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【241.5話】 リリアとメリル、ハーティとキューと ※中編※
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ハーティ(失恋のハーティ)
本名:マリー・デ・ルソル(ハーティ・ザ・ハートブレイカー)
キューピットを召喚できる召喚士。
“パッション”と題される古の本のページの間からキューを召喚できる。
金髪カーリーヘアー、自称20歳の女性。
村出身のシャーマンの末裔。能力を失ってから数代経って、マリーは覚醒遺伝的に若干の能力を授かった。
少しでも才能が伸ばせればとルーダ・コートの街で王立学校に志願したが、才能が足らず失格。
街に出て初恋したのをきっかけに独力でキューピットの召喚だけできるようになった。
召喚アイテムの所持が自由になるのでヘアサロンで働きながら形だけ冒険者ギルドに登録している。
街に来て三年かかってキューピットの召喚を獲得しながら、思い焦がれた相手にいきなりド失敗したことから失恋のハーティと呼ばれている。
この街にはドロシー・ザ・ハートショットと呼ばれるキューピット召喚士もいるが、恋の成就率を数字化するとどちらもさほど変わらない。
キュー(ハーティが召喚する男の子のキューピッド)
キューピッドは個人名を持ち合わせない妖精種なので、ハーティがキューと名付けている。
ご存じの通り男性召喚士には女の子、女性召喚士には男の子のキューピッドが召喚される例に漏れず男の子のキューピッド。
背中に白い羽があるが、ホバー中でも羽ばたかない。
依頼人の想いを矢にして射ることもあれば、かって気まぐれに射て突然の恋を訪れさせることもある。
メリルのハートショット作戦
・メリルがランディのギルド寮に出向き、鎧装備を着ていないランディをカフェに呼び出す
・リリアが商業ビルの予め決められた場所からカフェにいるランディを射る
概略
「もう、猶予がないの、早くしないとソフィーナにとられちゃう」
リリアはメリルに急き立てられながらその日のうちに現場を確認させられた。
「あんまり慌ただしくされると成功するものも上手くいかないよ」とリリアは言うが、メリルは不安なのか、自分の思い付きに酔っているのか、あるいはその両方なのか、リリアをけしかける。
「こんな場所から屋上に上がれるんだね… これって不法侵入じゃないかなぁ… あたし、勇者なんだよね、国民の模範に…」リリアが強引さにぶつぶつ言っている。
「勇者なんでしょ、細かい事気にしないで、豪快にいきなさいよ!ランディをソフィーナの謀略の手から、私の人生を救う事は国民のために働く事になるでしょ、ちゃんと働いてよ、勇者!」メリルは焦り気味。
「何だよ…生意気だよね、本来は高額請求したいけど… 違法に加担して商売したと咎められた嫌だから無料サービスしてあげるんだけど… 生意気言ってるとメリルの矢を郊外でトロールにでも射てくるよ」リリア。
「わ、わかった、ごめん、謝る!お願い!恩に着るから!ね!リリア!」メリルは必死なようだ。
「まぁ、場所はここで良いとして… なんでこんな都合の良い場所知ってるの?立ち入り禁止だよここ…おかしくない?… まぁ、それも置いておいて… 弓と矢が自前じゃないなら練習が必要だよ。練習無しじゃ当たらない… 体のどこかには当たるだろうけど、心臓ピンポイントなら練習しないといけないけど…」リリアが言う。
「少々お待ちを… …はい、女神から弓をお借りしてきました。女神は偉大なり」キュー。
「あっさり借りられるのね… 確かに女神様って偉大な心の持ち主かもね…」
キューは一度消えると、少しして再び姿を現した。手には大人用の弓を持っている。
「へぇ… 確かに… 神々しくて… 見るからに豪華で立派ねぇ… だけど、やたら軽い、というか…ほぼ重さを感じないわね… 逆に変な感覚… 結構練習が必用だよ」
リリアが弓を手にして言う。
素材は木のようだが、良くわからない。純白に染め上げられていて、金銀と宝石で装飾されている。弦の感触も独特だが、ギュっとひくと弓のしなりも弦の張りも心地よい。
「… ふーん… なるほどね… で、矢は?練習用の矢が必用でしょ」リリアが手を出す。
「少々お待ちを…」
キューはそういうとケツの穴を見せびらかしながら屋上から通りに下りていく。
リリア達が見ていると、人込みを飛び回って戻ってきた。
手には矢が10本近くある。
「キューピットの矢を作ってまいりました。練習用です」キューが矢をリリアに渡す。
「… 矢も軽いのね… リリアが使う道具と重量が違い過ぎて、結構練習しないと… ってか、あなた今、その辺の人から集めて回ってなかった?ダメでしょ、人の心を弄んじゃ」リリアが注意する。
キューは明らかに人の想いから矢を作ってきた、これで練習していいわけないだろ!!
「ほんの気持ちです。問題はありません。そもそも、恋とは情熱、インスピレーション、始まりと終わり、突然の訪れ、混乱、葛藤…」
「…ドラマチックに語っているけど、思いっきり適当だよね。 ハーティ、これでいいわけ?いつもこんな感じなの?」
言ってる事やばいだろ、リリアがハーティを見る。
ハーティは鼻歌交じりに通りを眺めている。全然意に介していないようだ。
大丈夫というので練習開始。
“ギュ”と弓を絞る。
あまりに重みが感じられず、狙う感覚が変だが絞り切った感触はなかなかしっくりとくる。
「弓から放たれた矢は空中を進むうちに大気に触れ、摩擦でエネルギーが増幅されます。体の一部に当たれば、矢を作った主の想いが体に流れ込みます。LOVE注入です」キューが耳元で説明する。
LOVE注入のところで指でハートマークを作っている。
「… あの… ちょっと黙っててくれない?」リリア。
「これは失礼いたしました。最後にちょっとだけ補足ですが、矢は体のどこでも効果はありますが、はやり絶対的に効果を発揮するのは心臓にLOVE注入です。胸ならそこそこ効果は上がります。手足はあまり意味がありません。ヘッドショットも効果ありそうですが、理屈っぽい人には効果が期待できない場合がございます」
「……」リリア。
「目は狙い目になります。恋は盲目と申しまして、両目を同時に射れるなら熱狂モードに突入いたします」
「……」リリア。
「即効性はあるが気を付けなればいけないのは… …股間です」
「わっ!突然変なこと言うから! ちょうどあの人の股間に刺さったじゃない! ちょっともう、黙っててよ!」
リリアが狙いをつける耳元でキューがおかしな説明をするから思わず射出してしまった。矢はカフェにいた女性の股間へ。
「すみません、ちょっと股間とストレートに言うのが恥ずかしくって…」
キューが言い訳している。結局ストレートに言いやがっている。
そして、自分は股間丸出し。
見ると股間に矢が当たった女性は見るからに発情期を迎えた猫のようになっている。
女性は矢の主の男性に飛びつくように逆ナンしだして、男性と一緒にいた女性と痴話げんかが始まった。股間効果絶大!
「効果ない程度って言ってたけど、明らかに行動に出てるよ…」リリア。
「人と場所により効果はそれぞれ… 僕の腕が良いのでしょう… 股間は即効性にすぐれますが、廃れも早いですよ」キュー。
見ていると股間女性は彼女とビンタ合戦、ついでに男性も彼女にビンタされている。
全員が気の毒…
「リリア、ランディの股間でもいいわよ。私のテクで虜にしちゃうのよ」メリルは目を輝かせている。
「あの… やっぱりこれで練習はまずいでしょ… だいたい、わかったし… 正直…どうでもよ… まぁ、とにかく本番でなんとかするから矢を返してきなさいよ」
さすがのリリアでもこれで練習したら街中が大混乱になるのは予想できる。
勇者としてホームタウンの風紀を乱れさせてはいけない。
「はぁ… 恋愛とはもともと事故であり、欲情であり、渇望であり…」
キューはぶつくさ言いながら通りに下りていく。
やってることが無茶苦茶だ!人間界の常識をぶっちぎっている。ってか悪乗りレベル!
飛び上がると後ろ姿の股間からいちいち金玉とケツの穴が見える。
「おまえ、羞恥心ゼロかよ!!そもそも何が“股間と言うのが恥ずかしい”だ。おまえはとりあえず自分の股間をどうにかしろ!!」
つっこみを入れたいが、人間の常識は妖精にあてはめられない。
公然わいせつ罪も適用されない。
とりあえずリリアは煮え切らないが、下見を終えた。
本名:マリー・デ・ルソル(ハーティ・ザ・ハートブレイカー)
キューピットを召喚できる召喚士。
“パッション”と題される古の本のページの間からキューを召喚できる。
金髪カーリーヘアー、自称20歳の女性。
村出身のシャーマンの末裔。能力を失ってから数代経って、マリーは覚醒遺伝的に若干の能力を授かった。
少しでも才能が伸ばせればとルーダ・コートの街で王立学校に志願したが、才能が足らず失格。
街に出て初恋したのをきっかけに独力でキューピットの召喚だけできるようになった。
召喚アイテムの所持が自由になるのでヘアサロンで働きながら形だけ冒険者ギルドに登録している。
街に来て三年かかってキューピットの召喚を獲得しながら、思い焦がれた相手にいきなりド失敗したことから失恋のハーティと呼ばれている。
この街にはドロシー・ザ・ハートショットと呼ばれるキューピット召喚士もいるが、恋の成就率を数字化するとどちらもさほど変わらない。
キュー(ハーティが召喚する男の子のキューピッド)
キューピッドは個人名を持ち合わせない妖精種なので、ハーティがキューと名付けている。
ご存じの通り男性召喚士には女の子、女性召喚士には男の子のキューピッドが召喚される例に漏れず男の子のキューピッド。
背中に白い羽があるが、ホバー中でも羽ばたかない。
依頼人の想いを矢にして射ることもあれば、かって気まぐれに射て突然の恋を訪れさせることもある。
メリルのハートショット作戦
・メリルがランディのギルド寮に出向き、鎧装備を着ていないランディをカフェに呼び出す
・リリアが商業ビルの予め決められた場所からカフェにいるランディを射る
概略
「もう、猶予がないの、早くしないとソフィーナにとられちゃう」
リリアはメリルに急き立てられながらその日のうちに現場を確認させられた。
「あんまり慌ただしくされると成功するものも上手くいかないよ」とリリアは言うが、メリルは不安なのか、自分の思い付きに酔っているのか、あるいはその両方なのか、リリアをけしかける。
「こんな場所から屋上に上がれるんだね… これって不法侵入じゃないかなぁ… あたし、勇者なんだよね、国民の模範に…」リリアが強引さにぶつぶつ言っている。
「勇者なんでしょ、細かい事気にしないで、豪快にいきなさいよ!ランディをソフィーナの謀略の手から、私の人生を救う事は国民のために働く事になるでしょ、ちゃんと働いてよ、勇者!」メリルは焦り気味。
「何だよ…生意気だよね、本来は高額請求したいけど… 違法に加担して商売したと咎められた嫌だから無料サービスしてあげるんだけど… 生意気言ってるとメリルの矢を郊外でトロールにでも射てくるよ」リリア。
「わ、わかった、ごめん、謝る!お願い!恩に着るから!ね!リリア!」メリルは必死なようだ。
「まぁ、場所はここで良いとして… なんでこんな都合の良い場所知ってるの?立ち入り禁止だよここ…おかしくない?… まぁ、それも置いておいて… 弓と矢が自前じゃないなら練習が必要だよ。練習無しじゃ当たらない… 体のどこかには当たるだろうけど、心臓ピンポイントなら練習しないといけないけど…」リリアが言う。
「少々お待ちを… …はい、女神から弓をお借りしてきました。女神は偉大なり」キュー。
「あっさり借りられるのね… 確かに女神様って偉大な心の持ち主かもね…」
キューは一度消えると、少しして再び姿を現した。手には大人用の弓を持っている。
「へぇ… 確かに… 神々しくて… 見るからに豪華で立派ねぇ… だけど、やたら軽い、というか…ほぼ重さを感じないわね… 逆に変な感覚… 結構練習が必用だよ」
リリアが弓を手にして言う。
素材は木のようだが、良くわからない。純白に染め上げられていて、金銀と宝石で装飾されている。弦の感触も独特だが、ギュっとひくと弓のしなりも弦の張りも心地よい。
「… ふーん… なるほどね… で、矢は?練習用の矢が必用でしょ」リリアが手を出す。
「少々お待ちを…」
キューはそういうとケツの穴を見せびらかしながら屋上から通りに下りていく。
リリア達が見ていると、人込みを飛び回って戻ってきた。
手には矢が10本近くある。
「キューピットの矢を作ってまいりました。練習用です」キューが矢をリリアに渡す。
「… 矢も軽いのね… リリアが使う道具と重量が違い過ぎて、結構練習しないと… ってか、あなた今、その辺の人から集めて回ってなかった?ダメでしょ、人の心を弄んじゃ」リリアが注意する。
キューは明らかに人の想いから矢を作ってきた、これで練習していいわけないだろ!!
「ほんの気持ちです。問題はありません。そもそも、恋とは情熱、インスピレーション、始まりと終わり、突然の訪れ、混乱、葛藤…」
「…ドラマチックに語っているけど、思いっきり適当だよね。 ハーティ、これでいいわけ?いつもこんな感じなの?」
言ってる事やばいだろ、リリアがハーティを見る。
ハーティは鼻歌交じりに通りを眺めている。全然意に介していないようだ。
大丈夫というので練習開始。
“ギュ”と弓を絞る。
あまりに重みが感じられず、狙う感覚が変だが絞り切った感触はなかなかしっくりとくる。
「弓から放たれた矢は空中を進むうちに大気に触れ、摩擦でエネルギーが増幅されます。体の一部に当たれば、矢を作った主の想いが体に流れ込みます。LOVE注入です」キューが耳元で説明する。
LOVE注入のところで指でハートマークを作っている。
「… あの… ちょっと黙っててくれない?」リリア。
「これは失礼いたしました。最後にちょっとだけ補足ですが、矢は体のどこでも効果はありますが、はやり絶対的に効果を発揮するのは心臓にLOVE注入です。胸ならそこそこ効果は上がります。手足はあまり意味がありません。ヘッドショットも効果ありそうですが、理屈っぽい人には効果が期待できない場合がございます」
「……」リリア。
「目は狙い目になります。恋は盲目と申しまして、両目を同時に射れるなら熱狂モードに突入いたします」
「……」リリア。
「即効性はあるが気を付けなればいけないのは… …股間です」
「わっ!突然変なこと言うから! ちょうどあの人の股間に刺さったじゃない! ちょっともう、黙っててよ!」
リリアが狙いをつける耳元でキューがおかしな説明をするから思わず射出してしまった。矢はカフェにいた女性の股間へ。
「すみません、ちょっと股間とストレートに言うのが恥ずかしくって…」
キューが言い訳している。結局ストレートに言いやがっている。
そして、自分は股間丸出し。
見ると股間に矢が当たった女性は見るからに発情期を迎えた猫のようになっている。
女性は矢の主の男性に飛びつくように逆ナンしだして、男性と一緒にいた女性と痴話げんかが始まった。股間効果絶大!
「効果ない程度って言ってたけど、明らかに行動に出てるよ…」リリア。
「人と場所により効果はそれぞれ… 僕の腕が良いのでしょう… 股間は即効性にすぐれますが、廃れも早いですよ」キュー。
見ていると股間女性は彼女とビンタ合戦、ついでに男性も彼女にビンタされている。
全員が気の毒…
「リリア、ランディの股間でもいいわよ。私のテクで虜にしちゃうのよ」メリルは目を輝かせている。
「あの… やっぱりこれで練習はまずいでしょ… だいたい、わかったし… 正直…どうでもよ… まぁ、とにかく本番でなんとかするから矢を返してきなさいよ」
さすがのリリアでもこれで練習したら街中が大混乱になるのは予想できる。
勇者としてホームタウンの風紀を乱れさせてはいけない。
「はぁ… 恋愛とはもともと事故であり、欲情であり、渇望であり…」
キューはぶつくさ言いながら通りに下りていく。
やってることが無茶苦茶だ!人間界の常識をぶっちぎっている。ってか悪乗りレベル!
飛び上がると後ろ姿の股間からいちいち金玉とケツの穴が見える。
「おまえ、羞恥心ゼロかよ!!そもそも何が“股間と言うのが恥ずかしい”だ。おまえはとりあえず自分の股間をどうにかしろ!!」
つっこみを入れたいが、人間の常識は妖精にあてはめられない。
公然わいせつ罪も適用されない。
とりあえずリリアは煮え切らないが、下見を終えた。
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