勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【241話】 おかしな決定

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「え~!! それでリリアは戦場に行くの!」
バー・ルーダの風にいたその場全員声をあげた。


査問が終わるとリリアは解放された。
査問会が終わるとリリアは誓約の呪縛を解かれ首輪を外された。
「あぁ、解呪してしまうのですね。何だか特殊能力獲得していたみたいだから、しばらく狐耳のままでも良いですけど」リリアは王宮術師に言ってみた。
「貴殿にかけた誓約の魔法は査問会期間までじゃ。ここで付与された呪文はここを出る時に解除される決まりじゃ」立派な杖の術師に言われて呪縛から解放された。
その後は「もう用事は済んだのでお帰りください」的に、いきなりザル警護となり、リリアが足早に王宮を出ようとしていると、ディルに目ざとく発見され、勇者管理室でたっぷり室長のお説教をいただき、まるで追い出されるかのようい城から出された。

リリアはその夜、ディルとピエンと夕食をとったが、ディルがリリアの素行を注意し、リリアが反論し、ディルが淡々と切り返し、リリアが大噴火し、ピエンが焦るというお決まりのコースだった。

リリアは次の日、手短に内容を記してギルドに手紙を出すと、ルーダリア城下街まできたついでに、パウロ・コートの街までオフェリアに会いに行った。

今日、手紙で指定した通りに帰ギルドしたリリア。
コトロ、ネーコ、ラビはもちろん、ペコとアリスに迎えられ、査問の様子を説明した。


「西のエバーフィールドに派兵されるのですか?」
「リリたん、やばいニャン、ガチの戦場ニャン」
「だめピョン、断るピョン、行かない方が良いピョン」
「リリア、辞表を書こう、書き方なら教える、勇者辞めて一緒に仕事しよう」
「そう言われても… あたしも反論したけど、髭共は部屋から退出しちゃうし、勇者の扱いが不当だって騒いでいたら衛兵につまみだされそうになって… もう決定だし、断れないみたいだよ。それに勝手に取りやめたら敵前逃亡扱いらしいよ」リリアが言う。
一同顔を見合わせる。
「エバーフィールドって西方の激戦区じゃん」
「ルーダリアが戦線を押し進めて、今は少し落ち着きましたが、一時期は緑の墓地と揶揄されていましたよ」
「とにかくやばいニャン、断れないなら逃げるニャン」
「一度勇者も冒険者も辞めて、村に帰るピョン」
「あたし、こう見えてもいちよう勇者だし… まぁ、ランカシム砦の時みたいに、パッと終わるかも知れないよ。傭兵で国の戦争に参加するとギルドの点数もあがるって言ってたじゃない、これで来年までギルドは安泰だよ」リリア。
「リリアがここに来た当初勝手に傭兵登録したのは反省しています。今となっては軽率だったと思っていますよ。ただ、ランカシムの留守番兵の時と今回は明らかに危険が違います。何もリリアがそこまでする必要はないです」
「そうだよ、王国だって明らかにリリアが勇者かどうかなんて気にもかけてないじゃん、絶対にやめるべきよ」
「リリたん、対人戦嫌いニャン、向かないニャン」
「そうピョン、戦争なんて人と戦うピョン、リリたんには無理ピョン」
「とにかく、辞表を出そう、勇者は辞めよう。誰か他の人がやれるよ勇者なんて」
「… パウロ・コートの帰りにルーダリア城に一度寄ったんだよね。全然だれもリリアの話しなんて聞いてくれなくて、でもちょうどローゼンさんが凱旋中だったらしくって、ローゼンさんが管理室まで来てくれね、約束通り下士官学校も卒業しているし、ローゼンさんの部隊に編入してくれるって言うの。治安維持部隊だから最前線に出る事は無いって、後方で下士官狙撃手をしたらいいよって…」
「はぁ?何バカな事を言ってるの?そんなんで騙されちゃだめだよ、激戦区だよ!戦死者も行方不明も半端な数じゃないよ」
「ハシェックさんも西方の戦線で… リリア、わかるでしょう、そこまで義理は無いです」
「… ローゼンさんには弓を貰ってるし… それにね、勇者とか関係なく行かされるみたいだし… 父さんも傭兵していた時期があったって言っていたし、まぁ、来年こそはペコより上のスコア出したいし、とにかく行ってくるよ」
リリアは言うと、自室に上がっていった。


一同顔を見合わせる…
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