4 / 75
第1章 ダンジョン内に放置されたようです……
第二話 まさかの初スキル獲得①⁉
しおりを挟む
木の実は全部で三つあった。同じ木になっているのに、形や色が全然違っている。
結菜は三つある木の実を瞬時に見比べてみた。
一つは黒色の木の実、もう一つは金色の木の実、そして最後の一つは透明の木の実だった。
黒色の木の実は周りの光を全部吸収していた。簡単に説明すると、いわば小さいブラックホールみたいな見た目だった。……あまり手にとりたくないので後回しに…。
すぐに結菜は次の木の実に目線を移す。
金色の木の実は黒色の木の実とは対照的に光り輝いていた。木の実が金色なのではない。完璧な発光体である。小さい太陽とかUFOとか言えそうなレベルで発光しているのだ。
好んで食べようとは思わない……。こんな木の実を食べたら自分自身が発光しそうだ。
(……全身発光した自分………。……髪も発光するのかな?いや、まさか(笑)。つまり頭が発光するわけで……。…はっ!もしかしてハゲるのか⁉ハゲてしまうのか⁉ムリムリムリムリ‼これも後回しに‼)
木の目の前に立って木の実を手にとる前に、そうして考えること約0.00042秒。機械並みの速さである。結菜が一瞬の判断の後に選んだ最後の残りの木の実は透明だった。
透明な木の実は他の木の実と比べてまだ手にとりやすい感じだった。ガラスのように透明度が高く、金色の木の実が発する光を浴びてキラキラ光っているものの、どこか氷砂糖のようである。
手にとるとお菓子のような何とも言えない甘い香りが結菜の鼻腔をくすぐった。
その甘い香りに少しお腹の空いていた結菜は我慢できず、ついついその透明な木の実に手を伸ばしてしまったのである。
今後のダンジョン探索のためにとっておかなければならないことも忘れて一口かじる。
果実とは思えないほどの甘い芳醇な香りが口いっぱいに広がり、甘酸っぱい果汁がジュワリと溢れて来た。
三ツ星のスイーツよりも下手したら美味しいんじゃないだろうか?
甘さのなかに仄かな苦味もあり、いい感じに甘さとマッチングしている。
「何これ‼むっちゃ美味しいんだけど⁉てか普通のスイーツより美味しいんだけど⁉」
あっという間に口の中に消えていく木の実。
物足りなくなった結菜は他の木の実も手にとった。
透明な木の実とはまた違った甘い香りがする。気がつくと木にあった三つの木の実は跡形もなくなくなっていた。
………まるでブラックホールである。口、というか胃袋がブラックホールみたいだ。シュパッシュパッっと口の中に消えていく木の実たち。「スイーツは飲み物よ~」とでも言えそうだ。
(…はっ!全部食べちゃった‼ヤバイよね!これはマジでヤバイよね‼あぁもう、私のバカ‼)
いつの間にか食べてしまったことに結菜は自分の頭を抱えた。
頭の中はヤバイの言葉のオンパレード。右往左往するヤバイ達。
「あらヤバイさん、ご機嫌いかが?」
「あらあら、あなたはヤバイさんじゃないですか。ところで、聞いてくださいよ。ヤバイんですよ。」
「あらヤバイさん、わたくしのほうがヤバイんですよ?」
「何をおっしゃいます‼わたくしのほうがヤバイんですからね‼」
ヤバイ達が喧嘩する。広がるヤバイの喧嘩。頭の中は完璧にパニックである。
結菜はセーフティゾーン内をうろうろして、自分の失態に焦った。このままでは、この先どうしようもなくなってしまう。
また木の実がすぐに実るのなら話は別だが、何度見ても生えてきそうな様子はない。
結菜はがっくりと肩を落とした。
っとその時、ピコンという軽やかな電子音が頭の中になった。完全にパニックになっていた頭の中のヤバイ達が喧嘩を中止する。
〈eb'i:00 合田結菜(h8_q:) fbyac4c.6_EVq58_2_"ack:.〉
―識別名:00 合田結菜(町民) スキル獲得。宝珠の実との融合を確認。―
は?今の何?スキル獲得?突然のことで理解が追いつかない。ゆっくり今の頭に直接響いた言葉を反復する。スキル獲得、つまり今現在スキルを習得したということだ。
さっきまでは人生詰んだような顔をしていたが、結菜はその天の声(さっきの音声)に希望を抱いた。
(なんかゲームみたい……。ってことはもしかして‼)
ばっと顔を上げて、テンションマックスであの言葉を唱える。
「ステータス、お~ぷん‼」
結菜は、一回は言ってみたいランキング10に入るであろうあのセリフを言ってみた。
何となくあの憧れの画面が出て来るのではないかと瞳を輝かせる。
ゲーム好きの情熱が心に宿ってしまった。……さっきまでパニクっていたとは思えない切り替えの速さである。
ブォン
漫画などでよく見る例のステータス画面が結菜の目の前にうかびあがった。
予想通りである‼
飛び跳ねながら喜ぶ結菜。嬉しすぎて笑いが止まらない。
ダンジョンの中で一人ジャンプしながら笑い続ける少女が一人。異様な光景であった。
結菜は三つある木の実を瞬時に見比べてみた。
一つは黒色の木の実、もう一つは金色の木の実、そして最後の一つは透明の木の実だった。
黒色の木の実は周りの光を全部吸収していた。簡単に説明すると、いわば小さいブラックホールみたいな見た目だった。……あまり手にとりたくないので後回しに…。
すぐに結菜は次の木の実に目線を移す。
金色の木の実は黒色の木の実とは対照的に光り輝いていた。木の実が金色なのではない。完璧な発光体である。小さい太陽とかUFOとか言えそうなレベルで発光しているのだ。
好んで食べようとは思わない……。こんな木の実を食べたら自分自身が発光しそうだ。
(……全身発光した自分………。……髪も発光するのかな?いや、まさか(笑)。つまり頭が発光するわけで……。…はっ!もしかしてハゲるのか⁉ハゲてしまうのか⁉ムリムリムリムリ‼これも後回しに‼)
木の目の前に立って木の実を手にとる前に、そうして考えること約0.00042秒。機械並みの速さである。結菜が一瞬の判断の後に選んだ最後の残りの木の実は透明だった。
透明な木の実は他の木の実と比べてまだ手にとりやすい感じだった。ガラスのように透明度が高く、金色の木の実が発する光を浴びてキラキラ光っているものの、どこか氷砂糖のようである。
手にとるとお菓子のような何とも言えない甘い香りが結菜の鼻腔をくすぐった。
その甘い香りに少しお腹の空いていた結菜は我慢できず、ついついその透明な木の実に手を伸ばしてしまったのである。
今後のダンジョン探索のためにとっておかなければならないことも忘れて一口かじる。
果実とは思えないほどの甘い芳醇な香りが口いっぱいに広がり、甘酸っぱい果汁がジュワリと溢れて来た。
三ツ星のスイーツよりも下手したら美味しいんじゃないだろうか?
甘さのなかに仄かな苦味もあり、いい感じに甘さとマッチングしている。
「何これ‼むっちゃ美味しいんだけど⁉てか普通のスイーツより美味しいんだけど⁉」
あっという間に口の中に消えていく木の実。
物足りなくなった結菜は他の木の実も手にとった。
透明な木の実とはまた違った甘い香りがする。気がつくと木にあった三つの木の実は跡形もなくなくなっていた。
………まるでブラックホールである。口、というか胃袋がブラックホールみたいだ。シュパッシュパッっと口の中に消えていく木の実たち。「スイーツは飲み物よ~」とでも言えそうだ。
(…はっ!全部食べちゃった‼ヤバイよね!これはマジでヤバイよね‼あぁもう、私のバカ‼)
いつの間にか食べてしまったことに結菜は自分の頭を抱えた。
頭の中はヤバイの言葉のオンパレード。右往左往するヤバイ達。
「あらヤバイさん、ご機嫌いかが?」
「あらあら、あなたはヤバイさんじゃないですか。ところで、聞いてくださいよ。ヤバイんですよ。」
「あらヤバイさん、わたくしのほうがヤバイんですよ?」
「何をおっしゃいます‼わたくしのほうがヤバイんですからね‼」
ヤバイ達が喧嘩する。広がるヤバイの喧嘩。頭の中は完璧にパニックである。
結菜はセーフティゾーン内をうろうろして、自分の失態に焦った。このままでは、この先どうしようもなくなってしまう。
また木の実がすぐに実るのなら話は別だが、何度見ても生えてきそうな様子はない。
結菜はがっくりと肩を落とした。
っとその時、ピコンという軽やかな電子音が頭の中になった。完全にパニックになっていた頭の中のヤバイ達が喧嘩を中止する。
〈eb'i:00 合田結菜(h8_q:) fbyac4c.6_EVq58_2_"ack:.〉
―識別名:00 合田結菜(町民) スキル獲得。宝珠の実との融合を確認。―
は?今の何?スキル獲得?突然のことで理解が追いつかない。ゆっくり今の頭に直接響いた言葉を反復する。スキル獲得、つまり今現在スキルを習得したということだ。
さっきまでは人生詰んだような顔をしていたが、結菜はその天の声(さっきの音声)に希望を抱いた。
(なんかゲームみたい……。ってことはもしかして‼)
ばっと顔を上げて、テンションマックスであの言葉を唱える。
「ステータス、お~ぷん‼」
結菜は、一回は言ってみたいランキング10に入るであろうあのセリフを言ってみた。
何となくあの憧れの画面が出て来るのではないかと瞳を輝かせる。
ゲーム好きの情熱が心に宿ってしまった。……さっきまでパニクっていたとは思えない切り替えの速さである。
ブォン
漫画などでよく見る例のステータス画面が結菜の目の前にうかびあがった。
予想通りである‼
飛び跳ねながら喜ぶ結菜。嬉しすぎて笑いが止まらない。
ダンジョンの中で一人ジャンプしながら笑い続ける少女が一人。異様な光景であった。
22
お気に入りに追加
2,570
あなたにおすすめの小説

器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる