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第三章 小話集
番外編(その後~リンジー視点)
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あれから、十年以上たつ。
私とジェナはほとんど邸から出られず下働きのままだった。
たまに邸から外出する時でさえ、買い忘れなどの用事を言い付けられた時のみで、それさえ見張りのように、別の使用人がついて来る。
ジゼル様は、結局浮気相手のジェフリー様と結婚なされたけど、ジェフリー様はジゼル様とのことに加え、ギャンブルでの借金がご実家に知られて、男爵家を勘当された。
男爵家は、レックス殿下の婚約者と通じていたことに肝を冷やし、ジェフリー様を切り捨てたのだ。
ジェフリー様はアウル伯爵家に身を寄せるしかなく、ギャンブルでの借金を男爵家が全て肩代わりして、身一つでやって来た。
所謂ヒモだ。
そんなジェフリー様に嫌気を差したジゼル様だが、誰も相手にしないジゼル様にはジェフリー様といるしかなかった。
レックス様との婚約破棄した上にジェフリー様と離縁まですれば、もう伯爵家は終わりだ。
そうなれば、ジゼル様の産んだ娘だって将来まともな縁談は来ないだろう。
ジゼル様は一生ヒモとなったジェフリー様といるしかなかった。
そんなジゼル様夫婦にアウル伯爵は、余計な金も与えることはなかった。
そして、私達にジゼル様は声さえかけてくれない。
まるでいない者のように扱われる。
あんなに尽くしたのに。
私とジェナ以外の侍女は一人を残して、旦那様が解雇してしまった。
宮ではないのだから、何人も侍女はいらないと。
「どうして、私達はフィリス様に嫌がらせをしてしまったのかしら…いつもフィリス様は部屋で一人で過ごしてレックス様とジゼル様の邪魔なんてしなかったのに…」
ジェナと何度後悔してももう時間は戻らない。
ただ、飼い殺しのような月日が経つだけだ。
そして、一生謝罪すら出来なかった。
新聞を読んでるとフィリス様は妃殿下となっても聖女の務めを進んでするような方で、国民から人気が高い。
慈愛の妃と呼ばれるくらい分け隔てなく平民とも接するようで、貴族の娘達もフィリス様を見習い奉仕活動に励む者が増えたと新聞には書いてあった。
ジゼル様の娘のエイミー様は、もう善悪の分別のつく年頃で両親であるジゼル様夫婦を敬遠していた。
アウル伯爵様が一生懸命育てたせいか、エイミー様は両親より祖父であるアウル伯爵に懐いていた。
すくすくとまともに育ったエイミー様に家督を譲ると決め、エイミー様も毎日一生懸命勉強していた。
ジゼル様は今でも時々、レックス様のことを話すらしい。
「私は殿下の婚約者だったのよ。本当なら私が妃殿下だったのに…!」
「お母様、もうお止め下さい。お母様が不貞をしたから、今ここにいるんですよ。レックス殿下に気を使って皆様あまり言いませんが、レックス殿下との婚約時期とお母様達の結婚を考えたら、私は結婚前の子ですよ。私がお母様達の浮気で出来た子で間違いないんです…」
ジゼル様は未だにあの優雅な宮での生活が忘れられないのか、よくそう話すらしい。
レックス殿下を思っているより、今では優雅な生活のことばかり気にしているように思えた。
「それに、フィリス妃殿下は立派な方と皆が話します。お母様も見習って奉仕活動でもなさって下さい」
エイミー様はフィリス様に憧れを抱いているように話し、ジゼル様は益々エイミー様と仲が縮まることはなかった。
私とジェナはほとんど邸から出られず下働きのままだった。
たまに邸から外出する時でさえ、買い忘れなどの用事を言い付けられた時のみで、それさえ見張りのように、別の使用人がついて来る。
ジゼル様は、結局浮気相手のジェフリー様と結婚なされたけど、ジェフリー様はジゼル様とのことに加え、ギャンブルでの借金がご実家に知られて、男爵家を勘当された。
男爵家は、レックス殿下の婚約者と通じていたことに肝を冷やし、ジェフリー様を切り捨てたのだ。
ジェフリー様はアウル伯爵家に身を寄せるしかなく、ギャンブルでの借金を男爵家が全て肩代わりして、身一つでやって来た。
所謂ヒモだ。
そんなジェフリー様に嫌気を差したジゼル様だが、誰も相手にしないジゼル様にはジェフリー様といるしかなかった。
レックス様との婚約破棄した上にジェフリー様と離縁まですれば、もう伯爵家は終わりだ。
そうなれば、ジゼル様の産んだ娘だって将来まともな縁談は来ないだろう。
ジゼル様は一生ヒモとなったジェフリー様といるしかなかった。
そんなジゼル様夫婦にアウル伯爵は、余計な金も与えることはなかった。
そして、私達にジゼル様は声さえかけてくれない。
まるでいない者のように扱われる。
あんなに尽くしたのに。
私とジェナ以外の侍女は一人を残して、旦那様が解雇してしまった。
宮ではないのだから、何人も侍女はいらないと。
「どうして、私達はフィリス様に嫌がらせをしてしまったのかしら…いつもフィリス様は部屋で一人で過ごしてレックス様とジゼル様の邪魔なんてしなかったのに…」
ジェナと何度後悔してももう時間は戻らない。
ただ、飼い殺しのような月日が経つだけだ。
そして、一生謝罪すら出来なかった。
新聞を読んでるとフィリス様は妃殿下となっても聖女の務めを進んでするような方で、国民から人気が高い。
慈愛の妃と呼ばれるくらい分け隔てなく平民とも接するようで、貴族の娘達もフィリス様を見習い奉仕活動に励む者が増えたと新聞には書いてあった。
ジゼル様の娘のエイミー様は、もう善悪の分別のつく年頃で両親であるジゼル様夫婦を敬遠していた。
アウル伯爵様が一生懸命育てたせいか、エイミー様は両親より祖父であるアウル伯爵に懐いていた。
すくすくとまともに育ったエイミー様に家督を譲ると決め、エイミー様も毎日一生懸命勉強していた。
ジゼル様は今でも時々、レックス様のことを話すらしい。
「私は殿下の婚約者だったのよ。本当なら私が妃殿下だったのに…!」
「お母様、もうお止め下さい。お母様が不貞をしたから、今ここにいるんですよ。レックス殿下に気を使って皆様あまり言いませんが、レックス殿下との婚約時期とお母様達の結婚を考えたら、私は結婚前の子ですよ。私がお母様達の浮気で出来た子で間違いないんです…」
ジゼル様は未だにあの優雅な宮での生活が忘れられないのか、よくそう話すらしい。
レックス殿下を思っているより、今では優雅な生活のことばかり気にしているように思えた。
「それに、フィリス妃殿下は立派な方と皆が話します。お母様も見習って奉仕活動でもなさって下さい」
エイミー様はフィリス様に憧れを抱いているように話し、ジゼル様は益々エイミー様と仲が縮まることはなかった。
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