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【155話】 刺客のリリア
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リリア達はメガキャットの馬車でドラキュラ屋敷に向かう。
レンタホースは村の厩にお預け。用事がある場合、荒野で馬をどこかに繋いでおけない。たいてい何かに食べられてしまう。ゴブリン達が持ち去ってしまう。
「ドラキュラ城なら馬車ですぐですよ。日帰りできるから午後から出ます」
メガキャットは言うのでお昼を食べて村を出発。
因みにディルは「昨日のガーリックスープがあたった… お腹痛いからお休みします」と欠席。当然ディルの護衛も一緒に欠席。
「どうせ戦ってくれないんだから好きしたらいいわよ」リリア。
メガキャットの馬車は草原を進み森に入る。雑貨と食料を積んでいる。
湖を反時計回りに進む道の分岐路に来た。
あまり使われない道なので道が荒れている。やがて湖が左手に見えてきて湖畔に佇む立派な屋敷が木々の間から見えてくるだろう。
「お嬢さんは国の勇者様?勇者様は聖騎士ですか?」メガキャットがのん気におしゃべりする。
「うん… そう…」リリアは緊張しているらしく口数少なく頷くのみ。
「伯爵公ですか?実際にお目にかかったことはございませんなぁ。メイドか執事かが対応しますし… 危険ですか?危険を感じたことは無いですよ。往復に出会う魔物や盗賊の方がよっぽど危険です。村に伯爵公のメイドが買い物に来ましてね、配達を引き受けたのがきっかけで、商売になるならと定期的に通い始めたんですよ。 さぁ…もう十年近く通ってますかねぇ… 特に危ない思いをしたことも無いし、色々な噂は聞きますがね… まぁ、噂のおかげで独占商売させてもらってますよ、あっはっは」メガキャットは全然気にしていないようだ。
「あたしもお腹痛くなりそうよ」
リリアは不安がっていて話さないのでブラックがメガキャットと話をしている。
「ここが一番良く見えますよ」
メガキャットが指を差す。立派な建物が湖畔に立ち森に囲まれている。
「ニンニクいっぱい食べたし、大丈夫だいじょうぶ」リリアは眺めながら呟く。
「やはりニンニクでしたか… どうりで…」メガキャットも呟く。
「え?着いちゃったの?伯爵の屋敷の門なの?」リリアは少し驚きの声を上げた。
「はい、ここです」メガキャットが馬車を下りる。
メガキャットの馬車は門の前で停車した。
まぁ、門だが門と言えるかどうか…
先ほどの地点から馬車は進み木々で再び屋敷は見えなくなった。しばらくガタガタと小道を進んでいると木々がこじんまりとしてきて石の門が道のわきに見えてきた。
石造りで装飾が施されて門としては立派だ。が、門の部分だけが林と道の間に立っている感じで壁や柵が無いのだ。門としての機能はしていない門。
“なんだこの門、意味あるのかな?”とリリアが眺めていたら馬車が停まりここがドラキュラ伯爵の屋敷の門だと言うのだ。リリアはちょっと驚く。
「とりあえず誰か呼ぼう」
リリア達は馬車から降車するとメガキャットが事も無げに門にあるベルを鳴らした。
「カランカラン」心地よいベルの音。
「ぅおっと!」リリアはびっくり。
ベルを鳴らすと門の上に飾られていた石造のガーゴイルが林の奥へと飛び去って行った。
「さっきのあれが誰かを呼びに行くんでっさ。ちょっと商売の準備をします」
メガキャットにとってはいつもの事のようだ。
リリアは門とそれに続く林をしげしげと眺める。
門は綺麗に手入れされていて”Doracula”と表札が出ている。門から小道が林を通っているがよく見ると木々が手入れされているようだ。
「… ねぇ、到着しちゃったよ…」リリアがポツリと呟く。
「はい、ここみたいですっすね」ブラックも表札を見ながら呟く。
「… 俺、なんか… もっと違う感じを想像していたけどな…」ダカットも呟く。
「… うん、もっと枯れ木が手を広げる様に立っていて、顔見たいのついていて… 蛇やらクモやらいて、毒キノコがいっぱいで、空とか紫色な感じで、ミイラやアンデッド、スケルトンがわさわさ、顔色悪い顎の長い魔女が変な緑の液体を鍋でグツグツ煮ながらひゃっひゃっひゃと笑って、コウモリが飛び、フクロウがホーホー… そんな中をもっと慎重に屋敷に忍び込むのを想像してたけど… なんかあっさりだね… これでよいのかな…」リリアが言う。
「… ちょっと大げさ過ぎないか? でも、リリアの言わんとしていることはわかるよ。俺もこんな感じで門から人を呼んでご自宅訪問風になるとは思わなかった」ダカット。
「… むぅ、戦う雰囲気ではないですね。気は抜けませんが様子みっすね」ブラックも拍子抜けしているようだ。
「リリア、とりあえず両手のニンニクはしまわないか?挑発的と言うか好戦的に思われるぞ」ダカットが注意する。
「いや、気を抜いちゃダメよ。罠かもよ… いざとなったらニンニク投げつけてやるから」
リリアは結構緊張しているようだ。
「罠?…」ダカットが不思議がる。
しばらくすると羊頭に人間の体のゴートマンと従属の首輪をしたメイド服の小悪魔娘が自走式の台車を連れて出てきた。
メガキャットの雑貨と食料を買い取りに来たのだ。リリア達を見て少し驚いたようだった。
リリア達は商売の邪魔にならないよう眺めていた。口数すくなくニコリともしない二人だが結構な量の雑貨と食料を買い取っている。金払いも相場以上のようだ。
「毎度あり。また十日後くらいにやってきます。また御ひいきに。それでは聖騎士様、ドラキュラ退治頑張ってください。明後日の夜までに村に帰らないようならディルハン様とルーダリア王国勇者管理室に通報しておきます」
メガキャットは商品を売りさばくと愛想よく、そして衝撃的なまでにリリア達の来訪目的と手の内を洗いざらいさらけ出して荷馬車を発進させていった。
「……………」一同すげぇ気まずい。ちったぁ残る人の事を考えろメガキャット!
「… どのようなご用件でございましょう?」丁寧に挨拶をされる。
「… えっへっへ、ご用件って程の物でもないですが… その… あたしリリアって言うの。勇者なんですよ。 それで、退治しようって程でもないけど、ご機嫌をうかがいに… あの、アポなしで行っていいですか?って王国の企画があって、その規格第一弾でドラキュラ伯爵のお家訪問ってどうかなって… ねぇ、皆そう思うでしょ?ね?」
リリアはメッチャ焦っている。当然だ、ドラキュラ伯爵の手の者にこちらが刺客であることがバレてしまったのだ。将棋で言えば初手の前に自分の差す棋譜を相手に大公表したような物だ。焦るに決まっている。
しかも、相手は魔術の使い手かもしれないのだ… 大ピンチ。
ブラックもダカットも困惑している。
リリアに「そう思うでしょ?」っと聞かれても、リリアの言っている内容はさっぱりわからない。リアクションの取りようがないぞ…
「… お約束ではありませんか… 失礼ですがもう一度どなたに御用でございましょうか?」淡々と聞き返される。
「えっへっへ、どなたって…ねぇ… どなたって…ねぇ…」
リリアは頻りにブラックを振り返る。すごい勢いで同意を求めてくる。目が救いを求めている。
「… お客様であれば… こちらへどうぞ」小悪魔娘が静かに先に立って歩き始めた。
門から林を抜ける小道を歩く。
先頭に自走式台車が荷物を満載して自走している。そしてゴートマンと小悪魔娘、それにリリア達が続く。
道は石畳みで整備され、林の木々も手入れされている。奥には花畑もあるようだ。自立ホウキがその辺を掃除して回っている。アンデッドだろうか?花壇の世話をしているようだ。
いささか広大ではあるが清潔感のある造園。
「素敵な前庭よねぇ。リリアもこんな家に住みたいのよね。趣味良いわよねぇ」
リリアは何だか頻りにべた褒めしながら歩いている。
「… お客様、そちらのお荷物はお持ちいたしましょうか?」小悪魔に聞かれた。
「へ?… あぁ、これね。ニンニクね… これ、お土産よ。お食事に使うと最高。あ、この上に乗せてよいのね… ありがとう自走君」
見るとリリアは汗をかきながらメッチャ愛想笑いをしている。
レンタホースは村の厩にお預け。用事がある場合、荒野で馬をどこかに繋いでおけない。たいてい何かに食べられてしまう。ゴブリン達が持ち去ってしまう。
「ドラキュラ城なら馬車ですぐですよ。日帰りできるから午後から出ます」
メガキャットは言うのでお昼を食べて村を出発。
因みにディルは「昨日のガーリックスープがあたった… お腹痛いからお休みします」と欠席。当然ディルの護衛も一緒に欠席。
「どうせ戦ってくれないんだから好きしたらいいわよ」リリア。
メガキャットの馬車は草原を進み森に入る。雑貨と食料を積んでいる。
湖を反時計回りに進む道の分岐路に来た。
あまり使われない道なので道が荒れている。やがて湖が左手に見えてきて湖畔に佇む立派な屋敷が木々の間から見えてくるだろう。
「お嬢さんは国の勇者様?勇者様は聖騎士ですか?」メガキャットがのん気におしゃべりする。
「うん… そう…」リリアは緊張しているらしく口数少なく頷くのみ。
「伯爵公ですか?実際にお目にかかったことはございませんなぁ。メイドか執事かが対応しますし… 危険ですか?危険を感じたことは無いですよ。往復に出会う魔物や盗賊の方がよっぽど危険です。村に伯爵公のメイドが買い物に来ましてね、配達を引き受けたのがきっかけで、商売になるならと定期的に通い始めたんですよ。 さぁ…もう十年近く通ってますかねぇ… 特に危ない思いをしたことも無いし、色々な噂は聞きますがね… まぁ、噂のおかげで独占商売させてもらってますよ、あっはっは」メガキャットは全然気にしていないようだ。
「あたしもお腹痛くなりそうよ」
リリアは不安がっていて話さないのでブラックがメガキャットと話をしている。
「ここが一番良く見えますよ」
メガキャットが指を差す。立派な建物が湖畔に立ち森に囲まれている。
「ニンニクいっぱい食べたし、大丈夫だいじょうぶ」リリアは眺めながら呟く。
「やはりニンニクでしたか… どうりで…」メガキャットも呟く。
「え?着いちゃったの?伯爵の屋敷の門なの?」リリアは少し驚きの声を上げた。
「はい、ここです」メガキャットが馬車を下りる。
メガキャットの馬車は門の前で停車した。
まぁ、門だが門と言えるかどうか…
先ほどの地点から馬車は進み木々で再び屋敷は見えなくなった。しばらくガタガタと小道を進んでいると木々がこじんまりとしてきて石の門が道のわきに見えてきた。
石造りで装飾が施されて門としては立派だ。が、門の部分だけが林と道の間に立っている感じで壁や柵が無いのだ。門としての機能はしていない門。
“なんだこの門、意味あるのかな?”とリリアが眺めていたら馬車が停まりここがドラキュラ伯爵の屋敷の門だと言うのだ。リリアはちょっと驚く。
「とりあえず誰か呼ぼう」
リリア達は馬車から降車するとメガキャットが事も無げに門にあるベルを鳴らした。
「カランカラン」心地よいベルの音。
「ぅおっと!」リリアはびっくり。
ベルを鳴らすと門の上に飾られていた石造のガーゴイルが林の奥へと飛び去って行った。
「さっきのあれが誰かを呼びに行くんでっさ。ちょっと商売の準備をします」
メガキャットにとってはいつもの事のようだ。
リリアは門とそれに続く林をしげしげと眺める。
門は綺麗に手入れされていて”Doracula”と表札が出ている。門から小道が林を通っているがよく見ると木々が手入れされているようだ。
「… ねぇ、到着しちゃったよ…」リリアがポツリと呟く。
「はい、ここみたいですっすね」ブラックも表札を見ながら呟く。
「… 俺、なんか… もっと違う感じを想像していたけどな…」ダカットも呟く。
「… うん、もっと枯れ木が手を広げる様に立っていて、顔見たいのついていて… 蛇やらクモやらいて、毒キノコがいっぱいで、空とか紫色な感じで、ミイラやアンデッド、スケルトンがわさわさ、顔色悪い顎の長い魔女が変な緑の液体を鍋でグツグツ煮ながらひゃっひゃっひゃと笑って、コウモリが飛び、フクロウがホーホー… そんな中をもっと慎重に屋敷に忍び込むのを想像してたけど… なんかあっさりだね… これでよいのかな…」リリアが言う。
「… ちょっと大げさ過ぎないか? でも、リリアの言わんとしていることはわかるよ。俺もこんな感じで門から人を呼んでご自宅訪問風になるとは思わなかった」ダカット。
「… むぅ、戦う雰囲気ではないですね。気は抜けませんが様子みっすね」ブラックも拍子抜けしているようだ。
「リリア、とりあえず両手のニンニクはしまわないか?挑発的と言うか好戦的に思われるぞ」ダカットが注意する。
「いや、気を抜いちゃダメよ。罠かもよ… いざとなったらニンニク投げつけてやるから」
リリアは結構緊張しているようだ。
「罠?…」ダカットが不思議がる。
しばらくすると羊頭に人間の体のゴートマンと従属の首輪をしたメイド服の小悪魔娘が自走式の台車を連れて出てきた。
メガキャットの雑貨と食料を買い取りに来たのだ。リリア達を見て少し驚いたようだった。
リリア達は商売の邪魔にならないよう眺めていた。口数すくなくニコリともしない二人だが結構な量の雑貨と食料を買い取っている。金払いも相場以上のようだ。
「毎度あり。また十日後くらいにやってきます。また御ひいきに。それでは聖騎士様、ドラキュラ退治頑張ってください。明後日の夜までに村に帰らないようならディルハン様とルーダリア王国勇者管理室に通報しておきます」
メガキャットは商品を売りさばくと愛想よく、そして衝撃的なまでにリリア達の来訪目的と手の内を洗いざらいさらけ出して荷馬車を発進させていった。
「……………」一同すげぇ気まずい。ちったぁ残る人の事を考えろメガキャット!
「… どのようなご用件でございましょう?」丁寧に挨拶をされる。
「… えっへっへ、ご用件って程の物でもないですが… その… あたしリリアって言うの。勇者なんですよ。 それで、退治しようって程でもないけど、ご機嫌をうかがいに… あの、アポなしで行っていいですか?って王国の企画があって、その規格第一弾でドラキュラ伯爵のお家訪問ってどうかなって… ねぇ、皆そう思うでしょ?ね?」
リリアはメッチャ焦っている。当然だ、ドラキュラ伯爵の手の者にこちらが刺客であることがバレてしまったのだ。将棋で言えば初手の前に自分の差す棋譜を相手に大公表したような物だ。焦るに決まっている。
しかも、相手は魔術の使い手かもしれないのだ… 大ピンチ。
ブラックもダカットも困惑している。
リリアに「そう思うでしょ?」っと聞かれても、リリアの言っている内容はさっぱりわからない。リアクションの取りようがないぞ…
「… お約束ではありませんか… 失礼ですがもう一度どなたに御用でございましょうか?」淡々と聞き返される。
「えっへっへ、どなたって…ねぇ… どなたって…ねぇ…」
リリアは頻りにブラックを振り返る。すごい勢いで同意を求めてくる。目が救いを求めている。
「… お客様であれば… こちらへどうぞ」小悪魔娘が静かに先に立って歩き始めた。
門から林を抜ける小道を歩く。
先頭に自走式台車が荷物を満載して自走している。そしてゴートマンと小悪魔娘、それにリリア達が続く。
道は石畳みで整備され、林の木々も手入れされている。奥には花畑もあるようだ。自立ホウキがその辺を掃除して回っている。アンデッドだろうか?花壇の世話をしているようだ。
いささか広大ではあるが清潔感のある造園。
「素敵な前庭よねぇ。リリアもこんな家に住みたいのよね。趣味良いわよねぇ」
リリアは何だか頻りにべた褒めしながら歩いている。
「… お客様、そちらのお荷物はお持ちいたしましょうか?」小悪魔に聞かれた。
「へ?… あぁ、これね。ニンニクね… これ、お土産よ。お食事に使うと最高。あ、この上に乗せてよいのね… ありがとう自走君」
見るとリリアは汗をかきながらメッチャ愛想笑いをしている。
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