一流冒険者がVTuberになるそうです

1章 デビュー

プロローグ

　VTuberになる。
今や誰もが簡単にVTuberになることが可能だが、それで活躍できる人間はごく少数である。
生活できるほどの実力及び人気を持つことは運も重要な要素だ。
　冒険者も同様だ。

　ダンジョンが日本に現れ、世界中で同様な現象が発生した。
　それと同時に誕生した冒険者という新たな職は一時期は新たな食い扶持となると期待された。
　しかしダンジョンは今や娯楽やレジャーで冒険者をするくらいにまでになっていた。
　普通の人にはダンジョンの中で命をかけて富を得るというような生活は苦痛を伴ううえに、いつ死ぬかもわからない危険な職という扱いであった。
　稀にだがダンジョン内で才能タレントに目覚め超人的な肉体や能力を手に入れる者も確認され大きな話題を呼ぶことがある。
　だがしかし、ダンジョンで得られる才能の情報情報などほとんど出回っていない。
　それそのはず、ネットに情報を公開し広告収入を得るレベルの人稼ぎと才能を獲得しダンジョン深淵へと突き進む者の稼ぎでは雲泥の差があり、後者側の人は、広告収入など不要なほどの莫大な財産を築き上げているのだ。

　ダンジョンで才能を開花させた者には大きく別れて2つ道があるとされている。
　1つ目は、深淵を突き進み、ダンジョンの資源を持ち帰ることで生計をたてる道、2つ目は、スポンサーを持ちダンジョン産の食材を収集する道である。

　世界で発見されているダンジョンは全て最低でも100層を超えるとされているが、実際にネットに情報が出回っているのは60層つまり中層程度である。
　もっとも、ネット情報を公開したり配信を行っている者で視聴者の支持を得られるのは上位の実力者であることは間違いない。
　一層単位でも広大なフィールドが確認されるなか、階層をショートカットする手段は発見されておらず、撮影しながらの探索は困難を極める。
上位とされる冒険者でも中層程度での活動は生命の危機と隣り合わせの環境であるのだ。

なにより未だに完全攻略されたダンジョンは片手ほどである。