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証拠はありますか
しおりを挟む「ですから、ハロルド様はハーヴィ伯爵様が領地に行ってから浮気したと思っているんですよね?」
固まったハロルド様にそう言うと、ハーヴィ伯爵の後ろに座っているアーヴィン様が援護射撃のように話し出した。
「そうですよね?兄上。少なくとも父上が領地に行くまではラケル様に男の影はありませんでした。」
当たり前です!
いくら嫌いなハロルド様との婚約でも、不誠実なことはしません!
アーヴィン様、ナイスです!
「し、しかし!必ずどこかで逢い引きをしていたはずだ!」
「してませんね。ハロルド様と婚約破棄をしてからクロード様と出逢いましたから。…婚約破棄してからですから、私が誰と会おうとハロルド様には関係のないことです。」
固まっていたハロルド様は今度は少しずつうろたえ出した。
ハーヴィ伯爵をチラリと見ると、既に青筋が見えるほど怒っていた。
この話し合いの後のことをハロルド様は考えているのだろうか。
明らかにハーヴィ伯爵は既にハロルド様を許さないというような空気だった。
「証拠はないだろ!俺とメイベルが一緒にいた時に目を盗んで会っていたはずだ!」
「では、メイベルと二人っきりでいたことは認めますね?今ハロルド様がおっしゃいましたから。」
「くっ!だから何だ!?いつも俺がメイベルと二人っきりでいるのを嫉妬していたくせに!証拠がないのはラケルだ!」
「嫉妬したことなどありませんよ。」
ハロルド様はメイベルと一緒にいた時と言っただけで、二人っきりとは言わなかったのに、私が二人っきりでと言ったことに認めてしまいましたね。
ついでにいえば、ハロルド様とメイベルに嫉妬したことなどありませんよ。
むしろ婚約破棄されて良かったと思いましたから。
婚約してから、ハロルド様を知る度に嫌気が差してましたからね。
まあ、クロード様といつから出逢ったかは証拠はないですけど。
でも、クロード様は、来る直前に大丈夫だろうと言った。
そう思いクロード様を見ると、クロード様も静かにこちらを見た。
「ラケルと貴様が婚約中に逢引していない証拠ならあるぞ。」
クロード様には、潔白を証明できる証拠があるらしく、ハッキリと告げた。
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