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番外編
はじまり2
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翌朝、朝食が終わったあと、トリスタンは父親に呼び出されて執務室にいた。
「母上もいるとは珍しいな」
「お邪魔かしら?」
「そんなことあるはずないじゃないか! 母上なら大歓迎だ!」
「ふふっ、いらっしゃい」
両手を伸ばせば素直に膝に乗り、笑顔を見せてくれるトリスタンの顔色はまだ少し悪いように見える。
父親が日中過ごしている執務室に入るのは初めてではないが、入るときはいつもトリスタンが訪ねたときであって呼び出されたことは一度もない。だからトリスタンも変な緊張が走っていた。
「お、揃ってるな。優秀だな」
「王は時間を厳守だぞ、父上」
「そうだな、悪かった。父を許してくれるか?」
「今回だけなら許してやらぬこともない」
「おお、それはありがたいな」
いつもの優しい笑顔と優しい声。これこそまさに自分の愛する父だと嬉しくなる。
(やはり昨日の父上は偽物だったのだ。父上があのようなことをされるはずがない。父上は優しいお方だ。もし罪人を捕らえても罰したりなどはしない。その証拠に捕虜は一人もいなかったじゃないか。偽物は捕虜にする必要がないと言っていたが、事件など起こっていないのだから捕虜にする相手がいるはずもない!)
嬉しそうに笑うトリスタンの頭を撫でて椅子に腰掛けた父親に身体を向けるとトリスタンはさっきまで暖かかった父親の雰囲気が急に冷えたことに身体を大きく跳ねさせた。
「トリスタン、お前におかしな希望を持たせたくはない。だから言っておく。昨日のことは現実であり、お前が偽物だと言っている者は偽物ではなく私だ」
またトリスタンは言葉が出てこなくなる。身体が震えて何がなんなのかわからず、縋るように母親を見た。だが母親は辛そうに首を振るだけで「大丈夫」の声もかけてはくれない。
「帝王学はどこの国でも王になる者なら必修科目として学ぶものだ。お前もそうだ。あと二年もすれば今している勉強の中に帝王学の科目が入る。だが、私はそれより大事なものがあると思っている。何かわかるか?」
首を振るトリスタン。
「どれほど国のためにその手を汚せるか、だ」
「手、を……?」
トリスタンの頭の中は既にグチャグチャだった。
あれが国のために手を汚すことなのだろうか──
手を汚すことが国のためになるのだろうか──
あれは必要なことだから父親は自分に見ていろと言ったのか──
王としてやるべきことがあれなのか──
必死に整理しようと頭を働かせれば働かせるほど目が回り、トリスタンはまた嘔吐した。目の前にあるローテーブル吐き出し、全身を震わせながら浅く呼吸を繰り返す。
「吐きながらでもいい、聞け。昨日言ったことを覚えているか?」
「…………?」
「この国を守っているのは誰か」
「……王……」
「そうだ。お前はいずれ父の跡を継ぎ、王となる。お前が王になったとき、その手を汚す覚悟ができていなければアステリアの王など務まらん」
「だ、だがあれは人殺しだ! アステリアは事件も戦争もない平和な国ではなかったのか!?」
ずっとそう信じていた。アステリアは世界に誇れるクリーンな国なのだと。それがトリスタンの誇りでもあった。自分はいつかこの国の王になって長年続くこの平和を必ず守っていくのだと思っていた。
しかし現実は全く違っていて、手を汚さなければ王にはなれないと父親は言う。
「事実、この国は平和だ。大した事件もなく、戦争もない。お前もそう信じていただろう」
「それは……」
事実であることに口篭ってしまう。
「王には二種類しかない。勝者か敗者だ。お前はどっちの王になりたい? 敗者か?」
「……僕は……人を殺してまで……勝者にはなりたくない……」
人が目の前で死ぬのを見たのは初めてで、トリスタンは怖かった。また込み上げる胃物を何度も飲み込みながら首を振る。
そこに吐き出される静かなため息がまたトリスタンの身体を震わせた。
「敗者になりたいと言うのだな?」
「人殺しが勝者になる世界はおかしい……のだ……」
「お前は戦争が起きても同じことを言うつもりか? 戦争は殺し合いだ。より多く敵を殺したほうが勝者となる。それでもお前は人殺しが勝者になる世界はおかしいからと白旗を上げるのか?」
「そんな極端な話じゃない! あれは戦争ではない! 縛り上げた者を、父上は一方的に人を殺したのだぞ!」
「それが必要悪というものだ」
まだ十歳のトリスタンには父親の言葉を理解することはできない。それは開き直りだと失望と軽蔑さえした瞬間だった。それでも父親が狂ったように見えないことがトリスタンをその場から逃げる選択をさせず、対峙し続ける。
この平和な国で父親はどうして人殺しを正当化するのか。それが必要悪というものであるなら本当のアステリアはどんな国なんだと涙が溢れる。
「泣くな、トリスタン。私はお前を泣かせたいわけではない」
「僕だって泣きたくはない! でもこんなのはおかしい! 僕はアステリアが好きで、アステリアが美しい国だとずっと信じていたのだ!」
「アステリアの国民もそうだ。だからこそ私たちはそれを守らなければならないんだ。お前が私に失望するのは勝手だ。だが、その失望を国民にさせるわけにはいかない。お前もいつかわかってくれると信じている」
父親はけして声は荒げなかった。トリスタンが大声で泣きじゃくろうと静かに話すだけ。それがトリスタンの絶望を大きくしていく。
心のどこかでは期待していた。「なんてな!」と明るく笑って言ってくれる瞬間を。「戦争になったときのことを考えて生きなさいということだ」と言ってくれるのではないかと。
「母上はお前にはまだ早いと言うが、私はそうは思っていない。お前は強く賢い子だ。アステリアの王になる資格があると思っているからこうして今お前に全て話しているのだ」
「僕は……王には向いていない……」
「今はな。だがお前も慣れていくさ」
「人を殺すことに慣れるなど……」
「必要なことだ」
どれだけ拒絶しようとも現実は変わらない。トリスタンが受け入れるかどうかの問題でしかない。
十歳の子供にどこまで覚悟ができるのか、それは話をしている父親にも想像がつかないものではあったが、先延ばしにはしたくなかった。
「母上を……人殺しの親にしたくない」
「言い訳をするな」
本心だった。だが、国を背負って立つ者が母親を理由に避けようとすることは許されず、父親の冷たい声にトリスタンの目からまたボロボロと涙がこぼれる。
「すぐに理解しろとは言わん。だが、お前は王の道から逃げることはできんのだ。いずれお前はこの国を背負い立つ王になる。お前が目を逸らした瞬間、この国は崩壊し始めるだろう」
「僕には無理だ」
「お前は父と母の自慢の息子だ。理解してくれると信じている」
そんな信頼など欲しくはなかった。だが、トリスタンは既に逃げることが許されない道に立っている。生まれた瞬間からその道に立たされ、その道を十年間知らず知らずで歩いてきた。それはこれからも変わる子はなく、右を見ようと左を見ようと分かれ道は存在しない。あるのは一直線に伸びる道だけ。その先には昨日の父と同じように剣をに握って返り血を浴びる冷めた目をした自分が立っている。
それを受け入れた日、それは未来の自分ではなく、現実の自分となる。
振り返って母親に抱きつくトリスタンを母親は強く抱きしめた。
「これ以上はこの子に負担がかかりますから……」
「そうだな。今日はこれくらいにしておこうか。トリスタン、逃げ出さずによく最後まで聞いたな。偉かったぞ」
優しい声に戻った父親にトリスタンは更に涙を溢れさせる。どれが本当の父親なのかわからなくなってしまった。
昨日の父親は偽物だと思っていたのに父親は自分だと言った。その証拠に優しい笑顔から冷たい表情に変わる瞬間を見た。そしてアステリアの王が守るものを語り、それが必要悪であることを告げた。全てはアステリアのためであると。
顔を上げたトリスタンの瞳にはトリスタンが大好きな笑顔の父親が映っている。
わからないと言葉にはしないものの首を振るトリスタンに父親はそのまま笑顔で頷いた。
いつかお前にもわかる日が来るとでも言うように……
一生理解できないこと。
アステリアのためだと大義名分をかざして人殺しをするなどおかしい。
そう思っていたはずなのに──
「うぁあぁあああああああッ!」
地下牢で大声を張り上げながら剣を振り下ろすトリスタンが血で手を染めるのはそれほど遠い未来ではなかった。
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「お邪魔かしら?」
「そんなことあるはずないじゃないか! 母上なら大歓迎だ!」
「ふふっ、いらっしゃい」
両手を伸ばせば素直に膝に乗り、笑顔を見せてくれるトリスタンの顔色はまだ少し悪いように見える。
父親が日中過ごしている執務室に入るのは初めてではないが、入るときはいつもトリスタンが訪ねたときであって呼び出されたことは一度もない。だからトリスタンも変な緊張が走っていた。
「お、揃ってるな。優秀だな」
「王は時間を厳守だぞ、父上」
「そうだな、悪かった。父を許してくれるか?」
「今回だけなら許してやらぬこともない」
「おお、それはありがたいな」
いつもの優しい笑顔と優しい声。これこそまさに自分の愛する父だと嬉しくなる。
(やはり昨日の父上は偽物だったのだ。父上があのようなことをされるはずがない。父上は優しいお方だ。もし罪人を捕らえても罰したりなどはしない。その証拠に捕虜は一人もいなかったじゃないか。偽物は捕虜にする必要がないと言っていたが、事件など起こっていないのだから捕虜にする相手がいるはずもない!)
嬉しそうに笑うトリスタンの頭を撫でて椅子に腰掛けた父親に身体を向けるとトリスタンはさっきまで暖かかった父親の雰囲気が急に冷えたことに身体を大きく跳ねさせた。
「トリスタン、お前におかしな希望を持たせたくはない。だから言っておく。昨日のことは現実であり、お前が偽物だと言っている者は偽物ではなく私だ」
またトリスタンは言葉が出てこなくなる。身体が震えて何がなんなのかわからず、縋るように母親を見た。だが母親は辛そうに首を振るだけで「大丈夫」の声もかけてはくれない。
「帝王学はどこの国でも王になる者なら必修科目として学ぶものだ。お前もそうだ。あと二年もすれば今している勉強の中に帝王学の科目が入る。だが、私はそれより大事なものがあると思っている。何かわかるか?」
首を振るトリスタン。
「どれほど国のためにその手を汚せるか、だ」
「手、を……?」
トリスタンの頭の中は既にグチャグチャだった。
あれが国のために手を汚すことなのだろうか──
手を汚すことが国のためになるのだろうか──
あれは必要なことだから父親は自分に見ていろと言ったのか──
王としてやるべきことがあれなのか──
必死に整理しようと頭を働かせれば働かせるほど目が回り、トリスタンはまた嘔吐した。目の前にあるローテーブル吐き出し、全身を震わせながら浅く呼吸を繰り返す。
「吐きながらでもいい、聞け。昨日言ったことを覚えているか?」
「…………?」
「この国を守っているのは誰か」
「……王……」
「そうだ。お前はいずれ父の跡を継ぎ、王となる。お前が王になったとき、その手を汚す覚悟ができていなければアステリアの王など務まらん」
「だ、だがあれは人殺しだ! アステリアは事件も戦争もない平和な国ではなかったのか!?」
ずっとそう信じていた。アステリアは世界に誇れるクリーンな国なのだと。それがトリスタンの誇りでもあった。自分はいつかこの国の王になって長年続くこの平和を必ず守っていくのだと思っていた。
しかし現実は全く違っていて、手を汚さなければ王にはなれないと父親は言う。
「事実、この国は平和だ。大した事件もなく、戦争もない。お前もそう信じていただろう」
「それは……」
事実であることに口篭ってしまう。
「王には二種類しかない。勝者か敗者だ。お前はどっちの王になりたい? 敗者か?」
「……僕は……人を殺してまで……勝者にはなりたくない……」
人が目の前で死ぬのを見たのは初めてで、トリスタンは怖かった。また込み上げる胃物を何度も飲み込みながら首を振る。
そこに吐き出される静かなため息がまたトリスタンの身体を震わせた。
「敗者になりたいと言うのだな?」
「人殺しが勝者になる世界はおかしい……のだ……」
「お前は戦争が起きても同じことを言うつもりか? 戦争は殺し合いだ。より多く敵を殺したほうが勝者となる。それでもお前は人殺しが勝者になる世界はおかしいからと白旗を上げるのか?」
「そんな極端な話じゃない! あれは戦争ではない! 縛り上げた者を、父上は一方的に人を殺したのだぞ!」
「それが必要悪というものだ」
まだ十歳のトリスタンには父親の言葉を理解することはできない。それは開き直りだと失望と軽蔑さえした瞬間だった。それでも父親が狂ったように見えないことがトリスタンをその場から逃げる選択をさせず、対峙し続ける。
この平和な国で父親はどうして人殺しを正当化するのか。それが必要悪というものであるなら本当のアステリアはどんな国なんだと涙が溢れる。
「泣くな、トリスタン。私はお前を泣かせたいわけではない」
「僕だって泣きたくはない! でもこんなのはおかしい! 僕はアステリアが好きで、アステリアが美しい国だとずっと信じていたのだ!」
「アステリアの国民もそうだ。だからこそ私たちはそれを守らなければならないんだ。お前が私に失望するのは勝手だ。だが、その失望を国民にさせるわけにはいかない。お前もいつかわかってくれると信じている」
父親はけして声は荒げなかった。トリスタンが大声で泣きじゃくろうと静かに話すだけ。それがトリスタンの絶望を大きくしていく。
心のどこかでは期待していた。「なんてな!」と明るく笑って言ってくれる瞬間を。「戦争になったときのことを考えて生きなさいということだ」と言ってくれるのではないかと。
「母上はお前にはまだ早いと言うが、私はそうは思っていない。お前は強く賢い子だ。アステリアの王になる資格があると思っているからこうして今お前に全て話しているのだ」
「僕は……王には向いていない……」
「今はな。だがお前も慣れていくさ」
「人を殺すことに慣れるなど……」
「必要なことだ」
どれだけ拒絶しようとも現実は変わらない。トリスタンが受け入れるかどうかの問題でしかない。
十歳の子供にどこまで覚悟ができるのか、それは話をしている父親にも想像がつかないものではあったが、先延ばしにはしたくなかった。
「母上を……人殺しの親にしたくない」
「言い訳をするな」
本心だった。だが、国を背負って立つ者が母親を理由に避けようとすることは許されず、父親の冷たい声にトリスタンの目からまたボロボロと涙がこぼれる。
「すぐに理解しろとは言わん。だが、お前は王の道から逃げることはできんのだ。いずれお前はこの国を背負い立つ王になる。お前が目を逸らした瞬間、この国は崩壊し始めるだろう」
「僕には無理だ」
「お前は父と母の自慢の息子だ。理解してくれると信じている」
そんな信頼など欲しくはなかった。だが、トリスタンは既に逃げることが許されない道に立っている。生まれた瞬間からその道に立たされ、その道を十年間知らず知らずで歩いてきた。それはこれからも変わる子はなく、右を見ようと左を見ようと分かれ道は存在しない。あるのは一直線に伸びる道だけ。その先には昨日の父と同じように剣をに握って返り血を浴びる冷めた目をした自分が立っている。
それを受け入れた日、それは未来の自分ではなく、現実の自分となる。
振り返って母親に抱きつくトリスタンを母親は強く抱きしめた。
「これ以上はこの子に負担がかかりますから……」
「そうだな。今日はこれくらいにしておこうか。トリスタン、逃げ出さずによく最後まで聞いたな。偉かったぞ」
優しい声に戻った父親にトリスタンは更に涙を溢れさせる。どれが本当の父親なのかわからなくなってしまった。
昨日の父親は偽物だと思っていたのに父親は自分だと言った。その証拠に優しい笑顔から冷たい表情に変わる瞬間を見た。そしてアステリアの王が守るものを語り、それが必要悪であることを告げた。全てはアステリアのためであると。
顔を上げたトリスタンの瞳にはトリスタンが大好きな笑顔の父親が映っている。
わからないと言葉にはしないものの首を振るトリスタンに父親はそのまま笑顔で頷いた。
いつかお前にもわかる日が来るとでも言うように……
一生理解できないこと。
アステリアのためだと大義名分をかざして人殺しをするなどおかしい。
そう思っていたはずなのに──
「うぁあぁあああああああッ!」
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