婚約破棄されたら騎士様に彼女のフリをして欲しいと頼まれました。

屋月 トム伽

文字の大きさ
34 / 53

その頃は

しおりを挟む

「話し合いが前もってわかれば、証拠を書面にまとめてきましたが、急なことでしたので…」

クロード様はそう話しながらハーヴィ伯爵をジロリと見た。

「急にきた無礼はお詫び致します…」

ハーヴィ伯爵はクロード様に申し訳なさそうに言った。
ハーヴィ伯爵の様子からクロード様に無礼をする気はないみたいだ。

「ですので、口頭でお伝えします。後で調べてもらってもかまわないですので。」

「だったら、さっさと言え!」
「貴様は黙っていろ!」

ハロルド様は既にクロード様が公爵家の御嫡男だと忘れている気がしてきた。
ただの間男と思っているんじゃないかな。

「この婚約破棄の日付もそうですが、俺はその頃、両親のいる領地に行っていました。騎士をしてますが、休暇の時は父上の仕事を手伝っていましたので。領館でも仕事をしていましたから記録が残っています。ついでに、領地の視察もしていましたので、多くの領民が俺を見ていますよ。」

クロード様が、大丈夫だと言ったのは浮気どころか私とまだ出逢ってない証拠があったのだ。
クロード様の公爵領はうちの邸のご近所さんではない。
この街からでも馬車で何時間もかかる。

その頃にこの街にいなかったのだからばったり会う可能性すらないのだ。
クロード様は領地で仕事をして、私はハロルド様達と食事を邸で取っているのだから、逢い引きする時間がないのは明白だ。
物理的に無理なのだから。

「では、私と出逢ったのは…?」
「あの前日の午後にこの街に帰り、騎士団でそのまま少し仕事をしたのだ。領地から帰ったばかりだから翌日は遅出にしてもらい、ついでにと買い物を頼まれてラケルと出逢ったんだ。」
「まあ、そうだったのですか。」
「ラケルに逢えて良かった。」
「まあ、クロード様…。」

クロード様は私の手を握り優しい顔でそう言ってくれた。
私を見る目は先ほどの怒りの顔とは全く違う。

「う、嘘だ!!」

ハロルド様が叫ぶように言った。
何が嘘なんだか。

「嘘ではない!領館に調べに行っても構わんぞ!俺達にはやましいことはない!」

クロード様は容赦なくハロルド様を怒鳴りつけた。

そして、ハーヴィ伯爵は、ガンッと杖を床に音を立ててついた。





しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

【完結】「政略結婚ですのでお構いなく!」

仙桜可律
恋愛
文官の妹が王子に見初められたことで、派閥間の勢力図が変わった。 「で、政略結婚って言われましてもお父様……」 優秀な兄と妹に挟まれて、何事もほどほどにこなしてきたミランダ。代々優秀な文官を輩出してきたシューゼル伯爵家は良縁に恵まれるそうだ。 適齢期になったら適当に釣り合う方と適当にお付き合いをして適当な時期に結婚したいと思っていた。 それなのに代々武官の家柄で有名なリッキー家と結婚だなんて。 のんびりに見えて豪胆な令嬢と 体力系にしか自信がないワンコ令息 24.4.87 本編完結 以降不定期で番外編予定

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

白い結婚をご希望ですか? 良いですよ。私はジャガイモと筋肉を育てますので!

松本雀
恋愛
「……いいか、エルゼ。あらかじめ言っておくが、私は君を愛するつもりはない」 「願ったり叶ったりです! 実は私、国境警備隊に幼馴染の恋人がいまして。この結婚が決まった時、二人で『体は売っても心は売らない』って涙ながらに誓い合ったんです。閣下が愛してくださらないなら、私の貞操も守られます! ありがとうございます、公爵閣下!」 「……こいびと?」 ◆ 「君を愛するつもりはない」 冷徹な公爵ギルベルトが新婚初夜に放った非情な宣告。しかし、新妻エルゼの反応は意外なものだった。 「よかった! 実は私、国境警備隊に恋人がいるんです!」 利害が一致したとばかりに秒速で就寝するエルゼ。彼女の目的は、愛なき結婚生活を隠れ蓑に、恋人への想いを込めた「究極のジャガイモ」を育てることだった! 公爵家の庭園を勝手に耕し、プロテインを肥料にするエルゼに、最初は呆れていたギルベルト。だが、彼女のあまりにフリーダムな振る舞いと、恋人への一途(?)な情熱を目の当たりにするうち、冷徹だった彼の心(と筋肉)に異変が起き始めて……!?

捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~

水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。 彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。 失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった! しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!? 絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。 一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。

結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。 そして、屋敷から出ると決め 計画を実行したら 皮肉にも失敗しそうになっていた。 そんな時彼に出会い。 王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす! と、そんな時に聖騎士が来た

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...