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【63.5話】 ミミックと斧戦士 ※過去の話し※
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リリアはエルフの男性と村から村へ移動中。男性の通称はブアマと言うらしい。
今日の移動距離は大したことないので、リリアは村の宿屋で出会ったこの男とのんびり移動。同じ弓士だがブアマはアンデッド系に追加ダメージがある。
「村まであと少しね。たぶんあの森抜けた辺りじゃないかしら?」
おしゃべりしながら歩いていると
「………声が聞こえない?」リリアがふと足を止める。
「…確かに。助けを呼んでいるようだ」
二人は声のする方へと歩いていく。結構見通しが良いのにそれらしき人はいない。
「おーーーい 誰かぁぁぁーー 助けてくれーーーー」
はっきりと聞こえてきた。見ると道のちょっと土手下になった場所で叫んでいる男がいる。
リリアとブアマが急いで土手を下ると斧使いの戦士がミミックに食われかけている。
「待ってて、今助けるわ!」リリアは短剣を抜いて走り込む。
結構大きい、椅子程度の大きさはあるミミックだ。良くこんなに育ったものだ。いったい何人飲み込まれたことか。
「でぇい!」“ガッキン!!”剣で突き込んだが硬い箱に阻まれた。
「いったぁい…」剣は弾かれ、走り込んだ勢いで顔面をぶつけてひっくり返った。
「ボディは頑丈にできています」ブアマが叫ぶ。
考えてみれば、リリアもミミックと対峙するのは初めてだ。
食われかけている戦士は肩まで飲み込まれ、ガジガジと噛まれているので大量に出血している。
「剣で口の中、蓋の中を貫くか、テコの要領で口を開けさせよう」
リリアとブアマでとりあえず男をミミックから救出する。
リリアとブアマで斧戦士を介抱。ポーションを飲ましてあげる。ミミックは少し離れた場所で、なんか… くたん、と歪んで鎮座している。止めを刺さないといけないが、だいぶ弱っているようだ。とりあえず、かじられていた男を介抱。出血が酷かったが、回復してきている。
元気になってきた斧戦士に話を聞くと、道端に宝箱が落ちているから興味を持って開けようとしたら、見事にかぶりつかれたらしい。
「どう考えても、道端に宝箱って変でしょ」とリリアは言うが、確かにミミックを見ると、ピッカピカのボディが本物の鉄で出来ている質感がある。精神に作用する魔法を使う事もあるらしい。侮れない。
「こっちはもう大丈夫そうね」
戦士の回復を見ると問題なさそうだ。ミミックを片付けないと次の犠牲者がでかねない。リリアとブアマでミミックを倒す。
“バカン!”倒すと同時に箱がくだけてアイテムがドロップされた。
「わぉ!金塊よ!!500Gはありそう!」
「こっちは大きな魔法石。どれだけ飲み込んできたんだ!」
リリアもブアマの声をあげる。
「ねぇ!戦士さん、あなたの怪我も無駄じゃなかったわね!」とリリアが振り返った時だった…
「ァガ!!」
ブアマが短く叫んで前のめりに倒れた。背中がバックリと裂け血が噴き出る。見ると斧戦士の手に斧…
「やっ!ちょっ!何してんの?気は確かなの!」リリアが言うより先に斧が振り下ろされた。
「ぅぅ… グぅ…」
リリアも左肩から胸にかけて袈裟に切り下げられてしまった。一瞬早く避けたがかなりの深手、血が流れ落ちる。
「な、なにするの… あんた、こんな… わかってるの…」
リリアが右手に剣を持つ。ブアマはうつ伏して微動だにしない。血の池ができ始めている。
「うるせぇ!これは俺が先に見つけたんだ!俺のもんなんだよ!」
剣で防ぐのが精いっぱいのリリアだが、剣を叩き落とされ、腰から右太ももをバックリ切られた。がっくりと膝をつく。この出血はかなり危ない。
「あんた… 助けて… これが…」
リリアが見上げると男は狂気の形相で立っている。ブアマが本当に危険だ、早く助けないと。
「お金なんて… 持ってきなさいよ… その代わり、あたしと… エルフは生かして…」
男はジッとリリアを見つめたが、傷が深いと思ったのか「追ってきたら殺す」と言い残し、金と魔法石を持ち去って行った。
その後ろ姿を力なく見送ったリリア。
「ブアマ… 今… たす… と、父さん、母さん… リリア…」
リリアは呟くと倒れた。
今日の移動距離は大したことないので、リリアは村の宿屋で出会ったこの男とのんびり移動。同じ弓士だがブアマはアンデッド系に追加ダメージがある。
「村まであと少しね。たぶんあの森抜けた辺りじゃないかしら?」
おしゃべりしながら歩いていると
「………声が聞こえない?」リリアがふと足を止める。
「…確かに。助けを呼んでいるようだ」
二人は声のする方へと歩いていく。結構見通しが良いのにそれらしき人はいない。
「おーーーい 誰かぁぁぁーー 助けてくれーーーー」
はっきりと聞こえてきた。見ると道のちょっと土手下になった場所で叫んでいる男がいる。
リリアとブアマが急いで土手を下ると斧使いの戦士がミミックに食われかけている。
「待ってて、今助けるわ!」リリアは短剣を抜いて走り込む。
結構大きい、椅子程度の大きさはあるミミックだ。良くこんなに育ったものだ。いったい何人飲み込まれたことか。
「でぇい!」“ガッキン!!”剣で突き込んだが硬い箱に阻まれた。
「いったぁい…」剣は弾かれ、走り込んだ勢いで顔面をぶつけてひっくり返った。
「ボディは頑丈にできています」ブアマが叫ぶ。
考えてみれば、リリアもミミックと対峙するのは初めてだ。
食われかけている戦士は肩まで飲み込まれ、ガジガジと噛まれているので大量に出血している。
「剣で口の中、蓋の中を貫くか、テコの要領で口を開けさせよう」
リリアとブアマでとりあえず男をミミックから救出する。
リリアとブアマで斧戦士を介抱。ポーションを飲ましてあげる。ミミックは少し離れた場所で、なんか… くたん、と歪んで鎮座している。止めを刺さないといけないが、だいぶ弱っているようだ。とりあえず、かじられていた男を介抱。出血が酷かったが、回復してきている。
元気になってきた斧戦士に話を聞くと、道端に宝箱が落ちているから興味を持って開けようとしたら、見事にかぶりつかれたらしい。
「どう考えても、道端に宝箱って変でしょ」とリリアは言うが、確かにミミックを見ると、ピッカピカのボディが本物の鉄で出来ている質感がある。精神に作用する魔法を使う事もあるらしい。侮れない。
「こっちはもう大丈夫そうね」
戦士の回復を見ると問題なさそうだ。ミミックを片付けないと次の犠牲者がでかねない。リリアとブアマでミミックを倒す。
“バカン!”倒すと同時に箱がくだけてアイテムがドロップされた。
「わぉ!金塊よ!!500Gはありそう!」
「こっちは大きな魔法石。どれだけ飲み込んできたんだ!」
リリアもブアマの声をあげる。
「ねぇ!戦士さん、あなたの怪我も無駄じゃなかったわね!」とリリアが振り返った時だった…
「ァガ!!」
ブアマが短く叫んで前のめりに倒れた。背中がバックリと裂け血が噴き出る。見ると斧戦士の手に斧…
「やっ!ちょっ!何してんの?気は確かなの!」リリアが言うより先に斧が振り下ろされた。
「ぅぅ… グぅ…」
リリアも左肩から胸にかけて袈裟に切り下げられてしまった。一瞬早く避けたがかなりの深手、血が流れ落ちる。
「な、なにするの… あんた、こんな… わかってるの…」
リリアが右手に剣を持つ。ブアマはうつ伏して微動だにしない。血の池ができ始めている。
「うるせぇ!これは俺が先に見つけたんだ!俺のもんなんだよ!」
剣で防ぐのが精いっぱいのリリアだが、剣を叩き落とされ、腰から右太ももをバックリ切られた。がっくりと膝をつく。この出血はかなり危ない。
「あんた… 助けて… これが…」
リリアが見上げると男は狂気の形相で立っている。ブアマが本当に危険だ、早く助けないと。
「お金なんて… 持ってきなさいよ… その代わり、あたしと… エルフは生かして…」
男はジッとリリアを見つめたが、傷が深いと思ったのか「追ってきたら殺す」と言い残し、金と魔法石を持ち去って行った。
その後ろ姿を力なく見送ったリリア。
「ブアマ… 今… たす… と、父さん、母さん… リリア…」
リリアは呟くと倒れた。
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