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1章「運命の幕開け」
13話 コンテニューなしのニューゲーム!
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「これからのことを話しましょう」
翌朝、私たちは三人で今後のことを話し合うことになった。
私が眠っている一週間の内にリオンが一人で色々調べに動いてくれていたらしい。
「まず、結論から。ノエル……いや、私たちは完全に出し抜かれていた」
テーブルの上にリオンは書類を並べていく。
そこにはクランの成立証書やお父様の遺言、さらには領地の権利書などがずらりと並んでいる。
「フィスたちはノエルが死んだ騒ぎに乗じ、遺書を偽造し、役所からクラン・レーヴェの権利を相続する手続きを行っていたのです」
「わたしたちを騙したってこと?」
「ええ。役所の人間も賄賂を掴まされていたようで……かなり計画的な犯行ですね」
「ノエルはどうして事前に防がなかったんだい」
シスターの声にリオンは無理ですよ、と笑う。
「ノエルの死は突然のこと。まあ、彼らは虎視眈々と計画を練っていたのかもしれませんが……。ノエルは冒険者としての腕はピカイチですが、それ以外はからっきしですからね。いかんせん人を信じすぎる」
「じゃあ……わたしたちは本当にレーヴェから追い出されたって……こと? フィスたちが、お父様が作ったクランを乗っ取った、ってこと?」
「残念ながら……そうなります」
言葉を失った。
前世のわたしもクランを乗っ取られたことはある。だが、それはあくまでもゲーム内での話。
「一文無し……」
だが、これは現実。お父様たちがコツコツと貯めた貯金、装備を彼らが根こそぎ奪ったんだ。
やるせなくて拳を握る。こんな想いをまたもう一度することになるなんて。
「……すまない、リラ。私の責任だ。もっとちゃんと彼らの動向に目を配るべきだった」
「フィスはずっと従順なフリをしてたんだよ。お父様に危機が迫るのをじっと待ってた。だから……リオンのせいじゃない」
涙を堪えながらリオンを見上げると、彼は悲しそうに笑いながらありがとうと頭を撫でてくれた。
「しかし、二人ともこれからどうするつもりだい? クランを追われてしまったということは、帰る場所もないんだろう。暫くここに――」
「街にある私宅に行こうと思います」
笑顔のリオンにわたしとシスターは固まる。
「え……リオンのお家?」
「ええ。実は、私はレーヴェのメンバーではないんですよ」
「で、でも……今までずっと一緒に暮してたよね……?」
衝撃の事実に私は開いた口が塞がらない。
「クランの創設メンバーというだけで、リラが生まれて少ししてから脱退し、裏方に回っています」
「じゃあ……なんで?」
「ノエルは私の親友です。そして、親友の大切な一人娘の成長を私も傍で見ていたかった」
「リオン……」
「それに、ノエルから貴女を託されましたからね」
リオンの笑顔がどことなく怪しい。
すると彼はどん、と大きな袋をテーブルの上に置いた。その衝撃でずしんと軋むくらいの重さ。
「なにこれ……お金?」
「はい。個人で色々仕事をしてコツコツ貯めていた貯金です」
中には信じられない位のお金が入っていた。
これにはシスターも目を見開いている。
「リラ、貴女一人育てていく分にはなんの問題もありません。共に街に行きましょう」
「うん!」
「まあ……リオンと一緒にいるのが一番安全だろう。達者でな、リラ。健やかに育つんだよ」
シスターは優しく抱きしめてくれた。
温かい。お花の優しい匂いがした。
「それじゃあ行きましょうかリラ」
「うん。これからよろしくね、リオン」
二人で馬車に乗り込み街を目指す。
ここから先は未知の世界。わたしのコンテニューなしのニューゲームがはじまっていくんだ!
翌朝、私たちは三人で今後のことを話し合うことになった。
私が眠っている一週間の内にリオンが一人で色々調べに動いてくれていたらしい。
「まず、結論から。ノエル……いや、私たちは完全に出し抜かれていた」
テーブルの上にリオンは書類を並べていく。
そこにはクランの成立証書やお父様の遺言、さらには領地の権利書などがずらりと並んでいる。
「フィスたちはノエルが死んだ騒ぎに乗じ、遺書を偽造し、役所からクラン・レーヴェの権利を相続する手続きを行っていたのです」
「わたしたちを騙したってこと?」
「ええ。役所の人間も賄賂を掴まされていたようで……かなり計画的な犯行ですね」
「ノエルはどうして事前に防がなかったんだい」
シスターの声にリオンは無理ですよ、と笑う。
「ノエルの死は突然のこと。まあ、彼らは虎視眈々と計画を練っていたのかもしれませんが……。ノエルは冒険者としての腕はピカイチですが、それ以外はからっきしですからね。いかんせん人を信じすぎる」
「じゃあ……わたしたちは本当にレーヴェから追い出されたって……こと? フィスたちが、お父様が作ったクランを乗っ取った、ってこと?」
「残念ながら……そうなります」
言葉を失った。
前世のわたしもクランを乗っ取られたことはある。だが、それはあくまでもゲーム内での話。
「一文無し……」
だが、これは現実。お父様たちがコツコツと貯めた貯金、装備を彼らが根こそぎ奪ったんだ。
やるせなくて拳を握る。こんな想いをまたもう一度することになるなんて。
「……すまない、リラ。私の責任だ。もっとちゃんと彼らの動向に目を配るべきだった」
「フィスはずっと従順なフリをしてたんだよ。お父様に危機が迫るのをじっと待ってた。だから……リオンのせいじゃない」
涙を堪えながらリオンを見上げると、彼は悲しそうに笑いながらありがとうと頭を撫でてくれた。
「しかし、二人ともこれからどうするつもりだい? クランを追われてしまったということは、帰る場所もないんだろう。暫くここに――」
「街にある私宅に行こうと思います」
笑顔のリオンにわたしとシスターは固まる。
「え……リオンのお家?」
「ええ。実は、私はレーヴェのメンバーではないんですよ」
「で、でも……今までずっと一緒に暮してたよね……?」
衝撃の事実に私は開いた口が塞がらない。
「クランの創設メンバーというだけで、リラが生まれて少ししてから脱退し、裏方に回っています」
「じゃあ……なんで?」
「ノエルは私の親友です。そして、親友の大切な一人娘の成長を私も傍で見ていたかった」
「リオン……」
「それに、ノエルから貴女を託されましたからね」
リオンの笑顔がどことなく怪しい。
すると彼はどん、と大きな袋をテーブルの上に置いた。その衝撃でずしんと軋むくらいの重さ。
「なにこれ……お金?」
「はい。個人で色々仕事をしてコツコツ貯めていた貯金です」
中には信じられない位のお金が入っていた。
これにはシスターも目を見開いている。
「リラ、貴女一人育てていく分にはなんの問題もありません。共に街に行きましょう」
「うん!」
「まあ……リオンと一緒にいるのが一番安全だろう。達者でな、リラ。健やかに育つんだよ」
シスターは優しく抱きしめてくれた。
温かい。お花の優しい匂いがした。
「それじゃあ行きましょうかリラ」
「うん。これからよろしくね、リオン」
二人で馬車に乗り込み街を目指す。
ここから先は未知の世界。わたしのコンテニューなしのニューゲームがはじまっていくんだ!
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