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【81話】 メデューサの古戦場
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リリアご一行様プラス藁君、ボッドフォート王都に到着。
スクロールによるクリチャーの藁君は城壁内に入れさせられないので農場に預けた。
リリアが藁君にひっぱたかれた街から王都までの道中
相変わらずの治安だったが、王都に近づくにつれ、砦、陣、検問が増え一気に安全になった。しかし、どこか監視の目があるような息苦しさがある。
検問はレジスタンスのメンバーに目を光らせているので、リリア達はあっさりと通れた。逆に難民家族の父親等はチェックが厳しかったようだ。
ひっぱたかれた街に泊まった次の日に、クレンショーの街に到着。王都まではちょうど一日の距離。
クレンショーの酒場で近くに伝説の勇者の古戦場があると聞いて、翌日リリア達と家族プラス藁君で古戦場を見学に行く。
「街から近いし人が多いのね」リリアは屋台で買ったメデューサ饅頭を食べている。
山中にあるが街から小一時間程度の距離。見学者が多く、屋台が数件出ている。
入り口?と思われる場所に“伝説の勇者とメデューサの古戦場”と看板が出ていた。
この山中の洞窟に潜み近づく人々を石に変え悪さをしていたメデューサを勇者が倒した場所なのだそうだ。
「これ、全部石にされた人々なの?」リリアが聞く。
屋台が並び、洞窟までの参道?に本の挿絵によくありがちな石像が並んでいる。皆、苦悶に満ち、憎悪の表情で何かを訴えかけるように腕を掲げた姿で石化された像が並ぶ。けど、なんか… 年季が入ってないというか、ピカピカした感じ…
何か感想を聞かれるとしたら、「すげぇ、悪趣味」としか言いようがない。
「ここに並んでるのは全部、プレゼン用に制作されたやつらしいよ」オフェリアが説明する。
見ると「○○ギルド寄贈」とか「××教会寄贈」とか台座にある。
「台座にちゃんと足がくっついてるわけないよね。椅子にでも座っていない限り本物は石化されると同時にひっくり返るみたいよ」ペコが言う。確かに…
「リリア、あれを見て本物だと思ったの?単純ねぇ、あんなに剣とか鎧まで石になるだなんてあり得ないでしょ。本物は鎧が朽ちたらマッパよ、マッパ」アリスが笑っている。
家族の大人は、まぁ「フムフム」といった感じ。村人はあまり移動する事が少ないので良い機会だろうが、リリアから貰ったメデューサ饅頭を食べている子供たちは石像を見て不気味がっている。
「なんか… ここに来るまでの方が見応えあったねぇ」
メデューサの洞窟まで来て、誰からともなく呟く。
現在洞窟は立ち入り禁止で柵から距離を置いて見学できる。が、山中の地面にぽっかりと穴が開いてだけのありがちな光景だ。特に心に刺さるものも訴えかけてくるものも何もない。
ここまで柵付きの遊歩道があって、森の中には本当に石化した人々の像がひっくり返っているのが何体か見えた。プレゼン用の石造は管理され、歴史的物件は野ざらしのようだ。歴史保存の古戦場が聞いて呆れる所業。
「あれ何?」リリアが洞窟と柵の中間に置かれた像を指さす。
見ると尻と象さん鼻っぽい物出してしゃがんでいる像がポツン置かれている。
柵にかかった板の説明を読むと、“ウンコしている時に石化した男”とまるで“考える人”的なノリと芸術作気どりで書いてあり、説明文がある。
リリアはタイトルだけ見て、説明は読まなかった。あの恰好、このタイトル… 説明要るのか?…
あんなに像がある中でなんでこれ選んで移動したのか…
インパクトは凄いが、意図は不明…
別口の団体が売り子に何かを買わされて、洞窟に何かを投げ込んでいる。
なんでもメデューサ→石化→石→メデューサに石→ご利益、となったそうで石を上手く洞窟に投げ込めば、メデューサのご利益があるのだそうだ。
石を売りつけて歩く側、石を穴に向って投げ込む側の利害関係が一致している。
石で商売するなんて、強欲塊だ!っと言いたいが、ご利益の期待して買う方は投資以上のリターンを期待して買うわけだから売る方だけを責める事はできない。
しょうもない…と思っていたが、子供達がやりたがるのでお金を払って石を買う。
「これに3G?どうみてもその辺の石だよね」リリアが言うと
「ちょっと大人になりなさいよ」とオフェリアに注意された。
子供達が楽しそうに石を投げる。
“あぁ、あたしが体を張って稼いだお金が飛んでいくぅ”見送るリリア…
売り子が「手持ちの石が無くなった」と言って、柵を超えて投げ込まれたばかりの石を拾い集めている。それをまたすぐ売るつもりらしい。節操がなさすぎる。ぶん殴ってやりたい。
団体客に案内が説明をしている。
「…… こうして勇者に退治されたメデューサですが歴史的に正しい見解では、メデューサの首に不老長寿の効果があると信じた人々が… メデューサは家族を守るためにやむなく… 人は石化され… 不老不死の効果を信じた村人が国に… 国王が勇者に討伐を依頼… 今ではメデューサは土地の守り神として… お帰りの際にはお土産屋で是非、子供に大人気のメデューサのヅラをお買い求め…」
平和に暮らしていたメデューサは人間の強欲と都合で殺され、いつの間にか守り神に祭り上げられ今は観光資金源となっている。この事実を本人が知ったらどう思うのであろう…
“勇者とメデューサの闘い“像を見た。石化の脅威が無ければ、丸腰の亜人に刃を突き立てている人間の像である。リリアは眺めて苦笑いが出た。
帰り際聞いた話だが、ウンコ座りの男性像の子孫が、しばらく国を相手に人権侵害、名誉棄損、肖像権使用許可とその収入について揉めていたそうだが一族諸共ある日忽然と姿を消したというのだ。
「それ、今日イチ怖い話しだよねぇ」
一同が声を揃えて言う…
スクロールによるクリチャーの藁君は城壁内に入れさせられないので農場に預けた。
リリアが藁君にひっぱたかれた街から王都までの道中
相変わらずの治安だったが、王都に近づくにつれ、砦、陣、検問が増え一気に安全になった。しかし、どこか監視の目があるような息苦しさがある。
検問はレジスタンスのメンバーに目を光らせているので、リリア達はあっさりと通れた。逆に難民家族の父親等はチェックが厳しかったようだ。
ひっぱたかれた街に泊まった次の日に、クレンショーの街に到着。王都まではちょうど一日の距離。
クレンショーの酒場で近くに伝説の勇者の古戦場があると聞いて、翌日リリア達と家族プラス藁君で古戦場を見学に行く。
「街から近いし人が多いのね」リリアは屋台で買ったメデューサ饅頭を食べている。
山中にあるが街から小一時間程度の距離。見学者が多く、屋台が数件出ている。
入り口?と思われる場所に“伝説の勇者とメデューサの古戦場”と看板が出ていた。
この山中の洞窟に潜み近づく人々を石に変え悪さをしていたメデューサを勇者が倒した場所なのだそうだ。
「これ、全部石にされた人々なの?」リリアが聞く。
屋台が並び、洞窟までの参道?に本の挿絵によくありがちな石像が並んでいる。皆、苦悶に満ち、憎悪の表情で何かを訴えかけるように腕を掲げた姿で石化された像が並ぶ。けど、なんか… 年季が入ってないというか、ピカピカした感じ…
何か感想を聞かれるとしたら、「すげぇ、悪趣味」としか言いようがない。
「ここに並んでるのは全部、プレゼン用に制作されたやつらしいよ」オフェリアが説明する。
見ると「○○ギルド寄贈」とか「××教会寄贈」とか台座にある。
「台座にちゃんと足がくっついてるわけないよね。椅子にでも座っていない限り本物は石化されると同時にひっくり返るみたいよ」ペコが言う。確かに…
「リリア、あれを見て本物だと思ったの?単純ねぇ、あんなに剣とか鎧まで石になるだなんてあり得ないでしょ。本物は鎧が朽ちたらマッパよ、マッパ」アリスが笑っている。
家族の大人は、まぁ「フムフム」といった感じ。村人はあまり移動する事が少ないので良い機会だろうが、リリアから貰ったメデューサ饅頭を食べている子供たちは石像を見て不気味がっている。
「なんか… ここに来るまでの方が見応えあったねぇ」
メデューサの洞窟まで来て、誰からともなく呟く。
現在洞窟は立ち入り禁止で柵から距離を置いて見学できる。が、山中の地面にぽっかりと穴が開いてだけのありがちな光景だ。特に心に刺さるものも訴えかけてくるものも何もない。
ここまで柵付きの遊歩道があって、森の中には本当に石化した人々の像がひっくり返っているのが何体か見えた。プレゼン用の石造は管理され、歴史的物件は野ざらしのようだ。歴史保存の古戦場が聞いて呆れる所業。
「あれ何?」リリアが洞窟と柵の中間に置かれた像を指さす。
見ると尻と象さん鼻っぽい物出してしゃがんでいる像がポツン置かれている。
柵にかかった板の説明を読むと、“ウンコしている時に石化した男”とまるで“考える人”的なノリと芸術作気どりで書いてあり、説明文がある。
リリアはタイトルだけ見て、説明は読まなかった。あの恰好、このタイトル… 説明要るのか?…
あんなに像がある中でなんでこれ選んで移動したのか…
インパクトは凄いが、意図は不明…
別口の団体が売り子に何かを買わされて、洞窟に何かを投げ込んでいる。
なんでもメデューサ→石化→石→メデューサに石→ご利益、となったそうで石を上手く洞窟に投げ込めば、メデューサのご利益があるのだそうだ。
石を売りつけて歩く側、石を穴に向って投げ込む側の利害関係が一致している。
石で商売するなんて、強欲塊だ!っと言いたいが、ご利益の期待して買う方は投資以上のリターンを期待して買うわけだから売る方だけを責める事はできない。
しょうもない…と思っていたが、子供達がやりたがるのでお金を払って石を買う。
「これに3G?どうみてもその辺の石だよね」リリアが言うと
「ちょっと大人になりなさいよ」とオフェリアに注意された。
子供達が楽しそうに石を投げる。
“あぁ、あたしが体を張って稼いだお金が飛んでいくぅ”見送るリリア…
売り子が「手持ちの石が無くなった」と言って、柵を超えて投げ込まれたばかりの石を拾い集めている。それをまたすぐ売るつもりらしい。節操がなさすぎる。ぶん殴ってやりたい。
団体客に案内が説明をしている。
「…… こうして勇者に退治されたメデューサですが歴史的に正しい見解では、メデューサの首に不老長寿の効果があると信じた人々が… メデューサは家族を守るためにやむなく… 人は石化され… 不老不死の効果を信じた村人が国に… 国王が勇者に討伐を依頼… 今ではメデューサは土地の守り神として… お帰りの際にはお土産屋で是非、子供に大人気のメデューサのヅラをお買い求め…」
平和に暮らしていたメデューサは人間の強欲と都合で殺され、いつの間にか守り神に祭り上げられ今は観光資金源となっている。この事実を本人が知ったらどう思うのであろう…
“勇者とメデューサの闘い“像を見た。石化の脅威が無ければ、丸腰の亜人に刃を突き立てている人間の像である。リリアは眺めて苦笑いが出た。
帰り際聞いた話だが、ウンコ座りの男性像の子孫が、しばらく国を相手に人権侵害、名誉棄損、肖像権使用許可とその収入について揉めていたそうだが一族諸共ある日忽然と姿を消したというのだ。
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