤしながら聞いてくるレカーティアに、ルイスは視線をそらして吐き捨てるように言った。
レカーティアは、そんなルイスに苦笑しながらも、言葉を続ける。
「ルイス、今日は間に合ったからいいけど、もう少しで日が暮れるところだったでしょう?」
「う、うん……。ダグラスおじさんに言われて、急いで戻ってきたんだけど……」
「ということは、忘れてたのね?」
レカーティアの目が真剣になる。ルイスは、ごくりと唾を飲み込んだ。
それは、ルイスが冒険者をやる上で、両親と約束したことだ。
日が暮れるまでには家に帰ること
これを守れなかったら、冒険者は止めさせると言われていた。
資金の次に辺境に行けない理由が、この両親との約束である。
いくらここが、都からはそれなりに離れた場所にあるとはいえ、辺境を一日で往復などできない。
「私たちは、確かにあなたに力を加減する技術を身につけて欲しいと言ったし、今でもそう思っているわ。でも、手段は冒険者以外にも色々あるの。あなたを学校に通わせるなり、教師を雇うなりね」
ルイスは、黙ったまま俯く。レカーティアは、さらに言葉を続けた。
「あなたが孤児院を助けたいと言っていたし、冒険者に憧れを持っていたのは知っていたから、私たちも気は進まなかったけど止めなかったの。怪我をしてもね。でも、約束が守れないなら、あなたがどんなに嫌がっても止めさせるしかないわ」
そうレカーティアから告げられたルイスは、俯きながら、静かに、「……ごめんなさい」と呟いた。
今にも泣きそうになっているルイスの肩にレカーティアは手を置いて、笑みを向ける。
「ちゃんと間に合ったのだから、今回は許すわ。でも、次はないわよ。忘れないように、常に意識しておいてね」
「うん、母さーー」
「ただいま~!飯はできてるか~!?」
バンという大きな音共に、狭い部屋にその大声は響く。
レカーティアは、はぁとため息をついて、その大声の主を睨んだ。
「あんた……空気をぶち壊してんじゃないわよ……!」
そんなドスのきいた声に、ルイスの体はびくりと震えた。
決して、レカーティアの感情は、ルイスに向けられているわけではない。それはわかっているのに、ルイスはガタガタと震える。
「な、なんだよ!自分の家に帰ってきただけで何を怒ってるんだよ!」
レカーティアに睨まれたその人物は、負けじと言い返す。
「そう……わからないのね」
そう呟いたレカーティアは、体をびくびくさせているルイスのほうを向いた。
レカーティアと目が合ったその瞬間に、ルイスの体は今まで以上にびくりと震える。
ルイスの目には、涙が浮かび始めていた。
「ごめんね、ルイス。母さんは、これから父さんと大事な話があるから、ご飯は自分の部屋で食べて貰えるかしら?」
終始、笑顔のままそう言ったレカーティアに、ルイスは寒気のようなものを感じる。
ルイスとしても、早くこんな場所から立ち去りたかったので、涙目になりながらも、レカーティアの指示にこくこくと頷く。
(母さんって、氷魔法って使えたかなぁ……)
そんな現実逃避とも取れることを考えながら、ルイスはお皿をトレーに乗せて、そそくさと、でも足音を立てないようにその場を立ち去る。
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