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第2章 夏の始まり
第43話 VS三高1
しおりを挟む今にも雨が降りそうな天候の中試合が始まった。
先攻は三高。
初回、三井先輩はヒットでランナーを許すも無失点に抑える。
ベンチで俺が投げてないからか首を傾げてる霊山の事は気にしない。
その裏の攻撃。
相手ピッチャーはやはりエースの菊池。
先頭のウルは完璧に振り遅れて三振。
2番のタイガはバットには当てたものの、ピッチャーゴロ。
そして迎えるは主砲のレオンである。
「どうだった?」
「いや、生きてるみたいなボールだった。唸りあげてキャッチャーミットに入って行ったぞ」
事前の情報通り程良く荒れてるからか的を絞り切れない。
こいつは長期戦かななんて思いながらベンチで応援する。
レオンが珍しくファールで粘っている。
いや、粘っているというより捉え切れてないからファールになっていると言った方が正しいか。
結局10球粘ったものの、ファーストのファールフライに倒れて三者凡退に終わった。
レオンはかなり不満そうだが俺からしたらあれだけ当てれるのが凄いと思ってしまう。
試合は無得点のまま、三回。
強めの雨が降って来た為、一時中断。
俺はレオンの隣に座り話しかける。
「どう? 攻略できそう?」
「ストレートだけにヤマを張ってれば打てない事はない。だがチェンジアップが厄介だ。ムービング系は見分けがつきやすいしな」
ほへー。あれ、打てるんだ。やっぱこいつすげぇな。
「え? ムービング系の見分けつくの?」
「打席に立ってみて分かったが、微妙にフォームが違う。ストレートとチェンジアップは同じだが」
もうお前チートキャラじゃんかよ。
レオンだけは敵に回したくないね。
プロ入りしたら流石にチームは別れるだろうしなぁ。今から憂鬱。
「ってかそのフォームの違い、みんなに言った?」
「ああ。勿論だ。キャプテンは確かに違う様に感じるといったレベルだったが」
「まぁ今はちょっとでも攻略に使える情報は欲しいしな。微妙な違和感でも使えるか」
「まぁムービング系は分かっても、カットかシュートかが分からなければ意味がないんだがな。1打席目はそれで捉えられなかった」
「お前ならパワーで無理やり持っていけるだろ?」
「それをしようとして、ファールフライなんだ。思った以上に球威がある。2打席目も打てるか怪しいな」
むう。やっぱり投手戦になるかなぁ。
三井先輩がどこまで強力打線を抑えられるか。
俺もこの打線は今の状態じゃ0に抑える自信ないしなあ。
その後、試合は再開して三井先輩が表を抑えた所でまた中断。
うーん。結構調子良さそうだから勿体ない。
この中断でリズム崩したりしたら嫌だなぁ。
まぁそれは相手にも言える事だし、どっちもどっちだね。
ってか、雨強すぎない?
これ、中止もあり得るぞ。
でも高野連って日程ずらしたりするの嫌がって強行するからなぁ。
因みに俺は雨の中投げるのは大嫌いです。
指先がふやけて皮膚の感覚がおかしくなるんだよね。
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