『闇を闇から』

segakiyui

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第3章

8.スタック(5)

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 エントランスにはもう管理人はいなくて、入り口でそのまま少しキスをかわした。伊吹の柔らかな唇が重なってくるのがたとえようもなく嬉しくて、啄んで微笑む。
 名残りおしく体を離して、伊吹が掴んだ手を握って、二人でエントランスを通り抜ける。エレベーターにも人の気配がなくて、扉が閉まるとすぐに引き寄せて抱き締めてキスした。
「ん…」
 伊吹も頬を紅潮させて、それでも拒まずに応じてくれる。
「う…ん」
 唇を舌で開いて滑り込んでいく。
 甘い温かな舌触りにほっとして、抱き締める手に力が籠る。
 キスならいっぱいあげられる。欲しいだけ。欲しいところに。たとえば、そう、あそこにも。
 思った場所に反応した部分に伊吹が微かにみじろぎした。
「京介」
「…なに」
 薄く顔を染めた伊吹を目を細めて見下ろす。
「あたってます」
「欲しい」
「……ん」
 小さく頷いた伊吹がそっとそこに腰を当ててくれて思わず押し返す。
「あげる」
 優しい囁きに酔いしれる。
「……うん」
 揺れて止まったエレベーター、もう一度キスしあい、開いた扉にまた手を握りあって廊下を歩く。
 部屋に着いて玄関に入って。
「み、なみ…っ」
 弾かれたように強く引き寄せて抱き締めて唇を奪う。無抵抗に応じてくれる伊吹に体中が一気に熱を上げた。
「ん…っん」
 ようやく委ねてくれた舌は甘い。吸って嬲って、弱いと教えてくれたところをくすぐると、びくびくと伊吹が震えて京介に体を押し付けてくる。挟まれた部分が揉み込まれるように刺激されて、それだけで。
「あ…ぁ」
 ぞわりと広がった感覚に一瞬唇を離して喘いだ。額を伊吹の肩に押し当てて堪える。ぎゅっと抱き寄せてくれた体に温かく包まれて、布を隔てた遠い刺激がなお一層煽ってくる。
「美並……」
 気持ちいい。
「うん」
「は…っ」 
 行き着いてしまうのを伸ばしたくて、無意識に引いた腰が作り付けの靴箱にあたって逃げ場がなくなる。揺らめいた腰、開いた脚の間に、伊吹がするりと割って入ってきて、そのまま背後に押し付けられる。
「あ、あ…っ」
 伊吹の腰に揺さぶられてぞくりと波が走り上がった。脚をもっと開いて伊吹の体を抱え込む。しゃがみ込みかけたのを入り込んだ伊吹の腰骨が斜め前から突き上げてきて、まともに擦り上げていった。
「う、ぁ」
 とっさに閉じかけた脚は伊吹の体に遮られる。すがりついて伊吹の肩に顎を乗せ、くらくらしながら弾む息を逃がしていると、自分のものが濡れた感じがあった。
 やば、。
「っ、っ」
 さっき大輔に煽られた。感じるつもりはなかったけれど、体は先に反応していた。伊吹の愛撫を思い出して、つい今も煽られ続けていたから、下着がかなりまずいことになっているとようやく気付く。
「み、なみ、」
「はい…」
 伊吹の声も掠れて甘くなっていた。
「奥で、した、い」
「そう、ですね」
 なんか私もちょっと。
「え…?」
 軽く喘ぎながら振り向くと、ちらりと見遣ってきた伊吹の横顔が妙に緊張して強ばっている。
「ごめ…」
 重かった、と体を立て直そうとした矢先、
「う、うぁっ」
 いつの間に上着の下に入り込んでいたのだろう、指先で脇腹を一筋、それも一番弱いラインをかきあげられて思わず声を上げた。
「や……う」
 そのまま何度も指先が降りてはまたひっかくように這い上がる。中途半端な姿勢を保っている脚が、限界で震えているのか快感で震えているのかわからないまま、京介は必死に伊吹を抱き締める。
「み、なみっ」
「アブナイんですよね」
「え、っ」
「なんかこのまま、京介を」
 犯したくなってきました。
 囁かれて跳ね上がった心臓、おさまる前に首筋にキスを落とされて息を呑む。
「お、かす…っ」
「おかしいですね、私は女なのに」
 さっきから京介を無理矢理蹂躙してる気分で、もし私にこれがあったなら。
「っんっ」
 撫で上げられたのは膨れ上がっている部分、先端の形を確かめるように探られて呻きながら腰を振った。
「京介を抱いてるかも」
「…だ…いて…っ……」
 口が勝手にねだった。
「僕を、抱い……っあ」
 脇腹を撫でていた指がベルトにかかる。ああ、ようやく欲しいものがもらえる、そう思った意識に冷たい空気が入り込み、我に返った。
「ま、って」
「はい?」
「お…ふろ…っ」
 熱が溜まったせいなのか、下着を濡らしてしまったせいか、先がひやりとする。
「おふ、ろ、入り、たい」
 本当はこのまま全部暴いて欲しいくらいだけど、伊吹に触られる前から濡れていたことなど知られたくない。蕩けそうな思考をかきあつめて訴えると、それもそうですね、と伊吹がベルトを戻してくれた。
「先に入る?」
「ん…」
「…立てる?」
「……うん」
 きゅ、と抱き締めて、汗に濡れた額にキスしてもらってのろのろと体を起こした。腰が重くて視界が揺らめいて、自分一人煽られてるようでみっともないと思ったけれど、顔を上げた伊吹が同じぐらい息を弾ませていたのにほっとする。
「みなみ」
「京介」
 呼び交して、キスを交わして。
「シャワーだけ」
 それ以上待てないから。
「わかりました」
 じゃあベッド整えておきます。
「一緒に入れないのね?」
「だって」
 今一緒に入ると、僕、もたないよ。
 囁き返すと、ばか、と軽く詰られた。
 
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