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後編
しおりを挟むこの国の王侯貴族達を悩ませていた問題。それは、子が生まれにくくなっていることだった。特に爵位の高い家ほど出産率が低く、現王に至っては、何人かのあてがわれた愛人の中の1人がやっと孕ったのが、リチャードだったのだ。
多すぎる愛人達の存在に、頭ではわかっていても心が追いつかなかった王妃は病んでしまった。なにせその愛人達ですら、遡ればどこかに王族の血が混じっている。
従兄弟やら再従兄弟やらが自分を差し置いて子を作るかもしれないという現実は、どれほど自尊心を傷つけ、惨めにさせたことだろう。
高位貴族は、多かれ少なかれ王族の血が混じっており、また、神聖な血が薄まらないよう、なるべく王族に近しい関係での婚姻が繰り返された歴史がある。おそらく、血が濃すぎるのが原因だろうと、頭の良い人達は想像するものの、特に解決策もなく、ここまできてしまった。
カートレット公爵はロザリアが王家に望まれた時に、その問題点を指摘した。ロザリアとて王族の血縁者である。いずれ来るお世継ぎ問題の時に、子ができなければどうするのか。そのために、多くの女性を侍らせて、王妃のように娘が苦しむことは許しがたかった。
他国の姫を貰い受けるか、王族の血が混ざっていない伯爵以下の娘を据えるべきだと訴えた。
しかし王家はこれに難色を示した。もしも、リチャードが種無しだったなら、隣国の姫を貰い受けることはリスクが高い。だからと言って、王室の資金難を解決できるほどの資産を持った伯爵家は存在しない。
そして、ロザリア1人を妃とし、子を成すための愛人は置かないこと。3年以内に子が成せなければ隣国へ渡った先王弟の血筋の先端の男子を養子に貰い受けること。
これが守られる間は支援する。守られなければ、公爵家の全てはこの国から離脱する。これを現王に認めさせた。
あまりにもポンコツな王子にロザリアは大変な苦労を強いられた。条件などつけても意味がわからなくなるほどに。それでも国の為を想えばこそ。
既に傾きかけているこの国を立て直そうと、いずれ王妃に就くロザリアと、それを永く支えるべく公爵の父は力を尽くしてきた。
先に裏切ったのは王家だ。
指導者としても人間としても、もう心を残すところはない。
たとえ国として残れなくとも、国民が今と変わらない文化を保ちつつ、尚、より良い生活を得られる可能性があるのなら、それだけの国力のある国に下った方が、よほど建設的だ。
だから、祖国を売ることにした。
そして
この国の支配権は、
正しい血筋に戻される。
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